新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

ナイジェリアでラッサ熱が激増したのは温暖化でネズミ大繁殖のせい?

2018-03-14 20:00:20 | ラッサ熱

ナイジェリアでラッサ熱が例年にない大暴れをして疑い例が1000例を超え、死亡例も78例と大騒動の件。その理由は温暖化でげっ歯類大繁殖が理由ではないかとの識者の声@VOX

ナイジェリアでは例年、9月頃からが農地に繁殖し、収穫後に焼き畑をするとヒトの居住エリアにやってきてラッサ熱が発生する。しかし、今シーズンは前例のない未曾有の規模。なぜか。

地球温暖化によって、ある時期に降雨が増え、ねずみの食糧が増える。そのためねずみの繁殖が容易になるが、その影響はヒトの10倍20倍。

また、現地の人々にとってねずみはご馳走、貴重な蛋白源。ネズミを見たら考えることなく即食べてしまう。。。

地球温暖化で降雨が増えて食糧が増えるからねずみが爆発的に増えて、未曾有のラッサ熱流行・・・ということなら、来シーズン、来来シーズンと増えてゆくことになります。

また、比較的経済力のあるこの国は、たとえばTICADアフリカ開発会議なぞのたびに、日本のメディアに”最後のフロンティア”と囃されたりもします。アジアのような在留邦人数激増とはならないと思いますが、しかし、管理人の知人(メーカー営業)はこの国に転勤になったりしています。遠い世界の話ではありません。

https://www.vox.com/science-and-health/2018/3/9/17092624/lassa-fever-virus-outbreak-symptoms-nigeria


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ナイジェリアのラッサ熱

2018-03-08 09:32:13 | ラッサ熱

ここのところ騒動の続いているナイジェリアのラッサ熱。今年始めから3月4日までの発表。

  • 先週1週間で、35例増、うち7例死亡。
  • 年初来のトータルでは1121例(疑い例含む、確定は353例)、110例死亡、死亡率23.8%。医療従事者の感染は16例で死亡4例。21~40歳男性に多く、現在3000人が観察下に。
  • 85%はdo, Ondo, and Ebonyi 州で発生。
  • ラッサ熱はげっ歯類の尿、感染者の体液など。症状は発熱・嘔吐・悪寒戦慄・嘔気・咳。また、マールブルグやエボラ類似の出血。
  • 例年の季節性増加をはるかに上回る規模であり、国際社会に支援要請。

例年の季節性流行を上回るイレギュラーな規模、死亡率23.8%。
また通常ではないことが展開しています。

ソースはCIDRAP
http://www.cidrap.umn.edu/news-perspective/2018/03/nigerian-lassa-fever-outbreak-tops-1000-suspected-cases

Nigerian Lassa fever outbreak tops 1,000 suspected cases

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ラッサ熱が国境を越えて拡がっている

2017-03-12 09:52:07 | ラッサ熱

ラッサ熱。3月10日付WHOアップデートではやたらと「impoted from 〇〇国」が目立っています。

  • ナイジェリア在住女性がベナンで発症。妊婦。帝王切開術翌日に死亡。その夫は乳児を連れて、黙って病院を去ってトーゴのMangoへ。そこで入院。乳児はラッサ熱陽性、リバビリンで治療中。父親は陰性。接触者追跡、ベナン国内で68例、トーゴ国内で29例。
  • ブルキナファソの妊婦。最初ブルキナファソで入院。退院後、自宅で流産。それからブルキナファソで再入院、それからトーゴのMangoの病院へ移送され入院。3月3日に死亡。ラッサ熱陽性確認。
  • その他、トーゴ国内で完結する男性例。

なんだかひっちゃかめっちゃかですね。
「国境を越える感染症」なるキーワードは管理人が好んであちこちで使っているものですが、その国境を越える敷居がとってつもなく低いのがアフリカ。国境管理も機能しないうっそうとした森や草原をひょいひょいと徒歩で・・・という感覚は、EVDのときにギニア・シエラ・リベリア発でそこそこ知られているところでもあります。
今後も、一類感染症が世界を震撼させることになる構成要素のひとつとして、ブッシュミートともども認識しておかねばならないことでしょう。

追記:徒歩で国境を越える・・と書きましたが、厳密には、セットプラスだのカーラピッドだの、ポンコツ車1台あれば出来る公共交通機関がさまざまに入り乱れるのもアフリカ。

ソースはWHO
http://www.who.int/csr/don/10-march-2017-lassa-fever-benin-togo-burkina-faso/en/

Lassa Fever – Benin, Togo and Burkina Faso

Disease outbreak news
10 March 2017

 


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ラッサ熱の輸入例、スウェーデンにも

2016-04-05 07:49:14 | ラッサ熱

ここのところ、ちょっとした騒動になっているラッサ熱。震源地アフリカから独米に移送やら遺体経由国内感染飛び火やら報じられてきましたが、今回はスウェーデン。

  • スェーデンのイエテボリにてラッサ熱確認の女性。西アフリカへ渡航歴(国名は公表されていない)。
  • 状態は快方に向かっている。しかしながら、国のガイドラインに沿って、ストックホルムの指定病院へ。Linkoping University Hospital。この指定病院では2011にも国境なき医師団で活動後にラッサ熱発症例が入院している。
  • ラッサ熱はげっ歯類の分泌物で感染、また、ヒトヒト感染も分泌物、尿などで起こる。25%に聴覚障害、重症例では死亡率15%。
  • 病名の由来は1969年にナイジェリアBorno州のラッサ熱で発見されたことにちなんだもの。

国名がナイジェリアともベナンともトーゴとも公表されないのですが、今回の流行はかなり気になる動きを続けています。

ソースはeurope online
http://en.europeonline-magazine.eu/swedish-woman-diagnosed-with-lassa-fever_447712.html

Swedish woman diagnosed with Lassa fever


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トーゴ→ドイツ・米へ飛び火のラッサ熱騒動全貌

2016-03-31 13:09:37 | ラッサ熱

ラッサ熱がドイツ・米へと飛んだ騒動の全貌がWHOから発表。

  1. インデックスケースは47歳男性。米国の慈善団体NGOで活動の医師。
    トーゴで医療活動。2月12日嘔吐と発熱で発症。当初、マラリアの診断で治療を受ける。(当然)改善しないので2月25日になってドイツ・ケルンへ緊急移送される。しかし到着翌日の26日に亡くなってしまう。ラッサ熱の検査結果が確定したのは剖検によってであり、死亡後の3月9日。
  2. 米国に飛んだ(緊急移送)ケースは、33歳男性。医療助手としてインデックスケースのケアにあたっていた。3月5日にトーゴで発症。隔離されたのは9日。12日にアトランタのエモリー大学病院に緊急移送されて隔離治療中。
  3. ドイツ国内で感染した(国内感染)ケースは葬儀社社員。3月2日にインデックスケースの遺体にふれた(この時点では、ラッサ熱の遺体とは認識されていない。ラッサ熱と確定は1週間後)。3月10日にラッサ熱検査うけたが陰性。12日の再検査でようやく陽性。
  4. コンタクトトレースの対象はトーゴで13例、米で1例、ドイツで52例。

今回の先進国に飛んだ経緯については全貌が明らかになりました。
先進国においても、確定診断まで時間がかかって2次感染が出てしまうというのは、話題になっていない時点の第一例では仕方がないというのが教訓でしょうか。

とはいえ、難治性マラリアの仮診断で送られてきたケースをちゃんと剖検してラッサ熱だと診断したドイツはキチンとした国だとはいえるでしょう。

ソースはCIDRAP
http://www.cidrap.umn.edu/news-perspective/2016/03/more-details-emerge-german-us-lassa-cases-linked-togo

More details emerge on German, US Lassa cases linked to Togo

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接触者からは


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ラッサ熱騒動がドイツ国内感染に飛び火した

2016-03-18 09:09:17 | ラッサ熱

ナイジェリアからベナンやトーゴに現在進行形で拡大しているラッサ熱騒動。先進国への影響も、米国への緊急移送に次いでドイツで国内感染とイベントが相次いでいます。

  • ドイツ国内感染確認、フランクフルト大学病院に隔離入院中。
  • 今回の感染者は葬儀社社員。感染元はトーゴで活動して亡くなった米国人看護師。その遺体からの感染。
  • 3月3日に最初の遺体がAlzeyに運び込まれ、さらにトーゴに移送するために葬儀社社員が関与した。最初の遺体のラッサ熱がケルン大学病院で確認されたのが3月9日。
  • それからただちに、体液にふれた葬儀社社員の検査がおこなわれ、結果、ラッサ熱感染が確認されてフランクフルト大学病院隔離入院へ。家族は症状など無いが念のためフランクフルト大学病院入院観察中。
  • これはドイツ国内での感染としては第一例。輸入感染例は1974年から6例あり。

遺体から葬儀社社員への感染という特殊例ではありますが、ドイツ国内で感染ということで騒動になっています。遺体ということですから、もちろん、サーモグラフィーを通ったりはしないわけですが、それだけに落とし穴になります。実際に体液にふれてから6日経ってからラッサ熱感染が分かって、大慌てで検査して、陽性確認されて騒動に・・・と、この最先進国においても”想定外”の虚を突かれたらという一例です。

ソースはシュピーゲル
http://www.spiegel.de/gesundheit/diagnose/frankfurt-bestatter-mit-lassa-fieber-auf-isolierstation-eingeliefert-a-1082716.html
Nach Todesfall in Köln: Bestatter mit Lassa-Fieber auf Isolierstation eingeliefert

ProMED
http://www.promedmail.org/post/4098169

outbreaknews
http://outbreaknewstoday.com/german-funeral-home-worker-tests-lassa-positive-admitted-to-frankfurt-hospital-85316/

【追記】
その後の動き、合計3例か?と思われたけど2例陰性だったの時点
http://www.nbcnews.com/health/health-news/lassa-fever-case-puzzles-german-doctors-n541736

 

 


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ラッサ熱がトーゴに拡大、米国人医師も感染⇒エモリー大へ

2016-03-15 08:11:51 | ラッサ熱

ナイジェリアからベナンにかけて流行拡大中のラッサ熱(エボラとおなじ一類感染症)、トーゴに拡大。米国人医師もここで感染してアトランタに緊急移送されています。

  • トーゴにてラッサ熱確認1例、疑い例1例。
  • トーゴにて活動していたキリスト教系慈善団体の米国人医師1名が感染。アトランタのエモリー大病院に緊急移送されて隔離療養中。管理は厳重になされており、(米国の)市中に拡がる可能性はないと強調。
  • ラッサ熱は、アフリカで年間推定30万例感染と推定されるが入院が必要となる重症例は3%程度。マストミス(ネズミ)によって媒介される。
  • 昨年8月から今年1月にかけて159例感染、82例死亡がWHO公式数字。その他、2月までに101例死亡との報道もあり。
  • 別の数字では、毎年30~50万例感染、5000例死亡の数字も。

じわじわ拡大中のラッサ熱。一昨年のEVD騒動をフラッシュバックさせるようなイベントがまたひとつ。日本にも”実態”が入ってこなくても”騒動”だけ入ってくる心の準備は要るかもしれません。

ソースはProMED
http://www.promedmail.org/post/4090655


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ラッサ熱騒動でナイジェリア保健大臣が大見得きれど疑問多し

2016-02-23 08:06:06 | ラッサ熱

通常の散発とはちょっと様子が違うナイジェリアのラッサ熱騒動。保健大臣が楽観的コメント出せどすかさずProMEDが突っ込む展開。

  • ナイジェリア保健大臣Minister of State for Health Dr. Osagie Ehanire 、教育病院で演説し、ナイジェリアのラッサ熱の数字は、確定診断83例、死亡58例と公表、ナイジェリアのラッサ熱は下火に向かいつつあり、この教育病院はとても良い仕事をしていると話した。
  • この演説に対してProMEDコメント。そもそもこの数字はいつの時点の数字なのかさっぱりわからない。前回ProMEDの数字では、2・12時点で疑い178例死亡108例。78例確定で49例死亡。だったはず。また、対策うまくいっていると言うが、ラッサ熱対策にはネズミ対策がうまくゆく必要があり、それはとても難しい。村レベルで対策が行われている気配はまったく無い。

アフリカに在勤したことのある人なら、手に取るようにわかる話でしょう。要人の長々長々長々とした大言壮語演説。統計の無茶苦茶。中央政府とムラレベルの絶望的なまでのコミュニケーション欠如。。。そんなことが一挙に、多少の懐かしさとともに蘇ってきたやりとりでした。

ソースはProMED
http://www.promedmail.org/post/4039559

 


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ラッサ熱騒動はベナンに拡大

2016-02-18 11:30:02 | ラッサ熱

ジカ熱騒動と並行するようにナイジェリア発で暴れまわっているラッサ熱騒動。こちらはベナンに拡大。

  •  アフリカのベナン。首都コトヌーで1月21日から2月13日のあいだに、ラッサ熱感染者68例確認、うち23例死亡。
  • 1月にはラッサ熱症状の妊婦がでTchaourou’ St Martin de Papane hospital.で死亡
  • さらに同病院では6例、医療従事者が同症状との情報もあり。
  • この事態をうけてベナン当局は緊急体制に。その体制には、隔離ユニットの運用、接触者調査、医療従事者200人の動員も含まれる。
  • リバビリンも使えるように手配。

3週間あまりで2桁の感染者数。約30%の死亡率。医療従事者の感染が続々。非常事態体制。一昨年のエボラ騒動を再現しつつあるような話です。人類にとってジカ熱と同時発生ダブルパンチはキツイです。

ソースはニュースガーナ
http://www.newsghana.com.gh/lassa-fever-kills-23-in-benin/

Lassa fever kills 23 in Benin

An lassa fever outbreak has claimed the lives of 23 people out of 68 suspected cases in less than one month in Benin, a Health Ministry official said Tuesday.

 

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ナイジェリアのラッサ熱、首都の病院閉鎖

2016-01-18 11:21:54 | ラッサ熱

ナイジェリアのラッサ熱、首都アブジャで病院閉鎖が報道

  • 首都ラゴスのAhmmadiyya病院。現在の入院患者15人と医療従事者25人は21日間の健康観察に。さらに接触者は92人
  • 感染者の29歳大学生は、最初、この病院をおとずれていた。その後、大学病院に移送されている。

これも感染症流行の初期に起こりがちの事例ですね。受診先をどこに受診すべきか、リスクコミュニケーションが行く渡らぬうちに、感染者が受診してしまい病院閉鎖(あるいは閉鎖しなくても風評被害)。日本では一類感染症に指定され、行くべき病院は決まっているわけですが、こういう対岸の火事のたびに、なんらかの復習的コミュニケーションはあって良いのかもしれません。、

ソースはchannnelTV
http://www.channelstv.com/2016/01/16/lassa-fever-ahmmadiyyah-hospital-in-lagos-sealed/

Lassa Fever: Ahmmadiyyah Hospital In Lagos Sealed

Channels Television
Updated January 16, 2016
 
 

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