庄司卓完全攻略ブログ

作家庄司卓のブログです。
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リコリス・リコイル第13話「Recoil of Lycoris」

2022年09月30日 04時49分37秒 | Anime・特撮
まず大団円。いくつか予想とは違いましたが、最後まで楽しませてもらいました。

この作品、ライブ感覚重視と言われてますが、実はアニメでライブ感覚重視でやるのはかなり難しいんですよね。
単純にオンエアが始まった時には、普通シナリオは全話完成している。最近は海外配信の関係で、全話納品済みなんて場合もあるので、視聴者の盛り上がりぶりをみて展開に反映するのは難しいのです。

アニメの場合「ライブ感覚重視で行きたい」というのは、「売れ線とか関係なしに俺(制作スタッフ)のやりたいようにやらせてもらう!」宣言と考えていた方が無難です。そして大抵、思いっきり明後日の方へ突っ走って自爆する(^^;。
この作品の場合「やりたいようにやらせてもらう」と視聴者のみたいものが一致したという希有な成功例として考えていた方がよろしいでしょうな。
同じ事をやろうとしている制作者の皆さん、やめておきなさい。十中八九、失敗します(^^;。

さて一方、設定ががばがばとも指摘されていますが、個人的にはむしろ「風呂敷の広げ方が下手だな」とは思いました。
おそらくこの世界、現実とはかなり歴史が違っていると思うんですよね。オウムテロや赤軍派テロはもちろん、ひょっとしたら太平洋戦争さえ起きなかったかも知れません。

「21世紀。世界は絶え間ない紛争とテロの危機におびえていた。その中で日本だけが開国以来100年以上も、テロや紛争とも無縁な平和を甘受していた。治安機関DAと実働部隊リリベル、リコリスの働きによるものである。しかし日本国民の誰一人としてリリベル、リコリスの実態を知るものは居なかったのである」

とか一話でいきなり大風呂敷を広げても良かったかも知れません。特に最終回まで見てみるとDAやリコリス、リリベルの存在を完全に国民に隠しておくのは無理があると思いました。これは名前くらいは知られているくらいにしても良かったんじゃ無いかと。CIAやMI6の存在は、世界中の人間が知っているけど、フィクション以外で「私はCIAの工作員です」「MI6のスパイです」なんて名乗る個人がいないのと同じような感じですな。

そして主人公の千束。終わってみれば非常にユニークなキャラでした。私は終盤まで、このお話は「千束に本音を語らせるお話」かと思っていたのですが、実際は「千束に関わる人間が本性を暴かれていく」話でした。

各キャラが千束に投影しているものが、それぞれの願望や本音という事ですな。……と考えて、ふと思ったのですよ。

「ひょっとして、たきなと真島は、同じキャラが二つに分かれたのかな?」

ミカは「平穏に生きたい。普通の父として子供と暮らしたい」、吉松は「裏社会の人間でも社会の役に立てるはずだ」=自己顕示欲。
この辺はいいのですが、たきなはどう考えても
「死にたくない、生き延びたい。誰かに愛されたい」
なんですよね。
あれ、これリコリスの任務と矛盾してないか? と思ったのです。リコリスは平均寿命が18歳。少なくとも作中の描写を見ている限り、平然と使い捨てられています。ミカや楠木司令に、愛情が無いわけでもないのでしょうが、少なくとも戦わせずに済ませたいという選択肢は無い。

そう考えると、たきなと真島に分裂した「原(げん)たきな」的キャラが居たら、「当初、千束とバディを組み活動していくうちに、リコリスに矛盾を感じて反旗を翻して、最終的に千束と敵対する」予定だったんじゃないかと。

Twitterに書いた、当初、私が予想していた最終回、千束とたきなが銃を突きつけ合い、お互い愛してると告白してから撃ち合って倒れるシーンは、この流れですね(^^;。

一方、真島が千束に何を投影しているのかが分かり難いんですよね。DAとリコリスの存在を暴くといっいたのに、最終的に延空木に仕掛けたのが爆弾ではなく、花火だった事からも、本当の目的は「千束との決着」だったはずです。でもそれが明確になったのは、千束に再会してから。
この作品には珍しく行動指針が曖昧です。それも元はちさとと同一のキャラだったと推測すると、まぁまぁ納得できるんですよね。
また真島さん、千束には分かりやすい行動をとりますが、どうにもたきなに対しては、どう対処して良いのか分からなかった節もありますし(たきなに会うとすぐに逃げる)。

まぁでも面白かったからいいんですけどね(^^;。こういう風に、あれこれ考察したがるのは八十年代オタクの悪い癖です。

さて、オリジナルとしてはここしばらく例の無かった大ヒット。ここで終わるわけが無いでしょう(笑)。

そうなると気になるのが12話でちらりと出た、リリベルのファーストらしい少年。少々、吉松と似ていると話題になったあのキャラがなんか関係している可能性も。
どうやら吉松とミカはがちで恋人関係だったらしいので、子供が居たのかとも思いますが、ここは子供で無くクローンという線ではどうかと。

吉松の才能を惜しんだアラン機関が密かにクローンを作っていた。しかしクローン故にテロメアの問題から逃れられず18歳前後で死亡すると、今回の千束と対になる存在。そこに真島が接触して「お前のオヤジとそれを殺した奴を知っている」。

千束の前に現れる謎の少年「初めまして、いや久しぶりかな。お義姉さん」。
たきな「千束、いつ弟なんて作ったんですか!」
千束「いや、弟は作れないよ……。ってどこかで会った事ある?」

突然、四方八方から銃撃。吉松のクローンは、天才的な指揮能力を持っていた! 小隊程度の規模なら、手足のように操り素人ばかりでも充分な戦果を挙げられる。未回収の銃器をもった一般人が、吉松クローンの指揮で千束、たきなへ襲いかかる!

なんてのを一時間半くらいの映画で駄目? あ、駄目ですか(^^;。

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