新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

照会・お便りetcはこちらへどうぞ
opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

鉢巻き締め直しパンデミックに備えよ!という2論

2012-07-01 12:19:32 | 政策提言/政策への疑問

われわれは、次なるパンデミックに向けて鉢巻きをしめなおして対策を!と呼び掛ける2論、違う切り口で。

  • H1N1(2009)による犠牲者数は当初発表の18500人じゃなくて28~57万!という米CDC発表の波紋。先日、これをボロクソに批判した論評を紹介しましたが、今回は違う切り口で。
  • (09年の)アウトブレイクは混沌としていた。ワクチンはなかなか出来ず、サーベイランスは頼りなかった。WHOの反応の遅さは批判の対象になり、世界中の保健当局も。
  • この点こそが今回の焦点である。国際・国内・ローカル各レベルの保健機関はより有効な計画を準備すべきだし、新たな感染症出現の折には、より有能なサーベイランス・追跡をおこなうべきである。ワクチン製造・流通についても最後まで待たされるなどという事なないようにすべきである。

犠牲者数は当初思われていたよりもずっと多いのだから、対策についてあらゆる保健当局はハチマキをしめなおすべし!という論です。

ソースはPilotonline↓
http://hamptonroads.com/2012/06/its-time-prepare-next-pandemic
It's time to prepare for next pandemic

 

また、遺伝子操作、数か所の変異でパンデミックも・・・という件を引用した論も。

  • 最近の、(H5N1が)3か所遺伝子変異したら~の報告は、だれもが震え上がるものである。
  • 1918年のスペインインフルエンザでは、健康な兵士が、ドイツ軍砲弾による犠牲者数を上回る数、亡くなった。そして戦争が終わり、兵士の故国にウイルス持ち帰られさらに感染拡大した。
  • 当時の世界人口は18億。いま70億。すると同様の(病原性の?)ウイルス感染拡大で3億7800万人の犠牲者発生も考えられる。それが鳥インフルがヒトヒト感染できるようになった(新型)ものならその倍になるかもしれない。
  • 薬物治療に重きをおいた対策では時間がかかり間に合わない可能性。よって、感染してからの反応よりも、予防に重きをおくべきである。(We must adopt the strategy of prevention rather than reaction, and do so before it is too late.)

 引用する材料は違えども、「次なるパンデミックにしっかり備えねば!」と呼び掛ける論が続けて出てきているのは興味深いところです。07年~09年初頭あたりに見られた、煽り系ではなく冷静な論調です。引き続きしっかりウォッチしてゆきましょう。

ソースは6月28日付ワシントンポスト↓
http://www.washingtontimes.com/news/2012/jun/28/prevent-flu-outbreak-now/
Prevent flu outbreak now


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ベトナムのタミフル廃棄で会計検査院が保健省批難

2011-03-24 09:40:41 | 政策提言/政策への疑問

ベトナムで期限切れタミフル廃棄が報道に。”government inspector(会計検査院みたいなもの?)"が無駄を指摘して保健省を批難するという??な動きもあり。

  • 2005年から鳥インフルエンザ対策で備蓄されてきたタミフル、970万錠が期限切れを迎え廃棄処分に。
  • 鳥インフル対策として20万錠備蓄がおこなわれた。
  • 今回の廃棄処分に対し”government inspector”が保健省を批難。備蓄が過大であったと。(government inspectors accused the Ministry of Health and domestic drug manufacturers of massive wastage)

う~ん、我らが政府のこと考えたら、本来こんな事言えないんですが、ベトナム政府もまた、「危機管理」わかってないなあと。最悪の事態を想定して備えるのが危機管理。H5N1ヒト感染が少数しか出ず、970万カプセルを使わずに済んだことを無駄だと批難するは何とも悲しきべトナム会計検査院。こういうセンスだと、いま電気や水道やで二次性大騒ぎになってるどこかの国みたいになっちゃうぞ・・・

と、ここまで書いて別のこと思いついた。

 たしか、ロシュ社が、”期限切れタミフル”の巻きなおしサービス(中身を出して新しいカプセルに入れなおす)を提供しはじめた・・・というのは、世界的にかなり大きなニュースとして、あの頃、伝えられていたはず。

 また、管理人がWHO進藤オフィサーの講演で聞いた「タミフルの有効期限はカプセルのゼラチンの期限。中身は7年かアルミ保存で半永久的に」というのも鮮明に覚えています。

勤勉かつ聡明なベトナム当局人たちがそれを知らないとも考えにくく、これはひょっとして”ポリティカル”な綱引きの話なのかなと。案外、ホコリが出てくるのは”government inspector”の方なのかもしれません。

ソースは3月23日付サイゴンデイリー↓
http://www.saigon-gpdaily.com.vn/Health/2011/3/90700/

Ministry decides to destroy expired anti-viral capsules


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偽りのパンデミック騒動は欧米戦の様相?(日本もリスコミを)

2010-01-15 10:33:25 | 政策提言/政策への疑問

先日紹介した”偽りのパンデミック???”騒動http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/8600fd4f876226cb8ea32e03f8c22e99 当然ながら当局側は反発しているわけですが、それとは別に、米国系専門家たちが援護論陣を張っています。

  • 欧州の当局者はすばやく反論(当たり前ですが)。UKのワクチン責任者Dr David Salisbury氏はガーディアン紙に「これで次の波が来たとき、大事なワクチン在庫を捨ててしまいましたなんて事になったら大バカだ("If there were a UK resurgence during 2010, we would look very foolish if we had disposed of a valuable stockpile)。貴重なワクチン在庫は次の波に備えてとっておくべきである。同様に豪当局者もすばやくリアクション。(←言ってることは常識的だけど、”大バカ”なんて表現が出てくるところに血圧上昇度が見てとれます。わが厚労省もボーッとしてないで早く反応しないと。上田局長が出てきて「欧州人みたいな大バカな事考えちゃいけません」とかやれば良いのに)
  • これとは別に、米国専門家も参戦。メイヨークリニックDr Gregory Poland氏は途方もなくバカげたことだ(preposterous)と。製薬会社が当局を抱き込んだなんて考えはくだらなくバカげている(ludicrous)。ワクチン在庫は保険証券みたいなもの。あらゆる国の健康と福祉を考えねばならない。ただ、これらの批判はありうることだ。保健当局が何をやっても、どんな政策をとっても、必ずゴネるやつは出てくる(no matter what they do, some groups will criticize their actions)。当局は最悪に備え、最善を願わねばならないという宿命をもっている。また、WHO製薬会社癒着論も退けた。
  • ミネソタCDCMichael T. Osterholm氏は、保健当局が誇張したと後出しじゃんけん的な事を言うのは簡単だが、それで、製薬会社が損失を被ったり、世論の前に、パンデミックワクチンの製造に及び腰になったりしたら怖いと。
  • Walter R. Dowdle氏は欧州には言及しないものの、今回の米当局の(すばやくワクチン製造に動いた)措置を高く評価。

欧州一般世論の動きに神経尖らせる米国専門家たち・・・という構図ですね。
”偽りのパンデミック"論が米国で拡大しないようにと。

日本国は、世界の中ではスムーズにコトが運んできた国のひとつと思いますが、国民世論を見くびっていると大変なことになりかねないと思います。
前述しましたが、日本国に”嫌ワクチン論”が入ってきても(欧州なみに)拡大しないよう、しっかりリスコミに取り組むべきでしょう。

ソースは1月13日付CIDRAP↓
http://www.cidrap.umn.edu/cidrap/content/influenza/swineflu/news/jan1310vaccine.html
Health officials, experts reject 'false pandemic' charges

 

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グラクソ社ワクチン副作用報道のゆくえは?

2009-11-24 14:42:34 | 政策提言/政策への疑問

当ブログで21日に紹介した(元ソースは19日付)の、グラクソ製ワクチン回収騒動@カナダ件、
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/e41679f293d407b90697e42eb03a7554

昨日23日になり朝日が追いかけ
http://www.asahi.com/health/news/TKY200911220249.html
今朝になり、ほぼ全紙に載り・・・という状況。

さて、これからどう動いてゆくのか、ウォッチャーとして興味深々です。いくつか視点、見どころを提示しましょう。

  • これまで、カナダのドタバタ劇、少々お粗末な話、等々、いやというほどいっぱい紹介してきました(それだけ現地報道があるからですが)。 しかし、(ウクライナやエジプト話に比べ)カナダ話はいまいち関心盛り上がらずという雰囲気でしたが、なぜか唐突にこの話は新聞各社に拡がっています。他のカナダ話に比べ突出。なぜか?
  • なんらかの意図(スピン)をもって朝日に流され、そして他紙がワッと追いかけという状況になっているのかもしれません。かなり上手です。
  • 霞ヶ関のあるグループの皆さんが、海外製ワクチンがお好きじゃないという話は、今や木村ブログやロハスの独占情報ではなく一般メディアにも報じられています。すでに有名です。
  • 国産ワクチンが、合併症もち高齢者の死亡例2桁程度の線でどうにかやってゆける事がわかった今、このタイミングでこの情報が流れれば、世間一般が抱くイメージは?
  • で、次なる見どころは、「厚労省から現地に急派される調査団」の帰国後記者会見あたりでしょうか。
  • あるいは逆に、今回の一斉報道の後、沙汰やみになるという展開も予想されます。今回だけで十分だとなると・・・

以下、管理人の私見。

管理人は、ここ数か月の世界各地のドタバタをウォッチしながら、「ワクチン安保」の視点が重要と考えています。
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/6611e5e80f9faad3318e24de0e9a8693

「現行どころじゃない、H5N1級や、それ程じゃなくてもスペイン級のものが襲ってきたら、ワクチン生産国は自国向け優先して輸出停止するであろう。だから、自国で自国民カバー出来る程度のワクチン生産能力を持っておかなければならない」という論です。 ノバルティス米工場の記事でも述べられています。
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/b3942baf18caa5b11793a1676bc16a01

よって、厚労省の方々と阪大微研はじめワクチンメーカーの方々が巷間言われている”密接なお付き合い”をされるのは悪いことではないと考えます。
また、今回の件で、(実際の不幸な犠牲者発生なく)世間のムードがそういう方向にゆくのなら、それはそれで一定の評価も出来るかなと思います。

ただ、同時に、国内関係者の皆さんには、「使う人の身になった」製品の開発努力を求めたいと思うのです。
つい先だっての「10mlバイアル問題」に象徴されるごとく、机上だけで決めたような話はいかにもマズイ。 海外医療現場を経験した人間には、日本製ワクチンの使いにくさはいかにも歯がゆいのです。こういった部分を改良され、「使う人に優しい」製品開発とセットで、ワクチン安保を確保していっていただきたいと思う次第です。↓参照ください。
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/e208e6feaddb27788515f00f2c4584ba

 

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ワクチン安全保障(カナダの憂うつ)

2009-11-06 10:14:12 | 政策提言/政策への疑問

カナダの新型インフルワクチン、グラクソ製の寡占状態ですが、「もし輸出を止められたらどうする!」と追及されています。

  • カナダのインフルエンザワクチン、2001年にShire BioChem社(当時。その後買収され2005年からグラクソ社に)との間に、10年契約総額3億2300万ドル相当を締結。この間、Shire社(現グラクソ)がカナダのインフルエンザワクチン供給に責任をもつ契約。
  • 結果Shire(現グラクソ)がカナダのインフルワクチンシェア75%を握る寡占状態に。この契約が締結されるまで、Shire(現グラクソ)とアバンティス(仏)がフィフティフィフティであったが、今やほとんどグラクソ。
  • このように供給ルートが事実上単線化された状態で、パンデミック時にその製造国が輸出停止してしまったらワクチンが手に入らなくなる
  • これは杞憂ではなく、現に、1976年の豚インフル騒動の時に具現化している。あの時、米国はワクチンの輸出をストップしてしまい、当時、供給を米国に頼っていたカナダはワクチンが入手できないという事態に陥った。このときは、オーストラリアからワクチンを譲ってもらい辛くも切り抜けた。また、1997年に子供のH5N1感染が確認されたときには抗インフル薬(当時はアマンタジンとリマンタジン)が一夜にして市場から消え、カネを積もうが愛をささげようが手に入らない事態となった(and suddenly they couldn't be bought for love nor money)

う~ん、食糧安保ならぬワクチン安保の問題です。
カナダのワクチンがグラクソに首根っこ押さえられているというのは、ここ最近の経緯でなんとなく想像ついていましたが、こういう事情だったのですね。 カナダが赤恥かきながら平身低頭してオーストラリアからワクチン譲ってもらうというのも、今回初めてじゃなくって前例があったのですね。勉強になりました。

だから日本も、国内ワクチンメーカーが少なくとも倒産だけはしないようにしなければならない。だから厚労省の皆さんも、木村氏に癒着だなんだと罵詈雑言を浴びせられつつも粛々と業務をおこなっているわけです。
 でも、嵐が去るのをじっと待っている(その心理は大変よくわかります。00年あたりの外務省の状況思い起こせば。でも・・・)だけじゃなくて、アカウンタビリティを果たして、「日本メーカつぶすわけにはいかんのです。英・瑞が輸出停止かけたら、日本国民はワクチン誰も打てなくなるんです。オーストラリアの属国みたいに頭下げてもワクチンわけてもらえるとは限らないのですと、きちんと国民に説明すればいかがかと思うのです。季節性も足りない、新型は混乱で国民がざわつきかけているこの今こそ、それを言うベストタイミングではないかと思うのですが。

また、ワクチンメーカーにおかれては、この機会に「利用者目線に立った使いやすい製品を考える」センスを身につけてアピールしていただきたいものです。国民の支持を得るためには、利用者が使いやすい製品を出す必要があります。
↓を参照ください
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/e208e6feaddb27788515f00f2c4584ba
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/f1e2f8ce45e770e891fe4bb9be2f4706
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/c8e86ff1d6f28c04367ac75db50291c6

ソースは11月4日付Chealth↓
http://chealth.canoe.ca/channel_health_news_details.asp?channel_id=1020&news_channel_id=1020&news_id=29412
Fears that countries would hoard vaccine in pandemics behind single supplier

 


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ある講演の質疑から

2009-10-15 11:05:33 | 政策提言/政策への疑問

今日の海外報道はワクチンをめぐるゴタゴタが中心のようです。
ダラスの医師の多くはワクチン手に入らないだとか(http://www.dallasnews.com/sharedcontent/dws/dn/latestnews/stories/101409dnmetflushots.217019902.html)、アジバントは危ないと代替医療協会のカイロプラクティショナーの発言から始まる懐疑的記事だとか(http://www.mercurynews.com/ci_13555627?source=most_emailed&nclick_check=1)、季節性インフル接種で重篤な後遺症の一例の動画付き情緒的報道だとか(http://www.myfoxatlanta.com/dpp/health/dpgo_101309_woman_disabled_by_flu_shot_reaction_dystonia_4027780

・・・

いずれも目新しいものではありません。
ワクチンに対する不安をマスコミが煽りたて・・・というのはよく聞くフレーズですが、それは日本だけの特殊な話ではなく、欧米も相当なものがあるというのはここ最近の学習です(隣の芝生は青くない)。

さて、全文紹介したくなる記事がいまいちな本日は、先般講演Q&Aから。

Q 我が家の二階にはアライグマがおり、裏山にはフェレットもいる。死骸が出て、保健所に連絡しても調査してくれない。公道なら保健所だが自宅敷地内はと。アライグマは(豚同様)遺伝子交雑の舞台になるので不安・・・
A 今現在はH5N1との遺伝子交雑の所見が出ていないので緊急に心配することはないと思われる。遺伝子交雑の所見があれば、どこかが発表すると思われるので情報にアンテナを・・・
(管理人注: 今、保健所の中はそれどころじゃないと推察されますが、どこかの研究機関がシステマティックに”アライグマの不審死”チェックするというも悪くはないかもしれませんね)

Q タクシー会社。 新型インフル疑いで医療機関行くときでも乗せてくれるかと問い合わせがあるが・・・
A 道路交通法で拒否する権利が定められている(注:これは達人さんがアップされています。http://newinfluenza.blog62.fc2.com/blog-entry-606.html この質疑で立往生しなかったのはほんの数日前にこれ読んでいたおかげ。達人さんに感謝)
したがって、当社は運びませんでも通る。ただ、そうもゆかない場合もある(注:地方では独占ないし寡占ということも多々。ある会社が拒否したらその地域の足消滅ということも有りうる)その場合、乗客にはマスクをしてもらい、乗務員はN95というのは有りうる。車内の消毒は通常の消毒薬でOK。

この道路交通法の規定、混乱回避のためにも。もうちょっと世間に知られる必要があるのではと思います。前原さんよろしく!

 


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大統領よ、真っ先にTVカメラの前でワクチン打つべきだ!(米NY大)

2009-10-01 10:46:51 | 政策提言/政策への疑問

米国オバマ大統領、「私は一般庶民と同じ列に並んで新型インフルワクチンを打つつもりだ(特権をふりかざすつもりはない)。優先順位の高い人がちゃんと早く打てるように」と演説しています。

しかし、こういうジェスチャーは有害だ!とNY大社会学の教授が噛み付いています。なかなか面白い論旨なので紹介。

  • NY大社会学Klinenberg教授。
  • オバマ大統領は、特権を使わずに一般人と同じ列に並んで打つと言っているが、このパフォーマンスは害の方が多い。
  • 今やらねばならないのは、米国民がワクチンを打つよう強いメッセージを出すことである。強いメッセージでパニック起こすのではというのは問題ではない。それよりも、米国民がH1N1のリスクやワクチンを打つに値するものか疑いの念を持たせないようにすることの方が火急である。
  • 新型インフルにより、すでに3200名の犠牲者が世界で発生しており、疑いなく危険な病気であり、秋からの流行が懸念される。
  • ピッチバーグ大の調査によれば、米国人の4分の3は”家族や友人が新型インフルに感染することは無い”と考えており、また、ミシガン大の調査では、子供にワクチン受けさせると考えている親は40%しかいない。 今、やらねばならないのは、十分多くの人々にワクチン接種を受けさせて次のパンデミック波を防ぐことなのだ。
  • オバマ大統領は、(米国民がワクチン打つ気になるよう)強いメッセージを発するべきである。彼と家族がやるべきことは、行列をすっ飛ばし、真っ先にワクチン接種を受けることである。それもTVカメラの前で。それが、ワクチン接種な誰にとっても重要で害が無いというメッセージになる。
  • 1976年、当時のフォード大統領と家族は、(当時の)豚インフルキャンペーンの中で、TVカメラの前で家族ともども真っ先にワクチン接種を受けた。その年はさほど広がらなかったが(副作用問題を言いつのる人もあったが)4200万人の米国人がわずか数週間でワクチン接種を終えるという効果があった。
  • いまや、同様のリーダーシップが必要だ。公衆衛生に必要なのは、ファーストファミリーが真っ先に接種を受けることなのだ。

社会学者がしっかりした発言をするのは好感ですね。

さしあたり日本なら、ワクチン接種開始初日には、厚労省も休戦日にして、TVカメラの前で長妻大臣の腕に上田局長が微笑みながら注射を・・・なんて如何でしょうか。司会のみのもんたも一緒に!

ソースは9月29日付ウォールストリートジャーナル↓
http://online.wsj.com/article/SB10001424052748704471504574443113986261186.html

How the First Family Can Lead on Swine Flu

The president would set a good example by getting vaccinated on TV.


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孤独死を防げ!(新型インフルエンザ NZ)

2009-07-30 09:58:39 | 政策提言/政策への疑問

新型インフルエンザで孤独死を出さないように! とニュージーランド保健相が注意呼びかけています。

  • 調子を崩した人は、友人や近所の人が注意を払うべきである。
  • 世間には、独り暮らしの人やネットワークを持たない人がいる。このような人々に注意をはらわなければならないし、状態が悪くなった時には援助の手を差し伸べねばならない。高齢者や独身者、あるいは子供やティーンエイジャーばかりで大人がひとりしかいない世帯など
  • 独り暮らしの人は、誰か知人や親戚など”インフル友達('flu buddy' )に毎日定期的に電話してもらい、状態が急変していないかチェックしてもらうべきである。

阪神大震災の時も、孤独死の問題は大きくのしかかりました。今後、新型インフルエンザ重症度が変化していったら、あるいは、変化しなくても現在すでに妊婦や基礎疾患を持つ人々は重症化リスクがあるわけなので、孤独死の問題は真剣に考えねばなりません。

舛添さんが、そして、地方自治体が、地域の保健所が、マスコミはもとよりミニコミや有線放送などでしつこく出してゆくべきメッセージですね。

ソースは7月29日付scoophealth↓

http://www.scoop.co.nz/stories/GE0907/S00135.htm
H1N1 09 Swine Flu - Update 118


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厚労省の新方針に想う(新型インフルエンザ)

2009-06-20 13:52:12 | 政策提言/政策への疑問

 第二波に向けた厚労省の新方針、「すべての医療機関で診療」の部分は各社報道されているところですが、全文はこちらです。 クリックしてひととおり目を通しましょう。

医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針(改定版)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/2009/06/0619-01.html

さっそく、各地方自治体から「現場の声」が噴出していてYahooニュースで取り上げています。↓
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090620-00000011-jij-soci
インフル新指針に自治体戸惑い=対策緩和「本当にいいのか」-問答集作成へ・厚労省

噴出する声に応えてこれから問答集作成。 いきなり4桁の本番に突入してしまいドタバタ劇が世界中に報道されてしまったオーストラリアと異なり、問答集作成をやってる時間が得られる北半球はラッキーです。

さてさて、当管理人も、以前から非常勤先病院では「感染管理委員会メンバー」になり(委員会の方が管理人勤務日に移動してきた)、大学の対策以外に臨床現場でどっぷり浸っています。 臨床の方の立場からひとこと。

「外来部門においては、今後の患者数の増加に対応するために、現在、発熱外来を行っている医療機関のみならず、原則として全ての一般医療機関においても患者の診療を行う。その際、発熱患者とその他の患者について医療機関内の受診待ちの区域を分ける、診療時間を分けるなど発熱外来機能を持たせるよう最大の注意を払う。特に、基礎疾患を有する者等へ感染が及ばないよう十分な感染防止措置を講ずる。また、公共施設、屋外テント等の医療機関以外のところに外来を設置する必要性は、都道府県等が地域の特性に応じて検討する(上記厚労省HPからコピペ)」
管理人はよその役所出身ではありますが、霞ヶ関の思考回路は理解的な方ではあります。 これを書いた人の苦労もある程度理解はできます。 でも、こういう文章をサラサラっと書いて持ち回りでパッパッとハンコ集めてバン!とアップしてしまう・・・つうのは、(そうじゃないのはわかっておりますが)「現場知らずに机の上で云々~」って言われちゃうモトなんですね。

病院の待合室、平常時から、ソファもいっぱいに受診者がひしめいています。これを「発熱者」と「非発熱者」区域に分ける別室なんて無いんですね。で、感染拡大に冬季ふつうの「カゼ」も流行ってきた状況で、発熱者スペースは当然イスも足りなく物理的に立って待たなきゃいけなくなる。普段以上に。 で、発熱したボウっとした頭に浮かぶ怨嗟の対象が向かうのは・・・

病院の待合室、あらかじめ決められた診療時間が終わっても人は居なくならないんですね。普段でも。 精神科病院では心の重荷をある程度支えられるまでじっくり話す。時間が来たからといってやめられない。どの科でも事情は多少あれど同じ。
だから、「○時から○時まで発熱のある方の受付。 △時から△時まで発熱の無い方の受付」と言ったって、発熱のある方は○+3時間も4時間も終わっていなくて明らかに△時をすぎて重なってしまうんです。

こういう現場を体感する時間が霞ヶ関現役中に得られないのは悲しき構造的問題と思いますが、市井の病院感染管理委員会一員やってる霞ヶ関OBからエールとともに検討お願いする次第です。

 

 

 

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新型インフル医療費は保険証無くても3割とはいうけれど・・・

2009-05-24 21:37:30 | 政策提言/政策への疑問

先週大阪駅からスタジオに向かうとき、ビッグイッシューhttp://bigissue.jp/about/index.html 売ってるおじさんに遭遇したので1冊買ってパラパラ。

最新号119号(p28)には販売者のインタビューが。

  • ビッグイッシュー(販売者)仲間が路上で急死した。
  • (その仲間は)身体の具合が良くなかったので、役所に行くとか何か手を打っていれば助かったと思うんだけど。周りがいくら言っても耳を貸さなくて・・・前にいくつかの役所で断られて、その対応が相当ひどかったらしくて役所は信用できないって、がんとして行かなかった。こんなことはもう二度と起こってほしくないですよ。

新型インフルエンザの治療費、保険証がなくても3割でOKと言っても、必要な人には、もっとしかるべき支援が必要なんじゃないか、いかがでしょう舛添さん・・・


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