新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

照会・お便りetcはこちらへどうぞ
opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

これまであまりデングで有名じゃなかった場所にデング

2019-11-11 11:38:42 | デング熱

デング熱の非常事態宣言やら未曾有の云々の報道が続く2019年ですが、もう少し地味ながら「これまでデングで有名じゃなかった場所のデング」


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台湾旅行は蚊に注意(デングは3桁目前、日本脳炎もあちこちで)

2019-10-23 08:47:29 | デング熱

台湾の蚊媒介性疾患、微妙にいろいろと。

  • デング熱の国内感染。定石どおり都会(〇〇city)で、台北新市街の発生をもって99例目です。3桁も時間の問題か。
    Kaohsiung City, 31 cases in Tainan City, 7 cases in New Taipei City, 2 cases in Taipei City, and 1 case in Taoyuan City and Taichung City.
  • 日本脳炎。定石どおりの田舎(〇〇county)が多いのですが、〇〇cityと称する地名も出ているのが気になるところです。ここらへん、台湾の実情どうなのか。これが北京なら、Beijing Cityは万里の長城のあたりまで含まれ、豚小屋のすごそばで生活と言うイメージのところもあり、なんら不審なところはないのですが。。
    Kaohsiung City, 4 cases in Taoyuan City, 3 cases in Taichung City, 2 cases in Chiayi City, Pingtung County and Changhua County, and Chiayi County. 1 case in Hsinchu County and Yunlin County.

http://outbreaknewstoday.com/taiwan-99th-local-dengue-case-additional-japanese-encephalitis-case-confirmed-54142/?fbclid=IwAR0ynsex2-dMb5FekCMnYzQpqYB6pqrpnSodL1ckHhAImvMkkfseP4bZVwc

Taiwan: 99th local dengue case, Additional Japanese encephalitis case confirmed       

        by                Robert Herriman              
October 20, 2019

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京都・奈良を修学旅行した高校生はこうデング熱に感染した(京都人の見解)

2019-10-17 23:04:49 | デング熱

デング熱に修学旅行の高校生が感染し、京都・奈良でもらったらしいとの報道が昨日から流れています。これから修学旅行シーズンごとに、こういう事が繰り返されるだろなあというのが実感です。

京都生まれの管理人からみれば「さもありなん」というストーリーです。京都(&奈良)に修学旅行に行き、2人”だけ”が診断された。無症候例もありますから、実際の感染はその倍あたりでしょうか。以下考察

1.なんで2人(~その倍程度)なの? 実はいまどきの京都修学旅行は、観光バスから大勢ぞろぞろ降りてくるのも勿論すたれてはいませんが、タクシーを借り切ってグループで京都の街を回るのが”今風”です。管理人も帰省していつも手を合わせにゆく神様仏様のところにゆけば、中高年男性(タクシー運ちゃん)+3~4人の高校生という組み合わせが、何組も闊歩しているのがいつもの光景です。だから数十人ではなく、2人+αだけ感染するのは、まあそうだろうなというのが実感。では、彼らがどこに行きたがるか。漫画ミュージアムあたりはともかく、先生のOKも要りますから、やはり神社仏閣です。人気は、縁結びの神様、芸能人の玉垣の神社、サッカーの神社、パワースポット、いろいろ。山のようなインバウンド旅行客と、山のような高校生が邂逅します。

2.さて、神社仏閣における、デング熱対策は如何に。これ、公的補助が無けりゃ絶対ムリです。以前、2014年に代々木公園ほかでデング熱が大ブレイクしてしまったのは当サイト常連さんには記憶鮮明なところです。その時に宗教関係者にアンケート調査おこないました。論文は、関西福祉大学リポジトリからpdfダウンロードいただけます( 勝田吉彰: デング熱・チクングニヤ熱など媒介蚊対策における宗教関係者の意識調査 日本医事新報)4764:44-49 2015)

https://kusw.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=448&item_no=1&page_id=24&block_id=42

 

実はこの頃、管理人はいくつかの僥倖に恵まれました。管理人が奉職する関西福祉大学は金光教(神道系)の経営です。その大教会長が管理人に講演を依頼して来られたのが国際宗教同志会、神職もお坊さんも宗派を超えて仲良く席を同じくする世界というのを初めて知りました。そのご縁で、神道系も仏教系も、誰でも名前を知ってる有名寺院含め、アンケート調査を実施することが出来た結果が上記論文です。

神社仏閣の蚊対策、それはそれは大変です。境内の50%以上が薮や森林や竹藪という処が23%、「竹林だけで2000坪」と書かれていたところもあります。蚊対策は不可能、かなり困難あわせ72%。少しお話させていただいた有名神社のグーグルアースは、ひたすら森。そのHPを見れば、ご利益は(高校生大好きな)縁結び。また、別の仏閣からは隣接する墓地の花指しから大量の蚊がという声も。

蚊対策には、公的支援が必要という声が数多く記されています。

この画像は、車折神社。芸能人たちの玉垣は、多くの修学旅行生たちをひきつけ、インスタ画像はあふれかえっています。(余談ながら、ここは管理人の少年時代の、学習塾のすぐご近所です。つまりこの神様とは50年来のおつきあいいただいておりまして、H1N1以来10年来、TV局ラジオ局で大きな失敗をせずにやって来れてるのはこの神様のご加護と率直に信じておるところであります)さて、この神社とて、境内の樹木には苦戦しており、毎年、「尊厳維持」と、その伐採の費用を求める振込用紙が送られてきます。管理人も、いくらか協力はさせていただいておりますが、そういう寄付が集まるわけでもない多くの神社仏閣の状況は推して知るべしです。

結論;

1.今回の、京都奈良修学旅行生のデング熱罹患は、京都人から見れば「さもありなん」である。

2.京都の(奈良も)神社仏閣が、大勢のインバウンド旅行者と修学旅行生であふれかえり続ける限り、今回のような事象は起こり続けるであろう。来年も再来年もその先も。

3.それでは京都のイメージダウンだから、なんとかせなあきまへん、だが、神社仏閣の自助努力で蚊をなくせというのは絶対不可能である。公的支援が不可欠。(詳細は上記論文)
 

 


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デング熱が今年こんなに炎上してるのは都市化と温暖化のせい

2019-10-09 00:15:00 | デング熱

今年、デングの話題が世界中で大炎上しているのはなぜか。

  • 今年のデング、フィリピン・バングラデッシュでは制御不能なように見える。他にPalau, Nepal, Guam, the Cote D’Ivoire, the Cook Islands, French Polynesia, and in other places throughout the tropics.でも
  • デング熱はまだまだ未知の疾患。症状をだすのはなぜ25%だけなのか、重症化するのはなぜ0.5%だけなのか、わかっていない。ワクチンは試行しているがフィリピンの失敗ではパニックが起こった。ジカ熱に罹患すると、当面の間、その免疫でデング熱に対しても効果。しかし。ある程度が経過すると、かえってかかりやすくなる。
  • ひとつの要因は、気候変動で媒介蚊の分布域が拡大していることにある。欧米でも現地感染が見られるようになってきた。
  • しかし、こうした、新たに出現したところよりも、元々あったところに、さらに濃密かすることが目立っている。アジア・アフリカ・中南米。これらの国では、急激な都市化で、当局の対策の手が回らないことあり。急激に人々が流れ込むこむ結果、衛生環境は悪化し、水のたまる場所も急激に増えた。

都市化(急激に人口膨張してスラムのような地区が出来る)と地球温暖化がキーワードです。

 

https://www.directrelief.org/2019/10/this-is-the-worst-dengue-year-in-nearly-a-decade-it-may-get-worse-from-here/?fbclid=IwAR0ycqXd6h6pqDHKYi7nrJ9hQb4WoJFp60Vso1RZ9O327fPXghAuXVSSI34

 


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世界中で目立ちまくっているデング熱ジカ熱の大当たり年、こんなに報道が続いているぞ。

2019-08-07 01:01:55 | デング熱

なんだか令和に入って、デング熱の報道が連日連日、世界中から目立っているようなのですがここらでちょっと並べてみました。

1.フィリピン。国全体で流行宣言。14万6千超。
http://outbreaknewstoday.com/philippines-declares-national-dengue-epidemic-as-cases-top-146000/?fbclid=IwAR07NeuzxTofCZ6jFdn_xSVLsKttiiZJLpygWSlmW69qRQBB360Xdh_UBVg

South Cotabato 州ではデングⅠ~Ⅳすべてのタイプが流行確認されていますから、すなわち、複数回異なる型に感染して重症化リスクを上げてしまうなんてことも当然いっぱい起こるわけでますます要注意。
http://outbreaknewstoday.com/south-cotabato-all-four-dengue-strains-circulating-40393/?fbclid=IwAR2oe57OzaSJ-g8BjBPbHRgPKzxjMu7DRGgLjpEwDoF-cJUom2yIV1Vw_1U

 

2.バングラデッシュ。2万5千例。
この国は、日本企業進出の増加「率」で第三位(一位はミャンマーだけれど)にあるので、産業医のみなさん要注目です。7月時点にして、すでに昨年一年分を超えています。
http://outbreaknewstoday.com/bangladesh-dengue-outbreak-nears-25000/?fbclid=IwAR3fGbBN3Y-qjp-c_CylOBiGk4xf3vEuR2ALnHuTQPyZNiyNDaZruzC1ii0

デング対策がうまくいっていないことに抗議して、ダッカ大学生が暴動を起こすなんてことまで。
http://outbreaknewstoday.com/dengue-in-bangladesh-tally-tops-10000-dhaka-university-protests-34552/?fbclid=IwAR0qygpQSXir0ar2nddCQlvwWn9IOEumXeCyr2lISf7n4RZVyw1nu-DgPWw

1日で800例、爆発した日もありました。そりゃあ学生も暴れたくなります。
http://outbreaknewstoday.com/bangladesh-reports-nearly-800-dengue-cases-in-one-day-july-is-a-record-month-65386/?fbclid=IwAR3p3dvwJ6X8pMcJ0l9yy8B8YwxLW70e4NS-94Pf1G_c5bRs7RW_6VMBbkk

3.ベトナムで10万例
言わずと知れた、企業進出ブームの国。
 (Khanh Hoa, Binh Thuan, Ho Chi Minh City, Dong Thap, Thanh Hoa, Nghe An, Ha Tinh, Ba Ria – Vung Tau, Binh Duong, Binh Phuoc and Binh Dinh , Da Nang, Quang Nam, Gia Lai, Dak Nong, Dak Lak, Ninh Thuan, Phu Yen, Dong Nai and Tay Ninh).で発生です
http://outbreaknewstoday.com/vietnam-dengue-cases-top-100k-through-july-71306/?fbclid=IwAR27MR4wsILypHG6DmtdWwgKIDN5wtHFOdZhdeETF3UQqD_n4rM5f8ihlMI

4.台湾。デング熱のみならず、チクングニヤ熱まで国内発生してしまいました。
http://outbreaknewstoday.com/taiwan-reports-1st-indigenous-chikungunya-case-54543/?fbclid=IwAR3yIiP7iebsaELmtXkfs_aV7gwOSxof_kAVav60GMka6K6_0gSVB84H-U8

5.シンガポール。8000例。対前年比5倍のペース。
http://outbreaknewstoday.com/peak-dengue-season-in-singapore-8000-cases-5x-last-years-number-26932/?fbclid=IwAR14UpBJ_Me4wPRgBgQLlYuUwSBF1tmPUyB9evXMDamlCoI-bQVcnGhw32I

6.微笑みの国タイは5万例
http://outbreaknewstoday.com/thailand-dengue-cases-near-50k-officials-will-find-measures-to-contain-46782/?fbclid=IwAR3pZaMW4OHLYYxZJsGm-NW727DZ7ltCix87_EhLuGP8jGI-DKwP3icJVWU

7.タイでチクングニヤ熱に感染して香港で発症、香港当局緊張。管理人のミャンマーでの知人も最近、帰国後某県でこれが発症して、当局や病院の反応が大変でした。
http://outbreaknewstoday.com/hong-kong-reports-3-chikungunya-cases-in-travelers-to-thailand-50594/?fbclid=IwAR0nfuBSMJ2n0fdBZT8sus-AJHeZF_KMSIkqL4YwyxK9aDbvilRzCQamvZY

さて、日本。2014年代々木公園ほかの大騒動で、その次の次の年あたりまではそれなりに蚊対策の緊張感が感じられましたが、メディア含めてまったく関心盛り上がらない昨今です。

ちょっと余談。管理人的に、一般世間の蚊媒介疾患(デングとジカでしょう)に対する関心を実によく映し出しておると思うのがこれ。アース製薬の株価チャートです(月足)。
代々木公園騒動の2014年にががっと上がり(夏に上ひげが出て)、翌2015年は「来るぞ来るぞ」とばかりに2014年以上に上がり、2016年のジカ熱騒動をうけ、30%DEETの2017年には頂上を迎えます。しかしながら、その後ガガガガーッと下がる一方で2018年2019年。国民の関心レベルはこの通りでございますと見事に映し出しています。こんな時にこそ病魔が滑り込んでくる・・・なんてことにならねば良いのですが。


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非常事態宣言! デング熱 ホンジュラス

2019-07-05 08:35:43 | デング熱

デング熱の非常事態宣言(State of Emergency)。ホンジュラスです。

  • 全国18地方中12地方で。先月6月までに11,436 例、重症化4000例、死亡63例確認。
  • 特に多いのがCortés (4,200 cases), Yoro (1,083 cases), Olancho (855 cases) and Santa Bárbara (643 cases).@赤十字発表。さらに、1,042 cases reported in the San Pedro Sula Metropolitan Region
  • すなわち、75%が北西部に集中。

重症化が1~5%といわれていますから、4000例の重症例が発生しているなら(さすがに、重症化率3割のスーパーデング熱なんてオカルト話は聞きませんから)、実際には8万から40万例の感染者がいることになります。

日本では、昨6月が幼生退治の月で今月から本格的に蚊がでてくるわけですが、ここのところ、ホンジュラスよりは身近なフィリピンあたりでも相当なことになっていますから、ひと騒動ならなければよいですが・・・

 

http://outbreaknewstoday.com/honduras-dengue-outbreak-state-of-emergency-declared-in-2-3s-of-departments-62674/?fbclid=IwAR1yOkt_irPhlj5ag2j4evQa1nozpmOjKUADVtNyja_t6XnDZTquRdX_GoM

Honduras dengue outbreak: State of emergency declared in 2/3s of departments       

        by       
July 3, 2019
 

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デング、デング、デング・・・ここのところ賑やかになってきた

2018-08-16 17:21:00 | デング熱

ここのところ世界中の一般報道でDengueの大見出しが目立ってきました。
夏休みも終盤、渡航歴の聴取は忘れずに・・・

ゆめご注意を・・

 


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フィリピンのデングワクチン失敗、責任なすりあい場外乱闘へ

2017-12-13 11:27:00 | デング熱

フィリピンのデングワクチン集団接種、責任なすりあいの場外乱闘戦の様相です。

もともとデング熱は1回目の感染で不完全な免疫ができたところに2回目の感染が起こると重症化という話が以前からあったところに、ごく最近、そのメカニズムが明らかになりました。

だから、感染経験のない(Dengue Naiveな)人に接種したら、かえって重症化してしまうかもしれない・・・という説が本当になってしまい、フィリピンの集団接種も中止に。

そして場外乱闘戦。サノフィが、「だからあの時言ったじゃないの・・」と後出しじゃんけん的な主張、ロイターが取り上げCIDRAPが報じ、騒ぎが広がりそうです。

サノフィの主張は、
まだデングワクチンの安全性を証明する長期データはない。
だから大量集団接種ではなく、小バッジでと主張した。
しかしフィリピン政府は小児集団接種に走ってしまった・・・と。

なんだか後出しじゃんけん的な、これがうまく行っていたならこんな主張を今してないんだろなあみたいな事を言ってます。場外乱闘戦、まだ広がりそうですね。

http://www.cidrap.umn.edu/news-perspective/2017/12/news-scan-dec-11-2017

 

https://www.reuters.com/article/us-sanofi-dengue-philippines/exclusive-philippines-defied-experts-advice-in-pursuing-dengue-immunization-program-idUSKBN1E40RR


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ドゥテルテが減らしたのはヤク売人だけじゃなくてデング熱も。日本にも福音かも(フィリピン)

2017-11-11 11:36:14 | デング熱

 ヤク売人皆殺し作戦で名をはせたフィリピンのドゥテルテ政権、減らした災厄はヤクだけじゃなくてデング熱もドラマチックに減らしたようです。

  • 2015-16年にかけて、フィリピンでは毎年、20万例のデング熱が確認されてきて、アジアでも最も激しい国のひとつ。しかし、今年2017年、これまでの報告は97287例(死亡526例)で、前年同期167102例に比べて41.7%減!

実は、この8月にも、フィリピンのデング熱が37%減っているという報道は出ていました。
http://outbreaknewstoday.com/dengue-philippines-cases-37-testing-available-malls-63825/

ショッピングモールでデング熱の検査が出来るようにしたり、意識づけの施策がとられています。そしてさらに減少幅が拡大できたというとのようです。

フィリピンが頑張ってデング熱を減らしてくれるのは、実は、我々日本人にとってもありがたいことです。日本のデング熱輸入例、その始発駅のチャンピンはフィリピンとインドネシア。したがって、これらの国でデング熱が減ってくれれば、日本のデング熱リスク減少に直結します。独裁大統領のもとで、ヤク関連以外でも、なにかとピリっと締まっているのでしょうか。
「日本の輸入デング熱症例の動向(感染研)」を読んでみた
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/ae6ffc698862402eea45f67c1d40ef0e

http://outbreaknewstoday.com/dengue-cases-near-100000-philippines-dramatic-decrease-last-year-20170/

Dengue cases near 100,000 in the Philippines, dramatic decrease from last year

November 9, 2017

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デングの2回目感染で重症化(出血熱化)のメカニズムが解明された

2017-11-04 17:03:41 | デング熱

デング熱は、初回感染よりも、複数回目の感染の方が重症化(デング出血熱など)しやすいことのメカニズム解明。

  • 米・ニカラグア合同チーム。スタディはN=6700.2~14歳の小児を12年間追跡。年1回採血し、発熱症状があるたびに医学的評価(診察)。
  • 二度目の感染時に、最初の感染による抗体産生が低下しているときにAntibody-dependent enhancementが起こるのが原因(Antibody-dependent enhancement, or ADE as it’s known in scientific circles, can happen, they reported, when subsequent infection occurs at a time when antibodies generated by the prior infection have fallen to a specific low range.)
  • 今回のスタディでは統計学的には3種類のアプローチがなされたが、3つのいずれも結果が一致。「すべての道はローマに通ず」と。重症化につながりやすい抗体価を見つけたのみならず、3つの異なるアプローチで結果がぴったり一致したのも驚きだったと。

  • 以前にデング熱罹患歴のある子どもで、抗体価があるレベルより低下すると、重症化するリスクが高くなることが判明。この、低下した抗体価(anti-sweet spot )になると重症化リスクは8倍になる。

  • 抗体価が低下していると、侵入してきたウイルスを中和することが出来なくなる。しかし、侵入してきたウイルスにくっつき、細胞に侵入しやすくなり複製しやすくなる。あるレベルの抗体があることは、まったく抗体がない状態よりかえって危険であるというのは直観とあわないが、しかしそれこそがデング熱のトリッキーなところである。そしてみなここで立ち往生する。抗体というのは守ってくれるものだと思われているから。

  • ただし、この知見だけですべてを説明できるわけではない。初回感染で重症化するケースもあり、メカニズムはひとつではない。ただし、この説明がヒトだけに説明できるのは確かである。反対に、抗体価が高ければ、重症化の予防になる。 

  • 以前、キューバの報告で、肥満体ではデングが重症化しやすいというものがあったが、これも同様にAntibody-dependent enhancementによるものではないかと推測される。

  • また、今回の知見からは、デングワクチンの接種にも注意が必要であるといえる。すでに罹患歴のある場合には接種して良いが、これまでまったく罹患歴のない対象に対しては、(下手に低抗体価をつけると重症化リスク高まってしまうので)投与すべきではないということになる。

う~ん、と唸る話です。中途半端な免疫をもっていると、かえって重症化リスク高まってしまう。いっそのこと、そんな中途半端な抗体もってない方がリスク低いと言われているようなものです。

デング熱は、渡航医学的にも大テーマです。海外赴任者を送り出すときのトラベルワクチンに、今後もデングワクチンが入りそうにないことはわかりましたが、では、一度感染したことのある人は日本に帰すべきかどうか。何年か前の渡航医学会のやりとりで、そこまでしなくても良いのではという流れになったように記憶しておりますが、それは、この知見でも変わらないのか。(企業経営的にはデング熱にかかるたびに人事異動ではやってられないという声になりそうですが、まあ、それは置いといても)ディスカッションは望まれますね、とりあえず来来週の合同大会懇親会の場ででも。。。

 

https://www.statnews.com/2017/11/02/dengue-second-infection/

Scientists solve a dengue mystery: Why second infection is worse than first


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