「ぶらり車イス紀行」 その1032
☆ 健康もお金で買う時代になった
日本は、高度経済成長によって分厚い中間層が生まれ、一億総中流
社会と呼ばれる時代が長く続いた。しかし、それが崩壊して格差社会
が到来し、格差は開く一方になり、そして、すでにその差を埋められ
ないところに来ている。それは、日本だけではなく、先進国を中心に
『上級/下級』への分断がますます加速していると言う。そして、こ
うした分断は、平和な世の中が続く限り拡大する一方と言う。なぜな
ら、世界のグローバル化によって、全体として豊かになり、先進国で
は、中間層が崩壊し、富が一部の富裕層に搾り取られるか、貧困層に
流れ出る格差社会が誕生した。
しかし、多くの人が自らを中間層ととらえていた一億総中流時代は
終わりを迎え、地位や収入が二極化した社会構造が浮き彫りになって
いる現在、それは健康も例外ではない。何を食べるか、どんな生活を
するかは、ある意味では自己責任である。だから、健康にも、所得や
経済的な状況の違いによって格差が生じてきている。
こうした『健康格差』について長年研究を続ける千葉大学予防医学
センター教授の近藤克則さんがこう解説する。
「対象者を追跡した調査研究から、所得や学歴、職業などの社会階層
が低いと健康を損ないやすいことが明らかになった。それは、低所得
の人の死亡率は、高所得の人の2〜3倍高い。低所得の人ほど多くの
病気にかかりやすくなっている。だから、こうした事実を知った上
で、何ができるのかを考えることは非常に大切です」
と言う。
「お金持ちは高カロリーなおいしいものをたらふく飲み食いするか
ら、生活習慣病になりやすい。こんな話は昔の話、今は、年収と肥満
率は反比例し、年収が低い人ほど、肥満の割合が高い」
と言う。
「2015年に発表された厚生労働省『国民健康・栄養調査結果』に
よると、所得が600万円以上の世帯に比べて、200万円未満世帯
の人の方が、肥満の割合が高いことがわかった。それは、低所得世帯
の人は、穀類の摂取量が多く、野菜類や肉類の摂取量が少ない。それ
と、習慣的に喫煙している者の割合が高い・健診の未受診者の割合が
高い・歯の数が20本未満の者の割合が高いことも明らかになっている」
と言う。それに、近藤さんは、
「バランスのいい食事を作ろうとすれば、何種類も食材が必要にな
る。そうすれば、どうしても食費がかかる。金銭的に余裕がないと、
食事の選択肢が限られてしまう。だから、低所得の家庭では野菜の摂
取量が少なくなる。そこで、安くてカロリーの高いインスタント食品
や菓子パンなどですませていると、自然と野菜の摂取量は減り、穀類
の摂取量が増える」
「さらに、昨今のような異常気象に見舞われ、野菜価格が高騰ば、
野菜の登場回数はどうしても少なくなる。家計に余裕がなくなれば、
食卓に野菜を並べるのが難しくなる」
こんなことから野菜不足の生活を送ることは肥満になりやすいだけ
でなく、高血圧や脳卒中、大腸がんなどのリスクをあげることになり、
また、血糖の上昇のリスクを高めたり、コレステロールの吸収を抑え
たりする効果を妨げたりする。つまり、貧困によって野菜の摂取量が
少なくなれば、これらの病気のリスクが高くなり、さまざまな病気の
リスクを高める要因にもなる。と言うことは、健康も自制とお金で買
う時代になった。
たかし でした。
☆ 健康もお金で買う時代になった
日本は、高度経済成長によって分厚い中間層が生まれ、一億総中流
社会と呼ばれる時代が長く続いた。しかし、それが崩壊して格差社会
が到来し、格差は開く一方になり、そして、すでにその差を埋められ
ないところに来ている。それは、日本だけではなく、先進国を中心に
『上級/下級』への分断がますます加速していると言う。そして、こ
うした分断は、平和な世の中が続く限り拡大する一方と言う。なぜな
ら、世界のグローバル化によって、全体として豊かになり、先進国で
は、中間層が崩壊し、富が一部の富裕層に搾り取られるか、貧困層に
流れ出る格差社会が誕生した。
しかし、多くの人が自らを中間層ととらえていた一億総中流時代は
終わりを迎え、地位や収入が二極化した社会構造が浮き彫りになって
いる現在、それは健康も例外ではない。何を食べるか、どんな生活を
するかは、ある意味では自己責任である。だから、健康にも、所得や
経済的な状況の違いによって格差が生じてきている。
こうした『健康格差』について長年研究を続ける千葉大学予防医学
センター教授の近藤克則さんがこう解説する。
「対象者を追跡した調査研究から、所得や学歴、職業などの社会階層
が低いと健康を損ないやすいことが明らかになった。それは、低所得
の人の死亡率は、高所得の人の2〜3倍高い。低所得の人ほど多くの
病気にかかりやすくなっている。だから、こうした事実を知った上
で、何ができるのかを考えることは非常に大切です」
と言う。
「お金持ちは高カロリーなおいしいものをたらふく飲み食いするか
ら、生活習慣病になりやすい。こんな話は昔の話、今は、年収と肥満
率は反比例し、年収が低い人ほど、肥満の割合が高い」
と言う。
「2015年に発表された厚生労働省『国民健康・栄養調査結果』に
よると、所得が600万円以上の世帯に比べて、200万円未満世帯
の人の方が、肥満の割合が高いことがわかった。それは、低所得世帯
の人は、穀類の摂取量が多く、野菜類や肉類の摂取量が少ない。それ
と、習慣的に喫煙している者の割合が高い・健診の未受診者の割合が
高い・歯の数が20本未満の者の割合が高いことも明らかになっている」
と言う。それに、近藤さんは、
「バランスのいい食事を作ろうとすれば、何種類も食材が必要にな
る。そうすれば、どうしても食費がかかる。金銭的に余裕がないと、
食事の選択肢が限られてしまう。だから、低所得の家庭では野菜の摂
取量が少なくなる。そこで、安くてカロリーの高いインスタント食品
や菓子パンなどですませていると、自然と野菜の摂取量は減り、穀類
の摂取量が増える」
「さらに、昨今のような異常気象に見舞われ、野菜価格が高騰ば、
野菜の登場回数はどうしても少なくなる。家計に余裕がなくなれば、
食卓に野菜を並べるのが難しくなる」
こんなことから野菜不足の生活を送ることは肥満になりやすいだけ
でなく、高血圧や脳卒中、大腸がんなどのリスクをあげることになり、
また、血糖の上昇のリスクを高めたり、コレステロールの吸収を抑え
たりする効果を妨げたりする。つまり、貧困によって野菜の摂取量が
少なくなれば、これらの病気のリスクが高くなり、さまざまな病気の
リスクを高める要因にもなる。と言うことは、健康も自制とお金で買
う時代になった。
たかし でした。