読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

さよなら滝平二郎-はるかなふるさとへ-

2010年12月20日 20時52分38秒 | ■見る
茨城県近代美術館で開催中の展覧会です。滝平さんは、1921年(大正10年)に茨城県玉里村(現小美玉市)で生まれました。中学生の時、先生方の似顔絵の群像を書いた際、校長先生から直々に褒められ、絵の道に進み、戦後復員してから本の装幀、版画を中心に活動し、絵本の挿絵を制作して活躍されていたそうです。
会場に展示されていた滝平さんの作品の絵本を見たら、我が家の子供達に読んで聞かせた絵本が何冊かありました。「花さき山」、「モチモチの木」などです。
そして、1970年(昭和45年)から1977年(昭和53年)までの期間、朝日新聞の日曜版に滝平さんの切り絵が連載され、一躍に有名になったとのことです。わたしも、この頃に作品を多く目にしていました。しかし、思春期の私にとって、地味な作風で魅力を感じませんでした。
-----------------------------------------------
URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/滝平二郎
-----------------------------------------------
滝平さんの作品展は、小美玉市が主催したものを以前に見ており、その際、原画に触れて、全く印象が変わりました。原画の線の切れ味や、着色の絶妙さが、印刷では失われているらしく、原画に触れて見直した感じです。
さて、本展覧会は、作品群を「第1章:初期木版画」、「第2章:絵本原画の世界」、「第3章:切り絵の魅力」と3つに分けて展示していました。特に初期の木版画は興味深く、ごく当たり前の作風から始まり、どんな風に制作したのか、と首をかしげるような不思議な色構成の作品や、大胆な彫り込みの線などが独自の世界を作りつつある様が伺えました。
そして、滝平さんを有名にした新聞連載の作品は、本人は不本意ながら、切り絵で、との注文で始めたものだそうです。そして、その切り絵も原画を見ると、実に細かな工夫が見えていました。単純な切り絵の技法に加え、着色の方法、ぼやけた輪郭の部分の表現など、独自の工夫が伺えました。印刷では分からない、原画特有の線の鋭さや色彩の意図などが伺えます。
評価は4です。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 最後の忠臣蔵/映画 | トップ | 負け犬の遠吠え »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

■見る」カテゴリの最新記事