読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

フィレンツェの職人たち

2012年05月13日 10時06分12秒 | ■読む
朽見行雄著、JTB日本交通公社出版事業局刊
著者はNHKでディレクターや要職を勤め上げた後、56歳から3年間イタリアに滞在し、その間、フィレンツェの職人を取材し、24人の職人達を紹介しています。国が異なれば、文化やお人柄も異なるのは当然ですが、次々と登場する職人達を通してイタリア人の多面性を感じました。
デザイン感覚に秀でたイタリア人、というイメージはありましたが、極めて繊細な作業に粘り強く取り組む職人気質は、万国に共通する資質なのだと感じました。
取り上げている職人は、金や銀の細工職人、陶器の職人、チェンバロの制作者、あるいは、薬用香料調製、街灯製作などなど、実に多様です。フィレンツェという都市が、ルネッサンスの栄光を止めて現在に伝えているのは、そこに暮らす人々が、古くからの物を大切に使い、必要があれば修理して使い続けるという、今日の日本では滅多に見当たらない習慣によるものだとしています。もっとも、本書の執筆は今から20年前なので、現在のフィレンツェがどのようになっているのでしょうか。興味があります。筆者の好奇心旺盛な姿勢が感じられました。執筆時の著者の年齢は、ほぼ今の私と同じです。立派です。
評価は4です。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 味噌ピー | トップ | 日本陶芸、世界を巡る/美術展 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

■読む」カテゴリの最新記事