
アンドリュー・ジェニングス著、文藝春秋刊
本書を読み通すのに結構時間が掛かりました。理由の第一は400ページ弱のボリュームですが、一番の理由は読んでいて胸が悪くなるほどの腐敗振りです。本当に信じ難い話です。また読みづらい。語り口が独特で語りの内容が著者の視点からなのか対象者の視点なのか明示されまい場合が結構あります。また、欧米人独特のシニカルな表現や名前をニックネームで表記したりそうでない場合がありますが、何せ悪人が沢山登場するので混乱します。
本書の魅力の本質は、著者の信念と、それに裏打ちされた粘り強い調査の見事さです。信じ難い事実を、膨大な資料や関係者へのインタビュー、そしてインサイダーとの極秘の遣り取りから明らかにしています。それらは頭脳だけで無くハートの強さが求められると思います。数多くの信じ難いスクープをものにしながら淡々と巨悪を追い続ける姿勢に感動しました。
人の世であってみれば、人間関係に基づき便宜が計られるのは必ずしも悪いことではないと考えられています。話を通す為に関係者に謝金が配られた。選挙での支持者の依頼により口利きをする。一流の会社に入社した人の親はある新聞社の幹部で便宜を図ってもらった。こうした例が耳目を集めるのは当然として、知己を得た人に少しルールを逸脱した便宜をお願いするのはどこまで許されるのか。難しい判断です。
かつて選挙に出た知人は「見慣れた世の中の裏側には全然考えもしなかった世界があることを初めて知った」と語っていました。大分前のことで、そうかもしれないなぁと感じましたが、最近その意味が少しずつ分かって来ました。人に知られてはいけないこと、知られたら危ないことは、理屈を付けて、あるいは意図を隠蔽して綺麗な面だけを見せている。その裏に、本書のような腐りきった現実が潜んでいることがあるということのようです。それがとんでもない広狩を見せているのだ、ということなのでしょうか。振り返ると、見聞きしたことや経験したことで思い当たる例がいくつかあり慄然としました。
評価は5です。
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本書を読み通すのに結構時間が掛かりました。理由の第一は400ページ弱のボリュームですが、一番の理由は読んでいて胸が悪くなるほどの腐敗振りです。本当に信じ難い話です。また読みづらい。語り口が独特で語りの内容が著者の視点からなのか対象者の視点なのか明示されまい場合が結構あります。また、欧米人独特のシニカルな表現や名前をニックネームで表記したりそうでない場合がありますが、何せ悪人が沢山登場するので混乱します。
本書の魅力の本質は、著者の信念と、それに裏打ちされた粘り強い調査の見事さです。信じ難い事実を、膨大な資料や関係者へのインタビュー、そしてインサイダーとの極秘の遣り取りから明らかにしています。それらは頭脳だけで無くハートの強さが求められると思います。数多くの信じ難いスクープをものにしながら淡々と巨悪を追い続ける姿勢に感動しました。
人の世であってみれば、人間関係に基づき便宜が計られるのは必ずしも悪いことではないと考えられています。話を通す為に関係者に謝金が配られた。選挙での支持者の依頼により口利きをする。一流の会社に入社した人の親はある新聞社の幹部で便宜を図ってもらった。こうした例が耳目を集めるのは当然として、知己を得た人に少しルールを逸脱した便宜をお願いするのはどこまで許されるのか。難しい判断です。
かつて選挙に出た知人は「見慣れた世の中の裏側には全然考えもしなかった世界があることを初めて知った」と語っていました。大分前のことで、そうかもしれないなぁと感じましたが、最近その意味が少しずつ分かって来ました。人に知られてはいけないこと、知られたら危ないことは、理屈を付けて、あるいは意図を隠蔽して綺麗な面だけを見せている。その裏に、本書のような腐りきった現実が潜んでいることがあるということのようです。それがとんでもない広狩を見せているのだ、ということなのでしょうか。振り返ると、見聞きしたことや経験したことで思い当たる例がいくつかあり慄然としました。
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