MERSのクラスタを起した、サウジアラビアの出稼ぎ労働者女子寮の分析。
- 主としてフィリピン人が居住する女子寮。
- 環境はご多聞にもれず劣悪。828人密集。換気悪く、食堂キッチンは共有。映画を見るため画面の密集(Packed Dormと表現)
- MERSの確定例19例発生。
- 最初のケースは病院で掃除人として勤務。直接感染者のケアには携わっていない。その接触者調査で18例判明。
- 寮は24棟から成るが、attack rateはさまざま。全部を通しては2.3%で家庭と変わらないが、棟によっては35%のところも。
つまり、
1.密集した劣悪な環境ではMERSはどんどん感染する
2.直接の感染者ケアにあたっていなくとも、(掃除など)目に見えない経路でもMERSは院内感染する
というのが知見です。MERS-CoVじゃなくても、こういう事はいくらでも起こりそうなわけですが、管理人的には、「改正入管法でこれからどんどん増える外国人労働者」と、「技能実習生問題で、明らかになりつつある悪徳ブラック企業」の組み合わせが(MERSに限らず)感染症拡大を促しそうな気がしております。
先日、なにかのTVで、日本で虐げられるベトナム人実習生の特集がありましたが、その中で、漁船がひっくり返って亡くなってしまったベトナム人、その居住場所がちらりと映りました。まさに、Packed Dormそのものでした。そういう環境の放置は、ひいては日本国内全体の感染制御に響いてくるはずです。マスメディアのみなさんには、ぜひとも、悪徳ブラックをもっともっと、どんどん晒しあげていただきたいところですが、その際に「居住環境」や「感染症」の視点を入れていただければと思う次第です。