新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

新型インフルエンザの血清療法

2009-12-27 12:11:11 | インフルエンザ:対策/対策の進歩

「新型インフルエンザに感染して生還した人の血清中には抗体が出来ているはずである。だから、その血清を重症患者に点滴すれば、即効するはずである」
はて、どこかで聞いたことあるぞ、その話・・・
 そう、映画「感染列島」の1シーンでした。壇れいさんが奮闘し、これをやる。

その映画のワンシーンのような光景を実用化しだした国があります。中華人民共和国。

  • 中国では、新型インフルエンザから回復者の血清を、重症患者の治療に使うということが開始された。
  • 中国全土の献血ポイントでは、新型インフルから回復したりワクチン接種して高い抗体値をもつ者からの献血をすすめている。その血液は、新型インフルエンザ重症者の治療に使われる。(In many parts of China, government-run blood collection stations have been harvesting plasma from people who have high levels of swine flu-fighting antibodies in their blood,)
  • この治療は、抗体を入れれば、新型インフルエンザとの戦いに役立ち速やかな回復に役立つという理論に基づく。安全性については確立されておらずWHOも勧めていない。
  • 鳥インフルエンザおよびSARSでは、(血清療法の)エビデンスがある。
  • B型肝炎や狂犬病でも血清療法が行われることがある。タミフル耐性の問題からも、他の治療法が関心を集めている。

以下、血清の輸血により血液感染(HIV、肝炎)リスクが考えられるだとか、実際にやってみたら著効しただとか、お決まりのようなディスカッションが続きます。

管理人的に驚くのは、中国全土の献血ポイントで収集が始まっているという点です。つまり、特定実験室でひっそりじゃなくて、”実用化”の香りが漂う点です。

こういう事(思い切ったリスクをとる)が出来る国というのは、今後、すごいペーパー(論文)を量産してゆくのでしょうね。

ソースはcanadian press↓
http://www.google.com/hostednews/canadianpress/article/ALeqM5hqY9yvFjHpmFGCz-O1e2oOHSl_ZQ
http://chealth.canoe.ca/channel_health_news_details.asp?news_id=29765&news_channel_id=151&channel_id=151

China treats severe swine flu patients with plasma harvested from recovered, vaccinated people

 

コメント (3)
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