猿谷要著、中公新書刊
著者は1923年生まれなので大正12年で、私の母より3歳年上です。下記URLによれば、旧制高校から陸軍のパイロットになり、戦後復員した後、東京大学を卒業し、後に米国史を専門とする研究者としてキャリアを重ねたとの事です。
そんな著者による本書は、プロローグとして「歴史の入り口で」と題し、ご夫妻でアメリカ国内を旅した折りの思い出が語られます。この部分は、その後に続くアメリカの歴史を紐解き示す際の理解を深くするエピソードになっています。
その後は、アメリカが建国に至るまでの道のり、繁栄への道筋などを辿りつつ、多民族による極めて人工的な国家故の様々な国内問題を過不足無く紹介しています。また、今日でも、世界で最も存在力と影響力を保持していますが、かつての威勢が衰えていることは事実で、本書が出版された1991年時点で凋落しつつある中で、今後のアメリカの行く末を「超大国から並の大国へ」と表現しています。
著者は敗戦時に多感な青年期を過ごし、戦後は一貫して戦争の相手国であるアメリカを研究したので、アメリカに対する思いは単純ではなかったと思います。敬意を払いつつも、先住民を蹂躙し、黒人を奴隷として使役した歴史にも目配りし、複雑で多元的な価値観の渦巻くアメリカを冷徹に見据えていたのだと思います。非常に読みやすくコンパクトながらアメリカの歴史を概観するに適した良書です。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/猿谷要
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評価は4です。
著者は1923年生まれなので大正12年で、私の母より3歳年上です。下記URLによれば、旧制高校から陸軍のパイロットになり、戦後復員した後、東京大学を卒業し、後に米国史を専門とする研究者としてキャリアを重ねたとの事です。
そんな著者による本書は、プロローグとして「歴史の入り口で」と題し、ご夫妻でアメリカ国内を旅した折りの思い出が語られます。この部分は、その後に続くアメリカの歴史を紐解き示す際の理解を深くするエピソードになっています。
その後は、アメリカが建国に至るまでの道のり、繁栄への道筋などを辿りつつ、多民族による極めて人工的な国家故の様々な国内問題を過不足無く紹介しています。また、今日でも、世界で最も存在力と影響力を保持していますが、かつての威勢が衰えていることは事実で、本書が出版された1991年時点で凋落しつつある中で、今後のアメリカの行く末を「超大国から並の大国へ」と表現しています。
著者は敗戦時に多感な青年期を過ごし、戦後は一貫して戦争の相手国であるアメリカを研究したので、アメリカに対する思いは単純ではなかったと思います。敬意を払いつつも、先住民を蹂躙し、黒人を奴隷として使役した歴史にも目配りし、複雑で多元的な価値観の渦巻くアメリカを冷徹に見据えていたのだと思います。非常に読みやすくコンパクトながらアメリカの歴史を概観するに適した良書です。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/猿谷要
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