新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

小頭症なくても深刻、ジカ熱は思われていたよりずっと広汎な先天性異常を

2019-07-10 09:18:25 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

ジカ熱といえば小頭症、逆にいえば、妊娠中ジカ熱罹患したけれど、生まれてきた赤ちゃんが小頭症でなかったらホッとするというのが多くの(流行地の)お母さんでした。しかし、そんな思いに冷や水を浴びせる報告が。

  • ジカ熱妊婦から生まれた3歳までの子供の発達を評価したところ、その多く、実に32%で発達遅滞がみられたと、UCLA・ブラジル・ドイツ・オーストリアチーム報告。
  • 2015-16年にリオで生まれた子供。n=216.評価尺度はBayley Scales of Infant and Toddler Development, third edition (Bayley-III)
  • 7~32カ月の子供の31.5%に、神経学的発達遅滞あるいは視力聴力異常が見られた。 
  • 35%で言葉の発達が平均以下、10%で認知機能が、16%で運動機能が、それぞれ平均以下。 眼球検査では137例中10例で。聴力は114例中14例で異常。
  • 小頭症があったのは全216例中8例だけで、うち2例は出産後に出現

思われていたより、ずっとずっと高率に、3人にひとりが何らかの障害が確認されたということで、流行地から帰国したのちのsafety sexの必要性をさらに強調せねばならない結果です。

http://www.cidrap.umn.edu/news-perspective/2019/07/maternal-zika-infection-tied-poor-development-32-tots

Maternal Zika infection tied to poor development in 32% of tots

流行地から帰国後の避妊推奨期間、最近、ある執筆の関係で厚労省・米CDC・WHO・NHSのHPをもう一度アクセスして確かめるということをやったところでした。結果、以下のとおりです(どこも同じこと書いてあると先入観もってましたが、実は微妙に違う。もっとも強調してると思っていたWHOはとってもわかりにくい処に書いてあり、探しだすのに少々手こずりました)

  男性 女性 備考
WHO 6カ月以上 2か月以上 妊娠期間中はパートナーも避妊
日本(厚労省) 6カ月以上 6カ月以上
    妊婦は妊娠期間中
症状有無にかかわらず
米国(CDC) 3カ月以上 女性のみ流行地滞在で2か月以上
    男女とも流行地滞在で3カ月以上
 
英国(NHS) 3カ月以上 女性のみ流行地滞在で2か月以上
    男女とも流行地滞在で3カ月以上
帰国前2週間に有症状の場合、回復後2か月

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ペルー首都含む5地域でギランバレーが猛発生、非常事態宣言(ペルー政府)

2019-06-11 11:53:45 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

ペルーでギランバレー症候群の患者が大発生。首都リマを含む5地域で、死亡例4例に加えて、206例の発生確認と保健相発表。

これを受けてペルー政府がこれらの地域に非常事態宣言発出。

この事態の発生はPiura, Lambayeque, La Libertadの、北部の遺跡観光地を含んでいる。また、900万人の人口を抱えるJunin and Limaも含んでいる。原因はまだ確定されていない。

米CDCによれば、ギランバレーはジカ熱と強い関連がある。

 

う~ん、かなり不気味です。ギランバレーといえば、医学生時代に神経内科で数例みるかみないかという、超レアとはいわないけど、かなりレアな神経疾患。いきなり200例超でたらやはり非常事態宣言だろうと思いますが、ジカ熱と関連していて、2016年にジカ熱がかなり暴れた国ということで、今後の発表が待たれます。非常事態宣言は90日とのことなので、秋口かなあ。

 

https://www.france24.com/en/20190610-peru-declares-health-emergency-over-guillain-barre-outbreak?fbclid=IwAR2cVN8pswlkINo_5MsAy5b5HuyHY8EmcymXFU5uTZTMnpuvs6kF7-qFQRU

Peru declares health emergency over Guillain-Barre outbreak


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リフトバレーはジカ熱より強烈、さらに・・・(NYT)

2019-01-14 01:41:34 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

2016年に小頭症の画像、リオオリンピックのブラジルが流行国ということで世界を悩ませたジカ熱。でも、胎児に悪さをする点では、ジカ熱が裏道級なら、リフトバレーは高速道路級でずっと怖いよという報告。

もともとサブサハラ アフリカの疾患でしたが、中東に版図を広げ2000年代後半にはサウジアラビアで10万例の感染と700例の死亡例・・・そして、気候変動によって感染症流行域はどんどん変わってゆくよと、ドッキリなしめくくりでした。

インフル様症状と肝症状、胎児の先天性異常のこの疾患、気候変動によってさらなる版図拡大・・・なんてことにならないよう願っています。

https://www.nytimes.com/2019/01/07/health/rift-valley-pregnancy-zika.html?fbclid=IwAR0hdPlnLnnBpPP11xwF2ceOzjCqmp6INzDKVT6u9W8G2ZjRNHzRN_2H7zo

A Virus Even More Dangerous Than Zika to Pregnant Women

The Zika virus must take the “side roads” into the placenta to infect a fetus, one researcher said — but the Rift Valley fever virus takes the “expressway.”


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ジカウイルス流行国から帰国後のセーフティセックス期間は伸びるのか?

2018-04-12 23:49:27 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

ジカウイルス感染症。ウイルスが精子に残存し、性交感染の可能性も考えられる問題。現行、男性は流行地を出てから6か月間は性交を避けるかあるいは避妊をという話でしたが、今回、281日後、9カ月あまり経っても検出された例も。

というわけで、流行地出てから避妊すべきという基準が6カ月からさらに伸びるかも?とCIDRAPの推測。

海外赴任者研修にかかわる人間にとっても、とても気になることです。

http://www.cidrap.umn.edu/news-perspective/2018/04/new-findings-zika-virus-semen-may-alter-cdc-guidance

New findings on Zika virus in semen may alter CDC guidance


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ジカとチクングニヤの異なるパターン

2017-12-02 10:17:17 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

ブラジルでの調査。ジカの流行とチクングニヤの流行は、雨季との関連で違うパターンを示すよとの報告。

  • リオの調査。PCR確認の1717 infections with ZIKV (43.8 percent) and 2170 with CHIKV (55.4 percent) and only 29 (less than 1 percent) with DENV.
  • ジカは水道にアクセスのないエリアで多く、チクングニヤは都市化と若干の相関があった。
  • 2015年10月に雨季がはじまり、その1か月後に最大のジカの波が来た。2016年2月にはジカは激減し、それはチクングニヤの流行開始時期と一致した。
  • 雨季入りは、3週間の間隔をあけてジカやチクングニヤを予告した。降雨と流行の関係は、ネッタイシマカの幼生(ボウフラ)の生存には水たまりの存在が必要であるのが理由である。
  • ジカとチクングニヤ動態の違いは、蚊における潜伏期の違い(チクングニヤは2日間、ジカは10日間)で説明される。

デングとジカとチクングニヤ、どれも同じ蚊で媒介されておなじ四類感染症で、なんとなく同じようなものと認識されがちですが、実は色々違うのよというお話。だから、流行時期がずれて「一難去ってまた一難」状態が出現することにもなります。ここらへん、海外赴任者研修などでもインプットする価値はあるかもしれません。

ソースはPriMed
http://www.promedmail.org/post/5473543
Plosone
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0188002
Behavioral, climatic, and environmental risk factors for Zika and Chikungunya virus infections in Rio de Janeiro, Brazil, 2015-16

    Behavioral, climatic, and environmental risk factors for Zika and Chikungunya virus infections in Rio de Janeiro, Brazil, 2015-16
  • Trevon L. Fuller, 
  • Guilherme Calvet, 
  • Camila Genaro Estevam, 
  • Jussara Rafael Angelo, 
  • Gbenga J. Abiodun, 
  • Umme-Aiman Halai,  …
Published: November 16, 2017

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「ジカウイルスはキスでうつらない」という報告に要した時間に連想すること

2017-08-30 09:13:00 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

 ジカウイルスは唾液で感染はしない。だからキスで感染することはなかろう。とい米ウイスコンシン大の報告。昨年の騒動から1年半の月日とてらしあわせて思うこと・・

  • マカク猿での実験。まず3匹をジカウイルスに感染させた。その唾液、スワブを採取。
  • 次に、感染していない猿5匹にスワブを咽頭部に擦り付けた。咽頭部はインフルウイルスはじめ侵入門戸となる場所。
  • 結果、感染の証拠は認められなかった。

ひとまずご同慶の至りなのですが、ここで教訓は「事実が証明されること」なかでも「〇〇が無い、あり得ない」といういわゆる悪魔の証明には時間がかかることです。ジカウイルスが大騒動を起し、リオのオリンピックまで開催が危ぶまれた(事実、辞退しちゃったアスリートまで出た)なかで、さまざまな流言が流れました。「キスしただけでうつる」などは、(陰謀論までは信じない人でも)比較的信頼性を獲得しやすい部類でしょう。結局はないと証明できるのは然るべき時間が経ってから、言い方をかえれば、しかるべき時間が経てば証明できることもあるということ。将来の「感染症X」においても、パニックに対峙する際思い出せるとよいかもしれません。

一方、ジカウイルスが難しい(かもしれない)のは、これと逆も、EVDから連想されることもあります。「精子残存期間」の問題。先日、エボラウイルスが精子中に2年を経ても残存した例があったと報告されました。「精子中にウイルスが2年間残存する」ことが報告されるまでには「2年間」の月日を要します。当たり前ですが。エボラウイルス以上に、精子残存が広く問題となるのがジカウイルス。流行地域に行ってなんらかの症状があった男性は6カ月間safety sexをのWHO勧告、管理人は海外赴任者研修ではマメに伝えておりますが、この期間が将来、6カ月より長くなるとしても、たとえば2年間残存だということに話が変わっても、そのデータが出て査読をとおってパブリッシュされてWHO・CDCに認識されて、議論されて、新たな指針になるのは2019年。

いろいろ連想はたらき悩ましいジカウイルスです。

ソースは
http://www.contagionlive.com/news/kissing-unlikely-to-cause-zika-infection

Kissing Unlikely to Cause Zika Infection

 
AUG 22, 2017 | MICHAELA FLEMING
 

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アジアのジカウイルス感染症@8/19ProMED

2017-08-21 10:57:05 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

SFTSとヒアリの陰にかくれて(?)、今夏の紙面や尺をとれないジカウイルス感染症ですが、ProMEDからアジアの現状抜粋。

  • タイ。27例疑い、11例確定、バンコクポスト
  • 台湾。ベトナムから輸入例1例。
  • ベトナム。小頭症報告。Dak Lak Province。
  • シンガポール。Serangoonで新たに2例、同地区でクラスタは3つ目。
  • インド。妊婦を含む3例。

ゆめ油断なく・・・

http://www.promedmail.org/post/5261363?fref=gc


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ジカ・デング対策に暗雲。殺虫剤耐性で全然効果なくなる実証@エモリー大

2017-06-21 09:26:12 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

耐性が生じた蚊に対して当該殺虫剤を使っても、効果は完全にゼロであるというショッキングな報告@エモリー大。 耐性遺伝子変化が出来てもいくらかは効果のある「インフルに対するタミフル」と対照的な結果は深刻です。

  • メキシコのMerida付近3か所をフィールド。ボトル内部を殺虫剤でコーティングしたものを設置し、中に入った蚊がどれだけ死ぬかを計測。一方のボトルには、耐性のあるdeltamethrinを、もう一方には耐性のないbendiocarbをコーティングした。結果、前者では効果ゼロだった。後者では60%の蚊を殺すことが出来た。
  • 殺虫剤耐性ができるメカニズムは2つ。分子レベルで、殺虫剤がしかるべき部分にくっつくのをブロックできるようになる方法と、もうひとつは殺虫剤の分解を早める酵素の産生を促進する方法。

耐性のできた殺虫剤は毒にも薬にもならない・・というショッキングな結果です。インフルエンザにおいて、タミフル耐性遺伝子変化、H275 Yだなんだと言っても、ここまで完全にダメになるわけではありませんから、かなり対照的です。殺虫剤メーカーは永遠に頑張ってもらわねばなりません。

一方で、もうひとつの教訓は、成虫になってしまった蚊を対策するのは本当に大変だということで、幼生(ボウフラ)対策、まさに「今でしょ!」の必要性再確認。梅雨のいま、どこに水たまりが出来るかわかりやすいシーズンであり、見つけたら埋めてゆきましょう。

ソースはoutbreaknews
http://outbreaknewstoday.com/mutant-mosquitoes-make-insecticide-resistance-monitoring-key-controlling-zika-73069/
Mutant mosquitoes make insecticide-resistance monitoring key to controlling Zika

June 19, 2017

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インドのジカ騒動は盛り上がり中

2017-06-01 09:16:36 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

インド・アハメダバードで初のジカ国内感染が報告されて以来、現地メディアがハッスルしています。

 


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インドのジカウイルス感染症をめぐるドタバタ劇

2017-05-30 08:33:03 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

インドのジカウイルス感染症、初の国内感染が報じられていますが、その裏で社会的ドタバタ劇がいろいろと。

  • 怒れるスラム住人たち。我々スラム住人のところにはまったく(ジカの)情報が来ない。知らされていない。普段からスラム住人に対する扱いにより当局との間に信頼関係がない。(別件で当局が飲料水タンクに消毒剤を入れに来たものの、拒否して追い返したとインタビューに語る住人も)。
  • ジカ感染は1月には把握されていたものの、公表されなかったのは投資サミット(Vibrant Gujarat Summit)が予定されており、それへの悪影響を避けるため公表を遅らせた(当局側は否定)。

まさに途上国的問題が凝縮されているようです。
リスクコミュニケーションの問題、スラムの貧民はステークホルダーとは端から認識されず対象外。消化器感染症対策として、水道でない飲み水に消毒剤を入れるものの、インフォームドコンセントもへったくれもなく入れようとして住人が拒否する不信の連鎖。サミット開催、政治的メンツが重視され延期される庶民向けリスクコミュニケーション・・・

そんな中を蚊は飛び回り、感染者は増え、都会に移動し、そこには蚊とともに在留邦人や日本人旅行者や日本出張もあり得るエリートビジネスパーソンが・・・地球はつながっています。

ソースはsvroll
https://scroll.in/pulse/838971/in-ahmedabad-slum-where-zika-was-detected-absence-of-warnings-by-officials-elicits-no-surprise

‘They don’t count us as humans’: In Ahmedabad slum where Zika was detected, anger and resignation

Central authorities say they mounted a surveillance drive but residents of Bapunagar claim they saw no evidence of this.


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