新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

照会・お便りetcはこちらへどうぞ
opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

マニアックなサッカーファンは黄熱病ワクチンを!(ワールドカップ)

2013-12-18 08:15:20 | 皆さまへ呼びかけ

 サッカー場で”黄色い雄叫びをあげる熱にうなされた人々”には「黄色い熱の病気」のワクチンを!と厚労省が呼びかけ・・・というのは冗談ですが、サッカーワールドカップでブラジルに行く人は黄熱病ワクチン接種をと呼びかけ。

黄熱病といえば、スーダン赴任前に横浜の検疫所まで接種受けに行った思いでがあります。20年前には、日本国内で黄熱病接種受けられる場所は本当に少なかった。いまでも不便に思う人は多そうでしたが、それでもましにはなった方ですね。そして海外医療に携わっていた間も、ちょっとブログに書きにくいことも含めて色々と・・・

厚労省HP
http://www.tramedjsth.jp/PressRelease.pdf

***********************************************************
(以下コピペ)

ワールドカップ観戦でブラジルへの渡航予定者に
黄熱
おうねつ
の予防接種を推奨しています
~接種は事前予約制。余裕をもって計画的に接種を~

Press Release
報道関係者 各位
ワールドカップ観戦でブラジルへの渡航予定者に
黄熱
おうねつ
の予防接種を推奨しています
~接種は事前予約制。余裕をもって計画的に接種を~
厚生労働省では、来年6月にサッカーワールドカップがブラジルで開催されること
から、渡航の際の注意事項を検疫所のホームページに掲載するとともに、渡航を予定
する方に、早めの黄熱予防接種を呼びかけるリーフレットを作成しました。
黄熱とは、熱帯アフリカと中南米地域の風土病で、蚊に刺されることで感染する病
気です。発症すると、発熱、寒気、頭痛、吐き気などの症状を伴い、場合によっては
死に至ることもあります。
厚生労働省では、ワールドカップが開催されるブラジルでも渡航者が黄熱に感染す
る可能性があることから、早めの予防接種を推奨しており、今後、旅行関係の団体な
どを通じて周知をお願いする予定です。
【黄熱の予防接種の注意点】
・事前予約制(渡航ピーク時は混み合う恐れあり。早めの予約を)
・全国25 カ所の接種機関でのみ接種可能
・生ワクチンのため、接種後4週間は他のワクチンを接種できない
・接種料金は1万円程度
・予防接種証明書は接種10 日後から10 年間有効
別添:『黄熱の予防接種を受けましょう』(リーフレット)
(参考)
・ワールドカップ観戦でブラジルへ渡航される方へ(検疫所ホームページ)
http://www.forth.go.jp/news/2013/12101510.html
・年末年始における海外での感染症予防について(厚生労働省ホームページ)
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/travel/2013winter.html
平成25 年12 月12 日
【照会先】
医薬食品局食品安全部企画情報課検疫所業務管理室
検疫業務係長 大塚 憲孝
食品衛生専門職 杉本 昌生(内線 2468)
(代表電話)03(5253)1111(直通電話)03(3595)2333
健康局結核感染症課
課長補佐 氏家 無限 (内線2928)
動物由来感染症指導係長 村方 佳代 (内線2387)
(代表電話)03(5253)1111(直通電話)03(3595)2257
ワールドカップ観戦で
ブラジルへ渡航予定の方へ
ブラジルに渡航する場合、渡航地域によっては、熱帯アフリカと
中南米地域の風土病「黄熱」の予防接種をお勧めしています。
渡航が決まったら早めに予防接種を受けましょう。
※黄熱の予防接種証明書は、接種10日後から10年間有効です。
詳しくは、最寄りの接種機関(裏面)へお問い合わせください。
黄熱の予防接種を受けましょう!
黄熱の予防接種は事前予約制です。早めの予約を!
希望者が多い場合は、希望日に接種できないことがあります。特に渡航
ピーク時期には混み合う恐れがありますので、早めの予約をお勧めします。
※黄熱ワクチンは他の予防接種に比べ接種者数が少ないことや国際的な予防接種証明書を交付する観点から、
全国25カ所の接種機関(平成25年12月現在)のみで実施していますので、ご注意ください。
余裕を持ったスケジュールでの接種を!
複数のワクチンを接種する場合※には、数カ月かかる場合があります。
余裕を持って、計画的に接種するようにしてください。
※黄熱ワクチンなどの生ワクチンを接種した場合は、接種後4週間は他のワクチンを接種できません。
厚生労働省
平成25年12月12日時点
おうねつ
「黄熱」って、こんな病気
○「黄熱」とは、熱帯アフリカと中南米地域の風土
病で、蚊を媒介して感染する感染症です。発症す
ると、発熱、寒気、頭痛、吐き気などの症状を伴
い、場合によっては死に至ることもあります。
○世界保健機関(WHO)は、流行地域に行く場合
には、あらかじめ予防接種を受けてから渡航する
ことを推奨しています。
※ ブラジルでは、入国する際に予防接種国際証明書(イエローカード)は
求められませんが、流行地域に渡航する場合には、接種をお勧めします。
一部の国では、ブラジルからの入国者に対し、イエローカードが求められ
る場合があります。
○黄熱のワクチンは、全国25カ所の接種機関で接種
できます(料金は1万円程度)。アレルギーや病気療
養中、妊娠中などは、接種が難しい場合もありま
すので、詳しくは最寄りの接種機関(裏面)にお
問い合わせください。
渡航する地域や渡航先での活動内容によっては、黄熱以外にも、A型肝炎、B型肝炎、破傷風、狂犬病等
の予防接種をお勧めしています。詳しくはこちらhttp://www.forth.go.jp/useful/vaccination.html
接種推奨地域内の会場
● ワールドカップ会場都市
接種推奨地域
サルヴァドール
マナウス
ナタル
レシフェ
フォルタレーザ
ベロオリゾンテ
リオ・デ・ジャネイロ
クイアバ
サンパウロ
クリチバ
ポルト・アレグレ
渡航地域を踏まえ、接種をご検討ください。
ブラジリア
推奨しない地域等
※WHO
(世界保健機関)による。
2014 ワールドカップ会場都市(ブラジル)
1次リーグで日本戦が開催される会場
(※国旗は対戦国、日付は日本との試合日)
6月14日
6月19日
6月24日
接種場所
予約先・
受付時間
接種日時住所
小樽検疫所
0134-23-4162
平日8:30~17:15
第2火曜日
北海道小樽市港町5番2号
(小樽地方合同庁舎1階)
千歳空港検疫所支所
0123-45-7007
平日8:30~17:15
第4火曜日北海道千歳市美々(新千歳空港内)
(独)国立病院機構仙台
医療センター(※)
022-367-8101
(仙台検疫所)
平日8:30~17:15
毎週水曜日14:00 宮城県仙台市宮城野区宮城野2-8-8
(独)国立病院機構盛岡病院
(※)
022-367-8101
(仙台検疫所)
平日8:30~17:15
第2火曜日14:00 岩手県盛岡市青山1-25-1
日本医科大学成田国際空港
クリニック(※)
0476-34-2310
(成田空港検疫所)
平日8:30~17:15
毎週火曜日午後
(第3火曜日を除く)
千葉県成田市古込字古込1-1
(第2旅客ターミナルビル本館地下1階)
(独)国立国際医療
研究センター
03-3202-1012
(国立国際医療研究センター
渡航者健康管理室)
平日15:00~17:00
毎週水曜日午前
毎週木曜日午前
東京都新宿区戸山1-21-1
東京検疫所
03-3599-1515
平日8:30~17:15
毎週火曜日午後
東京都江東区青海2丁目7-11
(東京港湾合同庁舎8階)
(公財)日本検疫衛生協会
東京診療所
03-3527-9135
平日9:00~16:30
月~金曜日10:00~10:30
土曜日9:30
東京都中央区八重洲1丁目7-20
(八重洲口会館6F)
(公財)日本検疫衛生協会
横浜診療所
045-671-7041
045-671-7042
平日9:00~16:30
月~金曜日14:00
土曜日9:30
神奈川県横浜市山下町2番地
(産業貿易センタービル3F)
横浜検疫所
045-201-4456
平日8:30~17:15
毎週水曜日13:00
神奈川県横浜市中区海岸通1-1
(横浜第2港湾合同庁舎)
新潟検疫所
025-275-4615
平日8:30~17:15
第2・4水曜日14:00~
新潟県新潟市中央区竜が島1丁目5番4号
(新潟港湾合同庁舎2階)
名古屋検疫所(※)
0569-38-8205
(中部空港検疫所支所)
平日8:30~17:15
第2・4木曜13:00~ 愛知県名古屋市港区築地町11番地の1
中部空港検疫所支所
0569-38-8205
平日8:30~17:15
毎週火・金曜日13:00~
愛知県常滑市セントレア1-1
(中部空港CIQ合同庁舎4階)
大阪検疫所
06-6571-3522
平日8:30~17:15
毎週水曜日午後
(第3水曜日を除く)
大阪府大阪市港区築港4丁目10番3号
(大阪港湾合同庁舎5階)
高槻予防接種センター(※)
06-6571-3522
(大阪検疫所)
平日8:30~17:15
第3水曜日午後
大阪府高槻市大学町1-1
(学校法人大阪医科大学共同利用会館内1階)
関西空港検疫所
072-455-1283
平日8:30~17:15
第2・4水曜日13:00
大阪府泉南郡田尻町泉州空港中1番地
(CIQ合同庁舎4階)
神戸検疫所
078-672-9653
平日8:30~17:15
毎週火曜日13:00 兵庫県神戸市兵庫区遠矢浜町1番1号
広島検疫所
082-251-1836
平日8:30~17:15
毎週木曜日13:30
広島県広島市南区宇品海岸3丁目10番17号
(広島港湾合同庁舎3F)
高知出張所
088-832-5422
平日8:30~17:15
第2火曜日14:00
高知県高知市桟橋通5-4-55
(高知港湾合同庁舎2階)
福岡検疫所
092-291-3585
平日8:30~17:15
毎週水曜日13:30
福岡県福岡市博多区沖浜町8-1
(福岡港湾合同庁舎)
福岡空港検疫所支所
092-477-0210
平日8:30~17:15
毎週木曜日13:30
福岡県福岡市博多区大字青木739番地
(福岡空港国際線旅客ターミナルビル内)
門司検疫所支所(※)
092-291-3585
(福岡検疫所)
平日8:30~17:15
第1火曜日13:30
福岡県北九州市門司区西海岸1-3-10
(門司港湾合同庁舎)
長崎検疫所支所(※)
092-291-3585
(福岡検疫所)
平日8:30~17:15
第2火曜日13:00 長崎県長崎市出島町1-36(長崎税関2階)
鹿児島検疫所支所(※)
092-291-3585
(福岡検疫所)
平日8:30~17:15
第3木曜日13:00
鹿児島県鹿児島市泉町18-2-31
(鹿児島港湾合同庁舎)
那覇検疫所(※)
098-857-0057
(那覇空港検疫所支所)
平日8:30~17:15
第1・3水曜日13:45集合
沖縄県那覇市港町2-11-1
(那覇港湾合同庁舎2階)
黄熱ワクチン接種を行っている機関
(注)接種日時は変更になる場合があります。※印のある接種場所は、予約先と接種場所が異なります。


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真紀子ショックが医療界に与える影響(医療界はもっと関心を!)

2012-11-04 10:46:52 | 皆さまへ呼びかけ

 この1週間は、田中文科相の大学認可転覆騒動がマスコミを賑わしました。準備をすすめてきた大学関係者や自治体関係者の怒りの声や、追及しようとする野党・・・とマスコミ上は想定内の展開がすすんでいます。今のところ、学術界と自治体と国会が騒ぎの中心ですが、実はこれ、医療界も大いに心配しなければならない事態なのだけれど、誰も言わないのでこちらで問題提起。

ズバリ「看護師をはじめとするコメディカル不足に拍車がかかる」のです。

 いまの看護師およびコメディカル不足(以下看護師不足と略しますがOTPTも含む)を緩和してくれるかもしれない「希望の星」が、定員割れ文系大学という現実があります。これは学生募集において左ウチワ状態の医学部に籠っているとなかなか見えてこない現実ですが、志願者数がめっきり減ってしまい定員割れとなった文学部や芸術学部を抱えた大学が、経営立て直しの切り札として、我も我もと看護学部新設に走っています。看護学部新設に走った結果、見事に定員充足という結果を得て、またさらに・・・という循環です。実際、J-RECINなど大学教員募集サイト(http://jrecin.jst.go.jp/seek/SeekTop)で検索かけてみると、他のあらゆる学部を圧倒する数の看護学部教員の募集を簡単に目にすることができます。管理人のまわりを見渡してみても、兵庫・大阪・岡山で文系短大・芸術系単科大・専門学校・負債かかえて一度は募集停止した大学・関西の人なら誰でも知ってる進学高校・・・実にいろいろな母体が看護学部を設立(ないし予定)しています(管理人の勤務先は、今のブームの少し前に看護学部新設した結果、はや先輩的存在になっている模様)。 実際、この努力をしなければ医学部をのぞく一般4年制大学は深刻な定員割れで路頭に迷うリスクを意識しなければならない時代なのですから、これは尊重すべきところです。

 他方、医療界に目を転じれば、大都市の一部をのぞいて(大都市だってそうだぞ!の叱声も聞こえてきますが)、スタッフ募集に艱難辛苦しつつ就職課に期待の眼差しと熱烈ラブコールが届いてきます。干天の慈雨、win-winの関係です。

 今回の騒動で、「大学が増えすぎた」「当面新設は認めない」というセリフが飛び出しています。問題は「当面新設は認めない方針」のところ。「当面新設を認めない」で供給路が絞られたままになってしまう医療スタッフ、現場の疲弊状態の継続。今回の3校については、いずれ落とし所が見つかるのでしょうが、管理人が本当に心配するのは、「これが教育界に与えるマインドへの影響」です。医療系学部新設へのマインドが決定的に冷え込んでしまう。将来はと思っていたところがやめてしまう。

医療界はこの問題にもっと関心を!

 

http://island.iza.ne.jp/blog/entry/2915526/


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GW海外に渡航する人は気をつけようこんな病気

2011-04-29 18:06:34 | 皆さまへ呼びかけ

在中国日本国大使館MLから。GWに海外にゆかれる方はこんな疾患にご注意をと。
(中国に限らず全世界について) 

以下コピペ

************************************************************

ゴールデンウィークに海外(中国及び中国国外)へ渡航される皆様へ(海外で注意すべき感染症について)

(11.04.29) 
 
在中国日本国大使館MLから。GWに海外にゆかれる方はこんな疾患にご注意をと。
(中国に限らず全世界について) 

 ゴールデンウィークの期間には,多くの方が海外へ渡航されることと思いますが,海外滞在中に感染症にかかることなく,安全で快適に旅行し,無事に帰国するために,現在,
海外で注意すべき感染症及びその予防対策について,以下のとおりお知らせいたします。



 感染症にかからないようにするためには,感染症に対する正しい知識と予防方法を身につけることが重要です。渡航先や渡航先での行動内容によって異なりますが,最も感染の
可能性が高いのは,食べ物や水を介した消化器系の感染症です。また,
蚊やダニ,動物などが媒介する感染症は,日本での発生は少ないものの海外で流行している地域もあり注意が必要です。また,WHOが排除又は根絶を目指している麻疹(はしか
),ポリオは,日本での感染者が減少傾向又は発生が認められていないものの,諸外国では未だに流行しています。

 海外渡航を予定されている方は,渡航先での感染症の発生状況に関する情報を入手し,予防接種が受けられる感染症については,余裕をもって相談しておくなど,適切な感染予
防に心がけてください。

 なお,日本の空港や港の検疫所では健康相談を行っています。帰国時に発熱や下痢等,具合が悪い場合にはお気軽に検疫所係官にご相談ください。

 感染症には潜伏期間(感染してから発症するまでの期間)が長いものもあり(数日から1週間以上),帰国後しばらく経過してから具合が悪くなることがあります。その際は早
急に医療機関を受診し,渡航先,滞在期間,飲食状況,渡航先での行動,家畜や動物との接触の有無などについて必ず伝えてください。



1.動物由来感染症

 「動物由来感染症」とは動物から人に感染する病気の総称です。日本では動物由来感染症の発生はありませんが,海外では,人に重篤な症状を起こす感染症が存在しています。
むやみに野生動物や飼い主がわからない動物に触れることは避けてください。



(1)鳥インフルエンザ(H5N1)

 H5N1亜型インフルエンザウイルスを病原体とする鳥インフルエンザ(H5N1)は,東南アジアを中心に家きん(ニワトリ,アヒルなど)で発生しています。人は,感染し
た鳥の解体調理,閉鎖的な飼育小屋などの空間で飼育されている家きんとの接触など,家きんの臓器,体液,糞などと濃厚に接触することによって感染することがあります。人が
感染した場合には,重篤な症状となることが多く,世界保健機関(WHO)によると,2003年11月から2011年4月11日までに世界15か国で549人の発症者(うち
死亡者320人)が報告されています。

 2011年も、新たな患者がエジプト、ベトナム、インドネシア、カンボジア、香港で確認されています。

○発生地域:東南アジアを中心に,中東・ヨーロッパ・アフリカの一部地域など

○感染要因:感染した家きんや臓器,体液,糞などとの濃厚な接触

○主な症状:1~10日(多くは2~5日)の潜伏期間ののち,発熱,呼吸器症状,下痢,多臓器不全等

○感染予防:・鳥との接触を避け,むやみに触らない。

 ・生きた鳥が売られている市場や養鶏場にむやみに近寄らない。

 ・手洗いやうがいの励行(特に発生国・地域では徹底してください)。

○参考情報:

   厚生労働省「鳥インフルエンザに関する情報」

   http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou02/index.html

   FORTH/厚生労働省検疫所「鳥インフルエンザ(H5N1)」

   http://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name54.html

   国立感染症研究所感染症情報センター「疾患別情報:鳥インフルエンザ」

   http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/index.html



(2)狂犬病

 狂犬病は,狂犬病ウイルスによる感染症です。人は感染動物(アジアでは主として犬)に咬まれることよって唾液からウイルスに感染し,長い潜伏期の後に発症します。発症す
ると有効な治療法は無く,ほぼ100%死亡します。世界における死者数は毎年5万5千人といわれています。

狂犬病ワクチン接種による発症予防が可能です。感染動物に咬まれたら,直ちに狂犬病ワクチンを接種することにより発症を防げます。

 我が国では,2006年にフィリピンで犬に咬まれ帰国後に発症し,死亡した事例が2例報告されています。

 狂犬病流行地で犬などの動物に咬まれたら,すぐに傷口を石けんと水でよく洗い,できるだけ早く現地の医療機関を受診し,傷口の消毒や狂犬病ワクチンの接種を受けましょう
。帰国時には検疫所に申し出て,指示を受けてください。

○2008年11月には,それまで狂犬病の発生がないとされていたインドネシアのバリ島で犬の狂犬病感染例が確認され,発病した犬に噛まれた住民が死亡しています。バリ島
での狂犬病流行は継続しており,現在も死亡者が確認されています。

○2010年2月,米国ニューヨーク市保健衛生局の発表では,セントラルパーク内で狂犬病のアライグマが確認されました。現在,アライグマに狂犬病ワクチンを接種し,本病
が犬,猫など他の動物に広がって人が感染するリスクを減らそうとしています。2010年3月には猫で本病に感染した事例が1例報告されています。



○発生地域:世界のほとんどの地域。特にアジア,アフリカ(発生がない地域は,英国,北欧の一部,豪州,台湾,ハワイ,グアムなど)。

○感染要因:動物(アジアでは特に犬。ネコ,アライグマ,キツネ,スカンク,コウモリ等)からの咬傷など。

○主な症状:1~3か月の潜伏期間の後,発熱,咬まれた場所の知覚異常,恐水・恐風症状等の神経症状を発症。○感染予防:犬等(猫,野生動物等,特に飼い主のわからない動
物)との接触を避ける。もしも犬等から咬まれた場合は,速やかに医療機関を受診し,消毒,暴露後予防ワクチンの接種を受ける。

○参考情報:

   厚生労働省「狂犬病について」:

   http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/index.html



(3)エボラ出血熱

 主にサハラ砂漠以南のアフリカ熱帯雨林地域で流行している,ウイルスによる発熱性出血熱を特徴とする感染症であり,現在まで,アフリカ西部のコートジボワールとアフリカ
の中央部で発生しています。2000年から2001年にはウガンダで,2001年から2002年にはガボンとコンゴ共和国の国境地帯での流行が報告されています。これらの
地域では毎年のように流行が発生しており,さらに,スーダンやウガンダでも発生しています。

○発生地域:アフリカ(中央部~西部)

○感染要因:ウイルスの自然宿主はコウモリとされている。感染したサルなどの血液,分泌物,排泄物,唾液などとの接触でも感染する可能性がある。また,エボラ出血熱患者に
接触して感染する場合が最も多い(院内感染など)。流行地域の洞窟に入ることは感染リスクの一つ。

○主な症状:2~21日の潜伏期ののち,発熱,頭痛,下痢,筋肉痛,吐血,下血など。インフルエンザ,チフス,赤痢等と似た症状を示す。

○感染予防:流行地への旅行を避ける。野生動物との接触に注意する。洞窟への侵入は避ける。

○参考情報:

   FORTH/厚生労働省検疫所「エボラ出血熱」

   http://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name48.html



(4)マールブルグ病

 マールブルグ病はエボラ出血熱とともに,ウイルスによる発熱性出血熱を特徴とする感染症であり,アフリカのケニア,ジンバブエ,コンゴ民主共和国,アンゴラなどで発生し
ています。2008年にはオランダ,米国の旅行者が,ウガンダの洞窟に入り,帰国後にマールブルグ病を発症・死亡した事例も報告されています。大きな流行になる場合もあり
ますので御注意ください。

○発生地域:サハラ以南のアフリカ

○感染経路:ウイルスの自然宿主はコウモリとされている。洞窟内ではコウモリから排泄されたウイルスが原因となり,経気道感染することがある。感染したサルなどの動物の血
液,分泌物,排泄物,唾液などとの接触でも感染する可能性がある。マールブルグ病患者に接触して感染する場合が最も多い(院内感染など)○主な症状:3~10日の潜伏期の
のち,初期には発熱,頭痛,悪寒,下痢,筋肉痛など。その後体表に斑状発疹,嘔吐,腹痛,下痢,出血傾向。

○感染予防:流行地への旅行を避ける。野生動物との接触に注意する。

 洞窟への侵入は避ける。

○参考情報:

   厚生労働省「マールブルグ病に関する海外渡航者への注意喚起について」:

   http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou25/index.html



2.蚊やダニなど節足動物が媒介する感染症

 渡航先(国・地域)や渡航先での活動によって,感染する可能性のある感染症は大きく異なりますが,世界的に蚊を媒介した感染症が多く報告されています。特に熱帯・亜熱帯
地域ではマラリア,デング熱,チクングニヤ熱などに注意が必要です。



(1)マラリア

 毎年世界中で約2億5000万人以上の患者が発生し,80万人以上の死亡者がいると報告されています。我が国では,海外で感染して帰国される方(輸入症例)が毎年50人
以上報告されています。

○発生地域:アジア,中南米,アフリカなど熱帯・亜熱帯地域に広く分布

○感染経路:マラリア原虫を保有した蚊に刺された際に感染する。媒介蚊であるハマダラカは森林地帯を中心に夕方から夜間に出没する傾向がある。また,アフリカやインドでは
,都市型のマラリアも報告されている。

○主な症状:マラリア原虫の種類により10日~30日の潜伏期ののち,悪寒, 
発熱,顔面紅潮,呼吸切迫,結膜充血,嘔吐,頭痛,筋肉痛など。迅速かつ適切に対処しなければ重症化し死亡する危険がある。

○感染予防:長袖,長ズボンを着用し,素足でのサンダル履き等は避ける。虫除けスプレーや蚊帳等の使用により,蚊に刺されないよう注意する。特に夜間の屋外での飲食時や外
出時に蚊に刺されないよう注意する。2週間以上流行地に滞在し,野外作業等に従事する場合には,抗マラリア薬の予防内服を行うことが望ましい。

○参考情報:

   FORTH/厚生労働省検疫所「マラリア」

   http://www.forth.go.jp/useful/malaria.html

   国立感染症研究所感染症情報センター「疾患別情報:マラリア」

   http://idsc.nih.go.jp/disease/malaria/index.html



(2)デング熱,デング出血熱

 世界中で25億人が感染するリスクがあり,毎年約5,000万人の患者が発生していると考えられています。

 我が国では,海外で感染して帰国される方(輸入症例)が毎年約100人報告されています。2010年は243人の患者が報告されており,インドネシア,フィリピンでの感
染事例が増加しているので注意が必要です。

○発生地域:アジア,中南米,アフリカなど熱帯・亜熱帯地域に広く分布。

○感染経路:ウイルスを保有したヤブカ類(ネッタイシマカ,ヒトスジシマカなど)に刺された際に感染する。媒介蚊は日中,都市部の建物内にも出没する。

○主な症状:突然の発熱,激しい頭痛,関節痛,筋肉痛,発疹。デング熱患者の一部は重症化して,出血傾向がみられるデング出血熱となることがある。

○感染予防:長袖,長ズボンを着用し,素足でのサンダル履き等は避ける。

 虫除けスプレーや蚊帳等の使用により,日中蚊に刺されないように注意する。

○参考情報:

   FORTH/厚生労働省検疫所「デング熱」

   http://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name33.html

   国立感染症研究所感染症情報センター「疾患別情報:デング熱」

   http://idsc.nih.go.jp/disease/dengue/index.html

   国立感染症研究所「デングウイルス感染症情報」

   http://www0.nih.go.jp/vir1/NVL/dengue.htm



(3)チクングニヤ熱

 アフリカ,東南アジア,南アジアの国々で流行しており,2006年にはインドで約140万人の感染者が報告されています。

 我が国では,2010年に海外で感染して帰国後にチクングニヤ熱と診断された事例(輸入症例)が,インドネシアから3例確認されています。また,2011年もすでにイン
ドネシアからの輸入症例が確認されています。

○発生地域:東南アジア(マレーシア,タイ,インドネシア,シンガポールなど),インド,パキスタン,スリランカやモルディブなどのインド洋島嶼国,マダガスカル。200
7年にはイタリア,2010年にはフランスでも流行。

○感染経路:ウイルスを保有したヤブカ類に刺された際に感染する。

○主な症状:2~12日(通常4日~8日)の潜伏期ののち,突然の発熱,激しい頭痛,関節痛,筋肉痛,発疹。関節痛は急性症状消失後も数か月続くことが多い。

○感染予防:長袖,長ズボンを着用し,素足でのサンダル履き等は避ける。虫除けスプレーや蚊帳等の使用により,日中蚊に刺されないように注意する。



(4)ウエストナイル熱・脳炎

 ウエストナイルウイルスが原因の熱性感染症です。このウイルスは,鳥と蚊の間で維持されている感染症です。北米地域で毎年数千人の感染者が報告されています。

 米国での流行は,例年蚊の活動が活発になる7月頃から始まり,年末まで報告が続くのが特徴です。

○発生地域:アフリカ,欧州南部,中東,近年では北米地域,中南米にも拡大している。

○感染経路:ウイルスを保有した蚊(主にイエカ類)に刺された際に感染する。媒介する蚊は多種類に及ぶ。

○主な症状:2~14日(通常1日~6日)の潜伏期のち,発熱,激しい頭痛,関節痛,筋肉痛,背部痛,皮疹など。

○感染予防:長袖,長ズボンを着用し,素足でのサンダル履き等は避ける。虫除けスプレーや蚊帳等の使用により,日没後,特に屋外で蚊に刺されないように注意する。

○参考情報:

   厚生労働省「ウエストナイル熱について」

   http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou18/west_nile_fever.html

    FORTH/厚生労働省検疫所「ウエストナイル熱」

   http://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name29.html

   国立感染症研究所「ウエストナイルウイルス」

   http://www.nih.go.jp/vir1/NVL/WNVhomepage/WN.html



(5)クリミア・コンゴ出血熱

 クリミア・コンゴ出血熱ウイルスが原因の熱性出血性感染症です。このウイルスは,ヒツジなどの家畜とダニの間で維持されています。死亡率の高い感染症で,北半球では,4
月から6月に流行します。特に,最近トルコでクリミア・コンゴ出血熱の報告が増加しています。

○発生地域:中国西部,東南アジア(パキスタン),中央アジア,中東,東ヨーロッパ,アフリカ。

○感染経路:ダニに咬まれたり,感染動物(特にヒツジなどの家畜)と接触して感染する。

○主な症状:発熱,関節痛,発疹,紫斑(出血),意識障害など。

○感染予防:長袖,長ズボンを着用し,素足でのサンダル履き等は避ける。また,家畜などにむやみに触れない。

○参考情報

   FORTH/厚生労働省検疫所「クリミア・コンゴ出血熱」

   http://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name38.html

   国立感染症研究所感染症情報センター「疾患別情報:クリミア・コンゴ出血熱」

   http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k02_g2/k02_31/k02_31.html



3.諸外国での感染に注意すべき感染症

 WHOは,麻疹については「麻疹排除計画」により,ポリオについては「ポリオ根絶計画」により,感染者の減少に取り組んでおります。

 日本においては,麻疹は2010年1月以降11月21日までに417人の患者が報告されています。また,ポリオについては,30年近くにわたり野生株によるポリオ症例は
発生していませんが,今後,流行地からの輸入症例に留意する必要があります。



(1)麻疹(はしか)

 世界中で年間16万4,000人以上の麻疹による死者がいると推計され,主に東アジア,南アジアの国々から報告されています(WHOによる2008年時点の推計)。

 特に,2011年4月21日に公表されたWHOの情報によれば,4月18日現在,ヨーロッパの33の国で,6,500例を超える麻疹の患者が報告されています。

○発生地域:南北アメリカ大陸(2002年に排除宣言)及び大韓民国(2006年に排除宣言)を除く全世界で発生。特に予防接種率の低い国に多い。

○感染経路:空気感染,飛沫感染,接触感染。

○主な症状:発熱,咳,鼻水,目の充血・目やになどが2~3日続いた後,39℃以上の高熱と全身に発疹が出る。肺炎,中耳炎,脳炎が起こる場合もある。

○感染予防:麻疹ワクチンの予防接種が有効。日本では1歳になったらすぐに1回目の麻疹風疹混合ワクチンの接種を受け,小学校入学前1年間の間に2回目のワクチンを受ける
。2008~2012年度の5年間は,2回目の接種を受けていない人を対象に,中学1年生と高校3年生相当年齢の人の予防接種を追加実施している。

○参考情報:

   厚生労働省検疫所「麻しん」

   http://www.forth.go.jp/archive/tourist/kansen/33_measles.html

   同 新着情報「ヨーロッパで麻しん(はしか)が集団発生しています。」

   http://www.forth.go.jp/topics/2011/04221703.html

   国立感染症研究所感染症情報センター「疾患別情報:麻疹」

   http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/index.html

   感染症週報:読者のコーナー(2010年 南アフリカ旅行での感染症予防)

   http://idsc.nih.go.jp/idwr/faq.html#q200501



(2)ポリオ

 2009年には,世界で1,604人の患者が報告されました(WHO世界ポリオ根絶計画事務局による集計)。日本では,30年近くにわたり,野生株によるポリオ症例は発
生していませんが,ポリオ流行地で感染し,帰国後に発症する事例(輸入症例)に留意する必要があります。

○発生地域:流行している国は,アフガニスタン,インド,ナイジェリア,パキスタンの4か国だが,周辺国でも,輸入症例の発生が報告されている。2010年には,タジキス
タンで大規模なポリオ流行が報告され,周辺諸国にも感染が拡大した。その後,コンゴ民主共和国での大規模な1型野生株ポリオ流行が報告されている(2010年11月現在)


○感染経路:経口感染(感染者の糞便中に排泄されたウイルスが,口から体内に入る)。

○主な症状:感染した人の90~95%は症状が出ずに経過するが,典型的な麻痺型ポリオの場合,かぜのような症状が1~10日続いて,手足に非対称性の弛緩性麻痺(だらり
とした麻痺)が起こる。

○感染予防:ポリオワクチンの予防接種が有効。また,食事の前には十分な手洗いを行う。WHOでは患者発生のある国に渡航する場合には,ポリオの予防接種を受けていても,
出発前に追加接種を勧めている。

○参考情報:

   厚生労働省検疫所「ポリオ」

   http://www.forth.go.jp/archive/tourist/kansen/19_polio.html

   国立感染症研究所感染症情報センター「疾患別情報:ポリオ」

   http://idsc.nih.go.jp/disease/polio/index.html



4.そのほか注意すべき感染症

 渡航先や渡航先での行動内容によって,かかる可能性のある感染症はさまざまですが,特に食べ物や水を介した消化器系の感染症(A型肝炎,E型肝炎,コレラ,赤痢,腸チフ
スなど)は,途上国など公衆衛生の整備などが不十分な地域で感染することが多く,注意が必要です。生水,氷,サラダ,生鮮魚介類,生肉等の十分に加熱されていない物の飲食
は避けましょう。また,生鮮魚介類や生肉等を介した寄生虫疾患も注意が必要です。

 詳細は厚生労働省ホームページを参照ください。

(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou27/dl/100423-1e.pdf)

 

5.海外の感染症に関する情報の入手

 海外の感染症に関する情報は,以下のサイトより入手することが可能です。出発前に渡航先の感染症の流行状況等に関する情報を入手することをお勧めいたします。また,日本
の空港や港の検疫所においても,リーフレット等を用意し情報提供を行っていますので,ご活用ください。

  http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou27/100423-1.html



 厚生労働省検疫所(海外渡航者のための感染症情報)ホームページ

  http://www.forth.go.jp/

 国立感染症研究所感染症情報センター(感染症別の詳細情報)

  http:// idsc.nih.go.jp/disease.html

 外務省海外安全ホームページ(感染症関連情報)

  http://www.anzen.mofa.go.jp/

外務省ホームページ(世界の医療事情)

  http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/index.html



(問い合わせ先)

 ○外務省領事局政策課(医療情報)

   電話:(代表)03-3580-3311(内線)2850

 ○外務省領事サービスセンター(海外安全相談担当)

   電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902

 ○外務省海外安全ホームページ:http://www.anzen.mofa.go.jp/

               http://www.anzen.mofa.go.jp/i/(携帯版) 


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新型耐性菌NDM-1の日本国内発生にあたってメッセージ(JAMSNET HPで呼びかけ)

2010-09-09 10:09:44 | 皆さまへ呼びかけ
NDM-1、新型耐性菌 日本で検出騒動で、インドから帰国される邦人の皆さんが(2003年SARS当時の中国から帰国者のように)まったく不合理な目にあわないように・・・とあちこちでつぶやいていたところ、JAMSNET(Japanese Medical Support Network)からご厚意いただき、同HPにメッセージ掲載いただきました。

海外在留邦人の健康をサポートするボランティア、こういう問題には感受性鋭いですね。
http://jamsnettokyo.web.fc2.com/index.html

以下、コピペ
**************************************
Doticon_red_Attention.png新型耐性菌NDM-1の日本国内発生にあたってメッセージ

9月7日、日本の新聞各紙一面を「新型耐性菌NDM-1」の大見出しが飾りました。これから第二例、第三例と報道が続くにつれ日本国内でも大きな関心がさらに盛り上がってゆくことでしょう。

さて、ここで懸念されることがひとつあります。
この大見出しには「インド」という地名が含まれています。2003年のSARS流行の風景が思い出されます。あのとき、「中国」という地名を大きく含んだ報道が続くにつれ、その地から一時帰国した在留邦人の方々に、大変不合理なことが発生しました。不安な中、ようやく祖国の土を踏んだとき、周囲の人々の対応は「親類の葬儀に出席することを拒否された」「日本の学校に転校しようとしたら受け入れ拒否された」「病院の受診を拒否された」「学校でSARS君と言われた」「石を投げられた」等々というものでした。北京にあって、体験者からそれを聞いて忸怩たる思いにとらわれたものです。
 いま、あの当時の「中国」を「インド」に置き換えたようなことを発生させてはならない。成長著しいインドで頑張り、瀬戸際の日本経済を支えてくれている人々にそのような思いをさせてはならないと思います。

われわれひとりひとりが、心の中で確認すべきことは以下です。
NDM-1がインドの街中にあふれているわけじゃない。
ニューデリー空港にふわふわ漂っているわけじゃない。
インド中の人々がもっているわけじゃない。
カレー粉に混ざってるわけじゃない。

人が人を批難・差別・噂するとき、それは「他者」を批難して自分の不安を和らげるという心理的メカニズムであることがあります。だから、もし自分が誰かの後ろ指を指したいような気持になったら、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。不安なのは自分自身なのじゃないかと。

勝田吉彰(近畿医療福祉大学教授、元在中華人民共和国日本国大使館参事官兼医務官)                 


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ご注意! ワクチン接種をうたったガセメール(ウイルス付き)

2009-12-03 10:15:50 | 皆さまへ呼びかけ

fluwikiの冒頭に、アブナイメール情報。

新型インフルワクチン接種!をうたったメール。うっかり開けたら、ウイルスはウイルスでも、PCウイルスの方がくっ付いていて、PCが感染してしまう→ハッカーの餌食になってしまう・・・というものが流布しているそうです。

ご注意ください。↓該当部分コピペ

Be very careful when you open email links or attachments!!
WARNING: Hackers spread virus with swine flu vaccine offer

Hackers are spreading a vicious computer virus through spam email messages that urge recipients to visit a bogus website offering vaccinations to protect them against another virus -- the one that causes swine flu.


---posted by Bronco Bill

追記 finance news記事↓
http://www.dailyfinance.com/2009/12/03/swine-flu-email-conceals-phishing-scam-cdc-isnt-seeking-your/?icid=main|htmlws-main-w|dl7|link6|http%3A%2F%2Fwww.dailyfinance.com%2F2009%2F12%2F03%2Fswine-flu-email-conceals-phishing-scam-cdc-isnt-seeking-your%2F


 


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国内初の犠牲者発生を受けて

2009-08-15 22:35:03 | 皆さまへ呼びかけ

日本国内で初の新型インフルエンザ犠牲者が発生しました。

まずは、すでに落ち着いている人はそのまま落ち着いてください。
浮き足だちかけた人は、その足をおろして落ち着いてください。

今回は、これまで世界中のケースを分析してリスクが高いとされてきた条件にぴったり合致するケースです。こういうケースが現れたからといって、その周囲で重症者が続出するわけではない。

これまで、カナダやUKやオーストラリアといった国々で起こってきた事象は、遺伝子変化を経ない現行ウイルスのままで日本国に入ってくるかもしれない。

基礎疾患をもたない健常成人が人工呼吸続出(@カナダ)・・・
そんな時、冷静な日本でいられるか試金石です。

タミフル枯渇して処方箋片手にタミフル難民よろしく隣町まで走り回り(@UK)・・・
そんな時、じっくり回りの事態を認識できる日本でいられるか試金石です。

当局予想の2.7倍の人間がICUに運ばれる(@豪州)・・・
そんな時、じっくり対策を練れる日本であるか試金石です。

そしてまた、必要十分な情報を適切量、社会に供給できる日本メディア(含む週刊誌TVも)であるか試金石でもあるでしょう。
57歳、週3回透析に通う人生。それに至る過程、支える家族、そして今回の転帰。様々な人間模様があるものと思います。
が、その様なドラマはこの際、必要な情報ではないと思います。

今回、各社サイトに掲載された情報を見て、必要十分な情報が提供されていると感じます。第一報にあたった社会部の皆さんは良いお仕事をされたと思います。 ですので、ペンをしまい、カメラを片づけて、水をかけられてしまったお盆休み家族サービスに戻ってください。ひとつ前の「薬物事件」にて、酒井邸やら押尾邸やらナントカヒルズやらの前で流していただいた汗は、今回誰も期待していません。飛騨山中の古寺まで追いかけられたお葬式も、今回はカメラなしで見送ってあげましょう。
 そして、多くの人々が新聞を止めるのを解除する17日以降、科学部や家庭部系、あるいは社会部内でもじっくり系の皆さまの解説やガイダンスを期待したいところです。

 

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バッシングはほどほどにしませんか?

2009-05-22 00:17:20 | 皆さまへ呼びかけ

今日は神戸新聞の講演にて、ローカル特急にゴトゴト揺られて丹波の国へ。

熱心な質疑をいただき充実のひとときでした。丹波の皆さんありがとうございました。

ところで、その後、ある在京マスコミ関係者からいただいた電話によれば、東京では、感染した高校生へのバッシングが激しいのだとか。 03年SARS@北京で、一時帰国から戻られた方々から、日本で受けたイジメの話を聞いてはらわたが煮えくる返る思いをした管理人は、その電話でハイテンションなコメントをしました。まあ、それはいずれ紙面に載るとして、こちらではちょっと別の切り口から。

 あの高校生は、模擬国連なるイベントに参加したとか。世界中の高校生が2300人集まり、パン事務総長も出てくる公式イベント。こういうものに出席できて、世界の高校生と英語で丁々発止交流できる高校生というのは、非常に能力の高い人ではないかと管理人には思えます(これがイナカモンの勘違いだったら以下、笑って無視してください)。 国連の崇高な理念に感動したとか校長先生が言ってましたから、ちゃんと理解していたのでしょう。 将来志向するのは政治かジャーナリズムか学界かエンジニアリングかはたまた医療分野か・・・
 世界の(同様に高能力の)お友達もつくりメールで交流。 日本で発症した自分たちにはリンチまがいのバッシングがネットで、学校への電話で、あふれ返っている。メールをやりとりする世界のお友達は(すでに日本の報道でもおなじみの通り)ごく日常的な毎日が流れている。 もしこのバッシングがこの先も続き、心の傷を広げてゆけばそこに予想されるのは無理矢理寄ってたかって「日本人嫌い」を造ってしまうという構造でしょう。

「高い能力をもつ、日本人嫌いの国際派」をつくってしまう・・・ これは大損害です

たとえば今、日本の新型インフルエンザ対策は大きな部分、国際派とよばれる人々の人脈と叡智によって担われています。尾身教授(WHO)、押谷教授(WHO)、田代氏(WHO委員)、進藤医務官(WHO)、、挙げだしたらキリがありませんが、専門家委員会の顔ぶれみれば多々。皆さん、国際派かつ日本が好きな方々ばかりです。これらの方々が日本のために一生懸命献身している。 他方、NYタイムズだったかウロ覚えですが、アンチ日本な記事で有名な日本人ジャーナリスト・・・なんて存在もどこかで聞いたことがあります。
 国際派の(あるいは将来、国際派になる)皆さんには、日本が好きでいてもらわねば、日本の国益を損ねてしまうのではないか

 うだうだ書くのはこれぐらいにして、ともかく、管理人の感想は「こんな事やってて良いんかねぇ・・・」というところです。 皆さん、ちょっと考えてみませんか。 

 

 

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医療現場に激励の声を届けよう!

2009-05-18 16:13:36 | 皆さまへ呼びかけ

水際作戦で検疫官の必至の努力で何週間か時間かせぎの出来た日本ですが、国内発生早期に入りました。

さて、この段階で市民から激励の声を贈るべきは「医療現場」です

すでにマスコミでも広く報じられているとおり、限界を超えつつあります。
とりあえず朝日↓
http://www.asahi.com/national/update/0518/OSK200905170118.html?ref=any

限界をこえつつあるというのは、「胸元のコールが鳴り」「外線が入り」「処方を書いて(or入力して)いる瞬間にベッドサイドからコールが入り」「モニターがピンポンパンポン鳴り響く」という刺激が同じ瞬間に1人の人物に入る状態ということです。担当の時間が終わっても、そこには受診者の波が・・さらにクレーマーやモンスターが「待たせるな」とか何とか言いだすともう・・・

2003年SARS@北京では、数多くの激励が医療現場に寄せられました。新聞を開くと、「白衣の戦士に尊敬を!」と医療現場の様子を刻々伝え、人気歌手が病院を訪れる様子、市民から続々贈り物、泊りこみで会えない(医療従事者の)父親母親の写真を持ち「ボクくじけない!」と頑張る子供のルポ・・・連日てんこ盛りでした。

管理人はナショナリストではありません。そうではないけれど「中国人が医療現場を励まし、声援を贈り、その家族に想いをやっていたのと同じ場面で、日本人が何も考えてなかったら、すごく悲しくて情けない」とは思います。

市民の皆さん、マスコミの皆さん、医療現場に激励の声をかけつづけてモチベーションの維持に微力でも協力しましょう。

激励の方法は、検疫官のところでも書きましたが、電話回線をふさぐ方法は不適切です。手紙、あるいは、短時間で口に入れられる差し入れが良いかと思います。

マスコミの皆さんにおかれては、どんどん医療現場の激励記事を書き、デスクは全部通し、整理部は4段でも5段でも提供する・・とチームワークで、中国マスコミに負けないよう頑張ってください。

 ← 向白衣戦士致敬!(2003.4.29 健康時報)

 

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医学的弱毒性 心理学的強毒性 (新型インフルエンザA(H1N1)ウイルス)

2009-05-17 12:04:00 | 皆さまへ呼びかけ

国内報道を見ながら管理人説。

今度の新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスは

医学的弱毒性、心理的強毒性なのだと。

<医学的> 

  • 弱毒性=呼吸器系のみ感染する      
  • 強毒性=呼吸器系以外にも消化器も神経系もetc・・・感染する


<心理的>

  • 弱毒性=人々を正しい行動に動かす。 咳エチケット・人混み回避・手洗い
  • 強毒性=人々を正しい行動に加えて、誤った行動にも動かす。 感染者・周辺群の排除・いじめ・”事実ではない噂”の流布・批難の体すら成していない暴言・ニセ薬製造販売・詐欺・・・ 

つまり、新型インフルエンザA(H1N1)対策は、医学的毒性と心理的毒性に分けてものごとを考える必要があるのではと思います。 不安状態にある人に向けて、マスクのエビデンス云々を説いてもその努力は報われず、その人の「マスク装着による心理的安定」を認めてあげる方が賢明でしょう。
「事実ではない噂」を耳に不安状態にある人が増えるなら、「事実ではない噂の拾い上げと否定」が有効でしょう。
ニセ薬製造販売や詐欺は司直の手で厳しく罰する(03年SARSでは色々あった。司直の皆さんは準備体制よろしく!)

当ブログでも、アイデアできる都度アップしてゆきたいと考えています。

 

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若者へのメッセージ(携帯メール)

2009-05-16 23:54:37 | 皆さまへ呼びかけ

国内事例の発生を受けて、管理人が近畿医療福祉大学のゼミ/プレゼミ生にMLで送ったメールです。 どうせなら、ゼミ生だけでなく広く世間の役に立てば・・・と思い、こちらにもアップします。

同業者の皆さまにおかれましては、コピー&ペースト/転送自由です。適宜ご利用ください。
****** で区切って別々に送信すると、携帯画面におさまり携帯メールでも読みやすくなります。

*****************
ゼミの皆さん 本日、神戸・大阪で高校生の新型インフルエンザ感染確認が相次いでいます。これを受け、来週1週間大学は休校となります。皆さん若い世代は新型インフルエンザの大好きなターゲットです。ウイルスの感染能力は高い。米国でもカナダでもメキシコでも若い皆さんがどんどん罹っている。続けて休校中の注意流します。近畿医療福祉大学 勝田 吉彰
******************
1.ウイルスを避けよう
休校中は人混みに入ってはいけません。ウイルスが狙っています。最小限の外出時はマスクを。
*******************
2.ウイルスを阻止しよう
手洗いを頻繁に。指の間、手首、手のひらゴシゴシ3分間! 顔さわっちゃダメ。うがいはゴロゴロ!
********************
3.ウイルスに備えよう
第二波に向け絶好の準備期間です。食糧飲料・消毒薬・マスク備蓄は熱さ忘れぬうちに。

 

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