新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

照会・お便りetcはこちらへどうぞ
opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

認知症の新薬がシャーガス病に効くというけれど

2019-09-21 10:12:37 | 渡航医学関連

認知症の新薬(というのは大げさかもしれないけれど、一応、ジェネリックが出ていない期間)のメマンチン(メマリー)がシャーガス病に有効という報告。従来のnifurtimoxが副作用多くしんどい処で、日本のおじいちゃんおばあちゃん達が苦も無く続けられるメマリーが効くなら、こんな良いことはありません。

が、問題は薬価。成分量により、1錠134円~430円。一方でシャーガス病で悩む地域といえば、1日1ドルで暮らしてる人々がいっぱいいる地域。う~ん。

 

http://outbreaknewstoday.com/chagas-disease-alzheimers-drug-memantine-shows-therapeutic-potential-in-research-36004/?fbclid=IwAR2_jLjHk1hUGloPb85YXSCDneD3bG5WJeorkKsFMY_Wve5bwsUETFxxfKg

 http://www.okusuri110.jp/cgi-bin/dwm_yaka_list_se.cgi?1190018&%83%81%83%7D%83%93%83%60%83%93%89%96%8E_%89%96

Chagas disease: Alzheimer’s drug, memantine, shows therapeutic potential in research       

        
September 20, 2019

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人畜共通感染症、怖い順に並べたらこうだった

2019-05-11 09:28:34 | 渡航医学関連

人畜共通感染症、いちばん怖いのは? 次は? その次は?

米国のCDC、DOI、USDAの専門家たちが集まりワークショップ、投票した結果、こうなりました。

  1. インフルエンザ(鳥・豚・戌・馬・・・)
  2. サルモネラ
  3. ウエストナイル
  4. ペスト
  5. 新興コロナウイルス(SARS・MERS・・・)
  6. 狂犬病
  7. ブルセラ
  8. ライム病
  • Zoonotic influenza
  • Salmonellosis
  • West Nile virus
  • Plague
  • Emerging coronaviruses such as severe acute respiratory syndrome (SARS) and MERS-CoV (Middle East respiratory syndrome coronavirus)
  • Rabies
  • Brucellosis
  • Lyme disease

https://www.cdc.gov/media/releases/2019/s0506-zoonotic-diseases-shared.html

First-ever CDC, USDA, DOI collaborative report lists top-priority zoonoses for U.S.

 

http://www.cidrap.umn.edu/news-perspective/2019/05/feds-cite-flu-salmonella-mers-lyme-among-zoonotic-threats?fbclid=IwAR1YZTD7RnD3vs_0OTPZqKgtT4sQ1Fi-g8tfVk5IXVvICHwNi5rye3RCbhI

 

 


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カットフルーツがアブナイ話は先進国でも(広域拡散のサルモネラ)

2019-04-27 09:21:49 | 渡航医学関連

カットフルーツは危険です。かならず、皮をかむった果物を買ってきて自分でむいて食べましょう・・・とは、海外赴任前研修、途上国に向かう方々には必ずお伝えしているところでありますが、先進国でもアブナイ話。

メロンのカットフルーツ製品からサルモネラ。インディアナ州 インディアナポリスの工場製の製品から、3月4日から4月9日にかけてサルモネラ感染症が、実に全米32州に拡散。流通網にのってあっという間に広域拡散してしまうのは、昨年もロメインレタス騒動がありました。

GWに「先進国」に行かれる方も(「先進国」から帰国した方を診察するみなさまも)ご注意を。

拡散しちゃった地域は:
  There are 32 confirmed Salmonella cases in Ohio, 23 confirmed Salmonella cases in Indiana, 22 confirmed Salmonella cases in Michigan, 21 confirmed Salmonella cases in Kentucky, 7 confirmed Salmonella cases in Illinois, 7 confirmed Salmonella cases in Missouri, 3 confirmed Salmonella cases in Minnesota, and 1 confirmed Salmonella case each in Alabama, Iowa, and Wisconsin.(本文コピペ)

 

 

 

http://outbreaknewstoday.com/pre-cut-melon-salmonella-outbreak-expands-66303/?fbclid=IwAR1BYHI2ugSvyVObMnS0koEihAJ-rrnlskRxL8-uQDqsDz57z6X9QOTdb_0


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米国CDCの渡航情報(travel notice)をおさらい

2019-03-21 22:36:54 | 渡航医学関連

先週のoutbreaknewsのアクセス、トップ5に日本の麻疹と風疹を、米国CDCが渡航情報にあげたというトピックが入っていました。
http://outbreaknewstoday.com/infectious-disease-news-top-5-posts-week-mar-9-mar-15-52209/

そこで、米国CDCがtravel noticeにあげているは何があるのか、おさらい。
https://wwwnc.cdc.gov/travel/notices

レベル3:必要以外の渡航を避けよ

  • ベネズエラの医療保険システム崩壊
  • インドネシアの津波後

レベル2:

  • メキシコで減量手術後の耐性菌感染
  • コンゴのエボラ
  • 日本の風疹
  • インドのジカ熱
  • ナイジェリアの黄熱
  • ニジェールのポリオ
  • インドネシアのポリオ
  • パプアニューギニアのポリオ
  • ソマリアのポリオ
  • コンゴのポリオ
  • ナイジェリアのポリオ
  • ナイジェリアのサル痘
  • パキスタンの耐性チフス
  • ブラジルの黄熱
  • マレーシアの狂犬病

レベル1

  • フランスの麻疹
  • セルビアの麻疹
  • フィリピンの麻疹
  • マダガスカルの麻疹
  • イスラエルの麻疹
  • コロンビアの麻疹
  • ブラジルの麻疹
  • モルドバの麻疹
  • イングランドの麻疹
  • イタリアの麻疹
  • コンゴの麻疹
  • インドネシアの麻疹
  • カザフスタンの麻疹
  • 日本の麻疹
  • ウクライナの麻疹
  • ギリシャの麻疹
  • フィジーのレプトスピラ
  • ナイジェリアのラッサ熱
  • アルゼンチンのハンタウイルス
  • セネガルのデング熱
  • イスラエルゴラン高原のレプトスピラ
  • ケニアのリフトバレー
  • イエメンのコレラ
  • 中国のH7N9

 

なんで日本の風疹が、コンゴの泥沼エボラと同格やねん! フィリピンやマダガスカルの惨状より高ランクやねん! と一瞬、差別でもされてるような気がしましたが、ちょっと頭を冷やしてみれば、麻疹はどんなにひどくてもレベル1(日本も麻疹はレベル1)、風疹やジカ熱みたく胎児や先天性やの問題起こすものはレベル2という生理なのかなあと言う気もします。

渡航者への啓発にぜひぜひ。ソースにアクセスしてご覧ください。

https://wwwnc.cdc.gov/travel/notices

 

 

 


 


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WHOの揚げてる10の脅威

2019-01-24 10:05:15 | 渡航医学関連

WHOが掲げている10の脅威。おさらい的ですが確認。

1.パンデミックインフルエンザ(新型インフルエンザ)
H7N9や元祖H5N1の脅威は喧伝されなくなっても、なんせ144通り理論的に考えられますから・・・

2.ジフテリア

3.髄膜炎
髄膜炎ベルトはいうにおよばず、渡航医学会のマスギャザリングセッションで注目されてたのが、ラグビーW杯や五輪のマスギャザリングでのこれ。麻疹風疹MERSと並んでこれ。

4.黄熱
イエローカード関連で、渡航医学ネタですね。

5.紛争地の疾患
 重なりますが、イエメンのコレラ、コンゴの全然見通し立たないエボラ・・・

6.コレラ

7.マラリア
いったん良い線いったけど足踏み

8.自然災害
我が国も言うに及ばず・・・

9.低栄養

10.食中毒
 6憶罹患、42万人犠牲。

https://medium.com/@who/10-threats-to-global-health-in-2018-232daf0bbef3

10 threats to global health in 2018

 


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こんな豚舎、メリットとデメリット

2018-11-01 22:49:52 | 渡航医学関連

先週見かけた、ちょっとユニークな豚舎を見て頭の体操。

湿地帯の上に、2~3畳ばかりの板の間をつくり4匹の

こういうのは初めて見かけたので思わずシャッター押しちゃったのですが。。。これはどういう設計思想なのか(笑)

メリット:
1.鳥インフルエンザ対策、裏庭農家でが接触してインフルエンザウイルスが遺伝子交雑して新型インフルエンザウイルスが発生する(かもしれない)というストーリー、そのリスクを減らすことが出来る(かもしれない)。

2.子供がに触れてしまう可能性がなくなるから、米国の農業祭で触れてしまった子供がH3N2vに感染した・・・なんてことが防げる

3.糞尿が下に落下するので、激しく降りこむ雨季の豪雨に洗われるとともに床上は清潔かも。

デメリット:

1.ボウフラがわく湿地帯、成虫になったアカイエカに刺され放題⇒日本脳炎ウイルスのプールになってしまう

2.糞尿が落下するので、場合によって水系感染症の温床になるかも
この水面は民家につながっていて、犬や赤ちゃんや大人が触れる

プラスチックごみ・生ごみも散乱しているので、協働?すると結構強烈な結果になるかも。

 


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今週の渡航医学、世界の話題

2018-10-01 11:31:54 | 渡航医学関連

風疹の猛威が話題の中心の日本国内ですが、先週1週間、世界の関心ごとは・・・

outbreaknewsの先週 ベスト5

1.ライム病がダニに咬まれたその日のうちに起こってしまう話(within 24hrs)

2.英のサル痘感染が3例目、今回は医療従事者

3.スーダン・カサラ州でチクングニヤ

4.ジンバブエの首都ハラレのコレラ炎上、数千例に

5.父親から息子にHIVが感染してしまった話

現実は小説より奇なり。

http://outbreaknewstoday.com/infectious-disease-news-top-5-posts-week-sept-22-28-72732/


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2018年に要注意な新興感染症に挙げられてるのは・・・

2018-04-02 11:42:12 | 渡航医学関連

2018年に要警戒な新興感染症はこれだ! と挙げられてる5つ。鳥フルをのぞけばマニアックな羅列ですが、ここ10年ばかし、大騒動を引き起こしてきたのはH5N1に代表される「だれもが来るぞ来るぞと警戒していたもの」ではなくて、ジカ熱やヒアリのような「オタクの世界でひっそり知られてきたもの」やSARSやMERSのような「誰も知らなかったもの」の面々でした。そういう意味で要警戒かもしれないもの、5つ。

1.Candida Auris
カビ。多剤耐性。2009年日本発、世界へ。

2.ELIZABETHKINGIA ANOPHELES
エリザベス菌とでも訳すか。2015年に米中西部で。

3.PLASMID-MEDIATED POLYMYXIN RESISTANCE (MCR-1)
多剤耐性。最初は中国のサーベイランスで見つかる。世界中の動物、米の複数の州で。

4.VECTOR-BORNE DISEASES: THE LONE STAR TICK 通称 孤独なスターダニ
米南東部~東部

5.ZOONOTIC FLU VIRUSES
鳥フル、豚フル、H7N9、H5N8,H5N6、H1N1, H1N2, H3N2・・・

 

http://www.contagionlive.com/publications/contagion/2018/february/5-emerging-infections-to-watch-out-for-in-2018

5 Emerging Infections to Watch Out For in 2018

 
FEB 23, 2018 | KRISTEN L. BUNNELL, PHARMD, BCCCP
 

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日印オープンスカイ報道。これはデカいターニングポイントかも

2017-09-16 22:36:37 | 渡航医学関連

当直明けの昨日、「北の飛翔体」Jアラートで一日が始まりましたが、おなじぐらい気になった報道がこれ。「インドからの飛翔体」(航空機)が今後爆発的に増えて「感染症の流入ルート」も大幅に整備されてしまうかもという話。

モディ・安倍両首相がにこやかに握手しているのは、「日印オープンスカイ」、航空自由化です。このニュース、渡航医学的にも要チェックです。これまで日印間のフライトには厳しく制限がかかっていました。たとえばバンコクやクアラルンプールまで片道9900円!とかのポップアップ広告がパソコンに表示される方も当ブログの読者には多いかもしれませんが(これはLCC、エアアジアXの広告)、インド行き航空券が超激安9900円という話は聞いたことがないでしょう。

ソースによれば「日本は成田、関西、那覇の3空港、インドはデリー、ムンバイの両空港にしか相手国からの航空便乗り入れができず、便数も週42便ずつに制限されていた。 今回の合意により日本は羽田を除く全空港、インドはコルカタ、チェンナイ、ベンガルール、ハイデラバードを加えた6空港で乗り入れと便数の制限が撤廃される。航空会社が各空港の発着枠の範囲内で路線や便数を自由に決められるようになり、格安航空会社(LCC)を含めた新規路線就航が見込まれる(コピペ)」ということになります。

9900円というのは極端としても、LCCのセールを狙えばインド―日本間が1万円台で行き来できることになれば、これまで来れなかった/行けなかった階層まで含め激増する往来とともに「国境を越える感染症」の通り道がガン!と拡大されることになります。昨年の関空麻疹騒動のときも、管理人はTVで解説する際に関空発着のLCCがいかに増えているかボードにのせてもらいましたが、インドネシアどころじゃない、インド庶民層がどっとやって来るようになれば、あるいは日本の若者たちがどっとインドに出かけてゆくようになったらどうなるか・・・

思い出すのは昨年2016年正月の出来事。管理人の正月は例年、鹿児島県薩摩郡の、医局同期が院長やってる病院での当直が恒例です。2016年はそれが地区輪番当番にあたり、半日だけですがプライマリケアに。そこにやってきたのが30代前半のお兄さん。いわく、「年末にインドに一人旅で行ってきた。昨晩から下痢が止まらない。インドではガンジス河で沐浴してきた。食べたのは・・・」 潜伏期から考えられるものを説明差し上げて、新年の書初めならぬ「診療情報提供書初め」にて感染症指定病院へ送ったのはいうまでもありません。(こんな所で正月から渡航外来するかよ)

現在すでに、「ガンジス河で沐浴してきて、症状のある日本人」が、正月に、鹿児島県の山奥の(たまたま休日輪番当番日に当たった)精神科病院の外来に現れるという事象が起こっています

そういう事が、これからますます、全国津々浦々で起こるようになるのではないか、NDM1が、赤痢が、季節はずれのH1N1が、あるいは、地元のヒトスジシマカと協働してデングがチクングニヤがジカが・・・

むしろインバウンドのインド庶民よりも、ガンジス河にじゃぶじゃぶ入ってしまうような日本人の方が、医療過疎地まで来る可能性がある点で怖いのではないかという気もします。

この報道が載った日、報道で一番大きなスペースを占めていたのは「北の国からの飛翔体」でしたが、管理人的には「インドからの飛翔体(LCC)」の方が気になったりしてました。

10年後、インド発〇〇病(今まだ存在しない新興感染症?)案件で日本全国パニック起きてたら「私は10年前から想定内でした。2017年9月14日のこれがターニングポイントです」とか、したり顔でコメントしてやろう(笑)

 

 ソースは産経http://www.sankeibiz.jp/macro/news/170914/mca1709142126012-n1.htm


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意図的に病院を攻撃して「病気」を武器として活用するという哀しい戦術・・・嗚呼シリア・イエメン

2017-07-08 10:25:41 | 渡航医学関連

戦争。その新たなトレンドに「病院の意図的攻撃」があります。

従来から、病院船を攻撃したり、たまたま病院に爆弾が当たってしまったということはありました。しかし、シリアでは、イエメンでも、意図的に医療施設を攻撃するという新たなトレンドが。

それまで以前は無かった新トレンドが現れる話として、ユーゴ紛争の”レイプ”があり、衝撃を与えました。そして、シリア・イエメンでは「医療施設を攻撃して公衆衛生を破壊すること」が武器として作用しています。シリアでは2011年来、医療施設の攻撃が477回。

結果、イエメンのコレラ流行が、シリア・イエメンで麻疹やポリオが。医療従事者の犠牲は820名。何千人もの病人から治療の機会を奪った。イエメンでは毎日5000例のコレラ、累計20万例、犠牲1300例..

イエメンのコレラは徐々に合理的注目を集めつつありますが(先日も日本語報道を目にした)、その背景には戦争による医療機関の破壊があります。忘れてはならない現実。

(画像は管理人がコンゴで撮影した検査室。内戦クーデターで国名まで変わっちゃった(ザイール→コンゴ)頃の撮影ですが、病院はこんな風になってしまうという例として)

 

https://www.statnews.com/2017/07/07/syria-yemen-cholera-polio-war/

Attacks in Syria and Yemen are turning disease into a weapon of war


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