あの日 鹿沼児童6人クレーン車死亡事故遺族の想い - blog -

てんかん無申告で運転免許を不正取得したクレーン車の運転手により、登校中の児童6人が歩道上で轢き殺された事故【遺族ブログ】

信じがたい事実・・・警察捜査への不信感・・・命の取り合い・・・

2011-10-12 | 日記

「実は、伊原大芽くんと、大森卓馬くんの遺体のあった場所が間違っておりまして・・・検察庁と協議して裁判証拠の訂正をいたしました。」

私がこのことを警察から聞かされたのは9月26日、柴田将人被告人の初公判の2日前のことでした。

事故当初、「クレーン車の左前に大芽くんはいました」と聞かされていたものですから、当然私は、「今更、何を言っているのですか。」 「死んでいた場所なんて、捜査の一番重要なところでしょう。」

と言い返しました。

すると警察は、「人命救助が第一で、遺体は消防が動かしてしまっていたものですから・・・」と安易に答えたのです。

今までは、3年前の事故の裁判において、 柴田将人被告人が、てんかん無申告の運転者であることをまともに捜査しなかった捜査への不信感はあったものの、それでも私は、「一部の警察官が、適当な捜査をしてしまったばっかりに、子供達は死ぬことになってしまったんだ・・・」 と思うようにしていました。

しかし、今回の話を聞かされて、「本当に警察はまともな捜査をしているのだろうか・・・。 交通死亡事故は単なる事故処理と考え、軽々に扱っているのではないだろうか・・・」と思うようになりました。

以下、警察とのやりとりです。

9月26日(月)自宅にて

【伊原】 「信じられません。 遺体の位置なんて、捜査の中でも一番基本的なところでしょう。」 「私は、入りたくても中に入れてもらえなかったんですよっ」 「警察は写真をとっていないのですか。」

【警察】 「写真が非常に少ないんです」

【伊原】 「警察は撮りたくない写真だって撮っているんでしょう・・・いくら人命救助が優先と言ったって、警察さんが遺体の位置を間違えるなんて、捜査の基本的なところであり、信じられない・・・遺体の位置は、9月28日に行われる裁判の証拠にもなっているはずですが・・・」

【警察】 「実は、大森さんと地元の消防の方が、大森卓馬くんの遺体の場所の話をされまして、その方が大芽くんと卓馬くんの顔を知っていたものですから、大森さんが聞かされていた遺体の位置と違う・・・・と言う話になりまして・・・それでは、もう一度再捜査をしよう。ということになったのです。」

【伊原】 「やっぱりおかしいですよ。 死んでいた場所なんて捜査の基本でしょう。 車体にぶつかった位置を間違った訳じゃないんですよ。 遺体のあった位置ですよ。 私達が、大芽が亡くなってから今まで、どんな気持ちでいるかわかりますか。 そちらは簡単に、間違っていたので裁判証拠を差し替えますっていいますが、 私達の気持ちは、そんな簡単な事じゃないんですよ・・・ 大芽くんはクレーン車の左前にいましたって聞いていたのですから、クレーン車のどこでぶつかって、どのように転がっていって、どのように亡くなって逝ったのか・・・姉のメイは、当初大芽を見たと言っていたが、それは見間違いで、実は他の子だったんだ・・・とか、 いろいろ考え・・・ ひとつひとつ、それでもひとつひとつ事実と向き合って今まできているんですよ。 それを、間違っていたので訂正します・・・ と簡単に言うことが、我々にはどんなに辛いことかわかってほしいです。 そして、捜査をしっかりやってほしいです。 我々は中に入れなかったんですよ。 警察さんが捜査をしっかりやらなかったら、誰がやるんですか。」

【伊原】 「消防の人命救助を優先して、証拠が乏しい・・・ と説明を受けましたので、こちらからあらためてお話ししますが、 鹿沼警察署で私達の供述調書を作成していた警察官の方が、大芽くんは、ごろごろ転がって左前方に転がっていったと思います・・・現場は土があって、それがクッションになっていたため遺体の損傷が少なかったと思われます・・・私が抱きかかえて救出しました・・・と言っていましたよ。 警察官が遺体とは言え証拠を抱きかかえたんですよ。 警察官が抱きかかえたのならば、服の色、位置を間違えるはずがないんじゃないですか。」

【警察】 「その警察官は、現場へはそんなに早く着いているはずがないので、署に持ち帰り本人に確認いたします。」

↓↓↓

10月2日(日) 鹿沼警察署に電話で確認

【伊原】 「先日の件、どうなりましたか」

【警察】 「どのように回答するか本部で検討中です」

【伊原】 「検討は無いでしょう。 聞いた話をすればいいのでは。」

【警察】 「一般的な話をしたが、私が抱きかかえたとは言っていない。これが本人への調査の結果です。」

↓↓↓

10月3日(月) 自宅にて

【警察】 「一般的な話をしたが、私が抱きかかえたとは言っていない。これが本人への調査の結果です。」

【伊原】 「一般的な話?ですか・・・何でそんな不確かな話をするんですかね・・・本当に辛いです・・・」  「私も妻も警察さんの規制の中に入れなかったものですから、大芽を暖かいうちに抱きしめてあげることができなかったんです・・・ でも、それでも・・・この人が大芽が暖かいうちに抱きかかえ、あの場所から助けてくれたんだって思っていたんですよ・・・ だから、我々にとっては神様みたいな人に思えていたのに・・・ そう思っていたのに・・・ 一般的な話になってしまうんですね・・・ だとしたら、本当に辛いです・・・」 

【伊原】 「お互い月日が経てば当然記憶も薄れます・・・お電話でもお話は聞いていたので、そちらの回答は分かりました。 そちらで調査されて、本人が一般的な話、というのであれば、そう言う事になってしまうのかもしれません・・・・しかし、私と妻は、今でも、警察官から、私が抱きかかえて助けた・・・。 と言う言葉を聞いたと思っています」

【警察】 「調べた結果、そういうことになりました」

【伊原】 「一般的な話? と言うことなってしまい、本当に辛いのですが、 そういうことであればもう、あの警察官は私達にとっての神様でも、大芽を救出してくれた人でも何でもないので、今まで心に秘めていたお話をします・・・。」 「皆さんはお子さんがいらっしゃいますか。」

【警察】 「います」

【伊原】 「お子さんに名前を付けるときに、皆さんはどのような事を思い、名付けますか。 私は、供述調書を作成中に、先程の警察官から、大芽くんはどういう思いで名付けたのですか。と聞かれました。 だから、芽が大きくなりますように・・・とか大きな芽が出ますように・・・とか、呼びやすい名前にしたかった・・・そして、姉がメイちゃんって呼ばれていて、木の芽の芽の字を使っているので、姉弟のつながりを持たせたかったんです。って言いました。」 「そしたら、そのあとに、あの警察官は私達になんて言ったと思いますか」

【警察】 「・・・・」

【伊原】 「同じ字を使うと命の取り合いをしちゃうんですよねって言ったんですよ。あのかたは・・・」 「今まで、私と妻にとってあの警察官は、大芽を助けてくれた神様のような存在だったので言いませんでしたが、 そう言ったんですよ。  これは、一生引きずりますよ私達は・・・心の中に・・・ だから、そう言われた時は、遺族はみんな辛いんです・・・。自分を責めているんです・・・ かみさんだって、あの時間に登校させなければ良かったとか、もう少し早く起こせば良かったとか、いろいろ自分を責めているんです・・・大芽に謝りたいって言ってるんですよ、 でも、かみさんにも言うんだけど、それは違うよって、今回の事故は、運がいいとか悪いとか、そういうことではすませられないし、6人の子もみんないい子だし・・・まじめに生きていたし・・・って、 だから、その時は、その警察官には、聞かなかった事にするからって言ったんです。 その事を認めてしまったら自分自身を責めちゃうし、一生それを背負って生きて、自分自身を責め続ける事になるからって言ったんです・・・。 だけど、その当時は、本当に大芽を助けてくれたことに感謝していましたので、今まで自分の中に閉じこめてきたんです・・・。」

「だから、調査の結果、警察さんの回答が、一般的な話・・・・ということになったと言うことは、本当につらいです・・・。」 

 「我々は、ひとつひとつが後悔することばっかりなのに、命の取り合いをするなんて名前の事まで言われ、一般的な話だったか、つぶやきだったか知らないけど、 これ、私達は、本当に助けてくれた人だって思ってたから、言わなかったんですよ。 大芽を抱きかかえて助けてくれた人だって思ってましたよ。 だから、名前のことは、そう言うかもしれないけど、俺達は苦しんじゃうから聞かなかった事にするからって帰ってきたわけですよ。 でも、 助けてくれた人だって、最後に大芽を助けてくれた人だからって今まで思っていたわけですよ。 これ、辛いですよ。 つぶやきなのか、ぽろっと言った話なのか分かりませんが、こんなことは、市民を守るべき警察の方が、被害者には絶対に言ってはいけないことだと思っています・・・。」

「大芽の名前は私がつけました・・・この事は、一生私の心の中に残りました・・・私が大芽を殺したことになるのかもしれません・・・」 

「何でそんなことを警察の方がいうんでしょうかね・・・・」 

「未だにずっと考えるんですよ・・・・名前のせいなのかな・・・とか」

「僕が大芽の名前をつけたんです・・・・本当に辛いです・・・」