庄司卓完全攻略ブログ

作家庄司卓のブログです。
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アニメ新番組『荒野のコトブキ飛行隊』

2019年01月29日 02時25分08秒 | Anime・特撮
少しずつ平常運転へ。そんなわけでまずは今期の新番組から。

美少女×レシプロ戦闘機というコンセプトの本作品。取り敢えず三話まで視聴しましたが……。
あ~~、これは「美少女」や「レシプロ戦闘機」よりも「西部劇」の色が強く出ちゃってるのが問題かな。
「西部劇」というものは、これがまた難物でしてね。かつて出版界では日本で当たらないジャンル御三家として「SF」「ファンタジー」そして「西部劇」だと言われていたのですよ。しかし今やファンタジーは内外含めて一大ジャンル。SFも長らく冬の時代が続いている(^^;と言われますが、何度か大ブームを起こしたことがあります。しかし「西部劇」だけは流行ったことがない。映画『007』シリーズが大ヒットした時代には、イアン・フレミングの原作翻訳本もベストセラーになり、柳の下を狙ったスパイ小説が次々と発売され、日本人作家も参入、玉石混淆のカオスとなった事もありますが、西部劇映画がヒットしても、書籍や他の媒体で西部劇はヒットしたためしがない。何でも昔の西部劇映画ブームの時には、それにあやかって西部劇小説専門レーベルがあったと聞いた事が有りますが、それも早々に撤退してしまったそうです。漫画でも『荒野の少年イサム』や『ガンブレイズウエスト』がありますが、いずれも大ヒットにはなっていませんねえ。日本人クリエーターの手になる作品で、西部劇テイストを盛り込んで、大ヒットとは言わずもそれなりにヒットした作品というとロボットアニメでは『戦闘メカ ザブングル』『ガン×ソード』、漫画ではジョジョ七部『スティールボールラン』くらいしかないのではありませんかね。

そんなわけで日本では西部劇テイストというのは、案外、鬼門なのです。時代劇=チャンバラと本質的に似たところがあるので、どうしても作る方としては気軽に「じゃあ西部劇路線でやってみようか」と行きたくなるのですが(^^;。かくいう私も何度か西部劇路線の企画を出したことがあります。没になりましたが(^^;。

この作品の場合、登場人物の倫理観、価値観、行動理念が西部劇のそれに近いのがかなり厳しい。「美少女」もののような(現実的にせよ、カリカチュアライズされたにせよ)女子高生のそれでもなく、レシプロ戦闘機から連想される大戦中のパイロットでもない。事前の宣伝では単なる舞台に過ぎないと思っていた西部劇テイストが全面に出てきちゃってますなあ。
『ガールズ&パンツァー』の場合、みほたちの価値観、行動理念はあくまで部活にかける女子高生のそれなので、その設定さえ飲み込めればあとはすんなりと行くのですが。
あまり馴染みのない西部劇の価値観、行動理念で、どうして女の子たちがレシプロ戦闘機に乗って戦っているのだ? とまぁその時点で引っかかってしまうのですよねえ。

こうなると「大空のサムライ(女子)」で剣豪、剣道小説ノリでいっても良かったかも知れません。空戦術というものがある世界で、いろんな道場が空港を持って空戦術を教えている。そこで愛機と共に道場破りをしていく美少女。その目的は父の敵を探す事なんて……。書くか(^^ゞ。
まあガチの空戦というのは、まず後ろに回り込む事から始めるので、リアルに描くと意外と盛り上がらない事もあるのですよね。西部劇テイストならば、編隊戦よりも一騎打ちが重視される世界でも良かったかも知れません。

あとレシプロ戦闘機の動きにもいまいち不満が……。
以前『Gのレコンギスタ』の感想で「可変MSの飛び方がレシプロ戦闘機だΣ( ̄□ ̄;;;)!!」と書きましたが、どうもこの作品では『Gのレコンギスタ』に感じたレシプロ機感(?)がたりないのですよね。具体的に何かと言われると困るのですが……(^^;。あえて言えば旋回、上昇する時のタメかなあ。データ的にはCGを多用しているこの作品の方がリアル、データ的には正しいのでしょうが、リアルとリアリズム、現実とそれっぽく見えるのは違いますからねえ。

CGと言えば、キャラもCGで描かれていますが、一部手描きの部分もありますな。それもばらつきがあって、同じキャラでもCGと手描きの雰囲気が違い戸惑う事が有りました。

そんなわけで三話までの印象ではどうにも色々とうまく噛み合っていない部分が多々見受けられる感じですねえ。


1 コメント

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Unknown (Unknown)
2019-01-30 14:12:55
>「西部劇」というものは、これがまた難物でしてね。
そうですね。原因は今一つわかりませんが、映画以外で当たったのを見ていませんねえ。
当たりはしませんでしたが、小説で田中哲弥氏の「大久保町の決闘」は読んでいて面白かったです。ラブコメ要素が良かったのかも。

>この作品の場合、登場人物の倫理観、価値観、行動理念が西部劇のそれに近いのがかなり厳しい。

主人公チームの「腕は確かだがいい加減」が、プロとして雇われている状況にそぐわない様な気がします。
これが舞台が部活とか趣味の範疇であれば、良いと思いますが、前期アニメ「ソラとウミの間」もそんな所があって、主人公のおバカ加減に、見る事にのめりこめなかった様に思います。

まあ、今期は「どろろ」と「Revisons」かなと現在は思っています。
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