新年あけましておめでとうございます
この1年、みなさまには様々な局面で大変お世話になりました。心より感謝いたします。
旧年中は、年頭に新著「『途上国』進出の処方箋(経団連出版)」を上梓させていただき、国境を越えるビジネスパーソンのお役に立て始めたところで、コロナ対応の大波がやってきてその対応に明け暮れる一年でした。その中で、外務省時代に北京でSARS流行渦中で揉まれて以来のリスクコミュニケーションへの想いがいくらか世間のお役に立てることができたのは幸いでした。
さて、新年はどのような年になるでしょうか。まずは目前のコロナ対応ですが、あまり報じられずスポットの当たっていない処に台風の目が隠れているようです。
1.「中国製ワクチン」は台風の目か?
日本国内の報道ではほぼ「存在しないもの」扱いの中国製ワクチンは、社会情勢を動かす一大要素になるかもしれません。いま、国境を越える往来は、「PCR陰性証明」をメインに検疫措置を添えてごく限定的に開かれつつあります。これからワクチンの普及が、医療従事者や高齢者など第一優先者を越えて一般に広がるとき、国際往来が(PCRに代わり)「ワクチン接種証明」をメインに動くようになれば、そのとき、「ワクチン接種証明」が得にくい国は後回しになり、(欧米製の供給量に縛られない)中国および中国から供給を受ける新興国・発展途上国における経済関係が一変するかもしれません。私がこれまで研究で通っていた東南アジア諸国では、日中韓の企業が現地で熾烈な進出競争を繰り広げていますが、これが中国優位に動いてゆくことも想定しなければならないかもしれません。
2.変異種問題は第二幕も第三幕も?
旧年中は、英国・南アフリカで確認→日本含む二次的流入国で確認まで展開した変異種問題、新年は順当に(?)世界中に拡大してゆくあたりまでは見通せる範囲ではありますが、これとは別の変異種による第二幕も想定しなければならないかもしれません。遺伝子変異は(インフル等に比べ振れ幅が狭いとはいえ)コンスタントに起こりますから、意外な場所で第一報となるかもしれません。たとえば、2009年の新型インフルH1N1の出現が、誰もが予想していた中国南部ではなくメキシコだったように・・・
3.コロナ禍のメンタル問題。これまでの自殺対策の真価が試される
新型コロナ禍の経済停滞のなかで、自殺数の増加を予測する向きもあります。しかしながら、同時に、2006年の自殺対策基本法成立以来の諸施策、私も関与している産業保健現場では自殺防止に向けた産業医面談やストレスチェック等々、網の目のような自殺防止対策でかつて年間3万人台から3割近く減らしてきた「仕組み」もあります。こうした増加要因と抑止要因の綱引き、勝敗はどう出るのかも注目ポイントでしょう。
こうした、これまで注目されてこなかった観察ポイントを含め、ウォッチしてゆきたい丑年です。
新年もよろしくお願いいたします。
令和三年吉日