「ぶらり車イス紀行」 その939
☆ 過労死は睡眠で予防できる
11月は『過労死等防止啓発月間』である。でも、それを知って
いるのは関係者だけで、一般人にはあまり知られていない。
それでも過労死と言うと、長時間労働や職場環境のストレスなど
が原因と言うことぐらいは知っている。なぜなら、長時間労働や職
場環境のストレスなどが『精神障害』になって、自殺に追い詰めら
れるイメージが強い。でも、もう一つの原因として『脳血管・心臓
疾患』が上げられていることはあまり知られていない。
ところが、過労死は医学用語や正式病名ではなく、社会的に認知
された事象として作られた新しい言葉である。そして、過労死の言
葉が頻繁に使われるようになったのは、高度経済成長時代に、働き
盛りの人が急に亡くなり、その背景を調べたところ、長時間労働や
業務上の強いストレスがあったことが分かってきた。
それが、今では国の労災補償に認定され、救済する制度が出来て
いる。その労災認定での『過労死等』の定義は3項目あって、
1、業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因と
する死亡である。
2、業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺
による死亡である。
3、死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障
害である。
最後の項目に『死亡には至らない〜』が含まれているので『過労
死等』と呼ばれている。
このことから、過労死の基準について、国際医療福祉大学医学部
教授(公衆衛生学)の和田耕治医師は
「過労死の基準となる時間外労働時間(週40時間超の累積)が、
死亡する直前の1カ月が100時間超の場合、あるいは、2〜6カ
月の平均が80時間超の場合としている。それだけ時間外労働をす
れば、平均睡眠時間が1日6時間未満になって死亡リスクが高まる。
だから、逆算して6時間以上の睡眠時間を確保するためには、1日
の労働時間は何時間以内が適当かと言うことになる」
と語る。
しかし、もう一つの『脳血管・心臓疾患』が原因として、過労死
を発症する場合、過労死等全体では『精神障害』の方が多いが、過
労死だけに限ると『脳血管・心臓疾患』による場合の方が多い。
厚生労働省の「平成28年版過労死等防止対策白書」によると、
『脳血管・心臓疾患』のなかでも、過労死等の原因として多いのは
脳内出血・くも膜下出血、脳梗塞、心筋梗塞、解離性大動脈瘤など
で、男女別では圧倒的に男性が90%以上を占め、発症・死亡年齢
で多いのは40~50歳代である。女性は『脳血管・心臓疾患』で
過労死にまで至る場合は少ないが、女性はくも膜下出血が多い。
和田医師は、過労死の現状を踏まえ、働き盛りのうちに『脳血管
・心臓疾患』で命を落とさないために、
「過労死等の予防には、せめて、毎日、6時間以上の睡眠時間を確
保すること。眠る時間もままならないようでは、健診で異常を指摘
されても、高血圧や糖尿病の治療も出来ず、脳血管や心臓の病気の
リスクを高める」
と語る。
労災の認定では『時間外(残業)や休日の労働時間』が重要視さ
れるが、過労死は蓄積された疲労が、どれだけ解消できたか、その
ために、どれだけ睡眠時間を確保できていたかが大事になっている。
たかし でした。
☆ 過労死は睡眠で予防できる
11月は『過労死等防止啓発月間』である。でも、それを知って
いるのは関係者だけで、一般人にはあまり知られていない。
それでも過労死と言うと、長時間労働や職場環境のストレスなど
が原因と言うことぐらいは知っている。なぜなら、長時間労働や職
場環境のストレスなどが『精神障害』になって、自殺に追い詰めら
れるイメージが強い。でも、もう一つの原因として『脳血管・心臓
疾患』が上げられていることはあまり知られていない。
ところが、過労死は医学用語や正式病名ではなく、社会的に認知
された事象として作られた新しい言葉である。そして、過労死の言
葉が頻繁に使われるようになったのは、高度経済成長時代に、働き
盛りの人が急に亡くなり、その背景を調べたところ、長時間労働や
業務上の強いストレスがあったことが分かってきた。
それが、今では国の労災補償に認定され、救済する制度が出来て
いる。その労災認定での『過労死等』の定義は3項目あって、
1、業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因と
する死亡である。
2、業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺
による死亡である。
3、死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障
害である。
最後の項目に『死亡には至らない〜』が含まれているので『過労
死等』と呼ばれている。
このことから、過労死の基準について、国際医療福祉大学医学部
教授(公衆衛生学)の和田耕治医師は
「過労死の基準となる時間外労働時間(週40時間超の累積)が、
死亡する直前の1カ月が100時間超の場合、あるいは、2〜6カ
月の平均が80時間超の場合としている。それだけ時間外労働をす
れば、平均睡眠時間が1日6時間未満になって死亡リスクが高まる。
だから、逆算して6時間以上の睡眠時間を確保するためには、1日
の労働時間は何時間以内が適当かと言うことになる」
と語る。
しかし、もう一つの『脳血管・心臓疾患』が原因として、過労死
を発症する場合、過労死等全体では『精神障害』の方が多いが、過
労死だけに限ると『脳血管・心臓疾患』による場合の方が多い。
厚生労働省の「平成28年版過労死等防止対策白書」によると、
『脳血管・心臓疾患』のなかでも、過労死等の原因として多いのは
脳内出血・くも膜下出血、脳梗塞、心筋梗塞、解離性大動脈瘤など
で、男女別では圧倒的に男性が90%以上を占め、発症・死亡年齢
で多いのは40~50歳代である。女性は『脳血管・心臓疾患』で
過労死にまで至る場合は少ないが、女性はくも膜下出血が多い。
和田医師は、過労死の現状を踏まえ、働き盛りのうちに『脳血管
・心臓疾患』で命を落とさないために、
「過労死等の予防には、せめて、毎日、6時間以上の睡眠時間を確
保すること。眠る時間もままならないようでは、健診で異常を指摘
されても、高血圧や糖尿病の治療も出来ず、脳血管や心臓の病気の
リスクを高める」
と語る。
労災の認定では『時間外(残業)や休日の労働時間』が重要視さ
れるが、過労死は蓄積された疲労が、どれだけ解消できたか、その
ために、どれだけ睡眠時間を確保できていたかが大事になっている。
たかし でした。