読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

文明の「血液」 貨幣から見た世界史

2011年10月30日 19時19分37秒 | ■読む
湯浅赳男著、新評論刊
以前読んだ「黄金の世界史」に感銘を受けましたが、その著者がインスパイアされたとしている本書を読みました。貨幣が文明の中で、原始貨幣から進化し、長い歴史を経て、金や銀に裏打ちされた兌換紙幣から不換紙幣となまでの長い歴史を、世界の文明の消長と共に跡付けています。
本書で明らかなことは、富の源泉は、基本的に生産物の輸出にあることでした。また、今までの歴史の過程で、金や銀が文明間の貿易での物品の流れと逆の流れを形成したので、近代の西欧文明の成立までは、西欧世界と西アジアから、インドや中国、東アジアへ金と銀が流れていました。物品は香辛料、絹、陶磁器など。そして、そうした東洋の物品を手に入れたいが為に、地中海世界の国々が、中東を経由することなく輸入出来る経路として海路を突き進み、アフリカの南端を経た航路を発見し、やがて大西洋を横断してアジアを目指したコロンブスを生み出したのでした。誠に人類の欲望は限りありません。そして、富を象徴する金と銀の魅力は、新大陸の搾取を招いたのでした。
本書は1988年に発行されており、貨幣が完全に金と銀との結びつきから自由になった状態で書かれていますが、既に投機マネーの動きを予言しています。著者は未だご健在のようです。誠に博覧強記であり、高い見識をお持ちだと思います。他にも多くの著作をものしている様なので、今後とも著作を読みたいと思います。(「黄金の世界史」の著者が、日本国が菩提名再建を金で持つべきだといっていますが、本書を読んで私も納得です。なにしろ、金・銀を結びつかない貨幣経済にあっては、証券や株対は、すべて紙になってしまうのですから。)
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URL => http://ja.wikipedia.org/湯浅赳男
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評価は5です。

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