新しい朝が来る
気付くと日が暮れている
正月が過ぎ あっと言う間に四月が訪れる
五月になると「新鮮な気持ち」と「倦怠感」が交互に押し寄せ自己葛藤する
九月には月満ちる
十月には神様が島根県へ集合する
十二月、先生でさえも走る
はるになるとさくらなみきは桃色にいろどられる
はる、なのはなばたけはいちめん黄色のじゅうたんとなる
青いはるを、だれもがせいちょうのかていでけいけんする
花を求めてばかりの人がいる
自分の歩いた跡にしっかりと花を咲かせる人もいる
美人を見ると男はかっこつける
イケメンを見ると女はウットリする
ナンバーワンを男は望み
オンリーワンを女は望む
愛くるしい子供がいる
愛に苦しむ大人もいる
情けない気持ちになることがある
本当に悔しい時がある
しばしばある
最高の幸せを感じることも一生の間にほんの少しだけある
幸せは長続きしない
長く続いているが、見えなくなるだけなのかもしれない
燃えるような夕陽が沈んでいく
突き抜けるような青空を飽きもせず見上げ続け首が痛くなる人がいる
考え方が柔軟な人がいる
体は柔らかいが頭の固い人もいる
物分りの良い人がいる
物分りはとても良いが、物忘れもひどい人もいる
国際的平和賞を授与された人がいる
産まれたばかり第一声は「オギャー」である
数十万人を殺戮し逮捕された人がいる
産まれた時にはやはり無垢な声を発している
力点、作用点が折り重なり、人はつくられていく
「けしからんですよ」 コメンテーターはただ言い放つ
軍事評論家は 戦争が勃発するとテレビの仕事が増える
雨の日でもゴミを収集してまわる 髪の毛ボサボサの清掃局のおばさんがいる
雪の日に自宅前の雪掻きすらしないくせに
世直しを声高らかに叫ぶショートカットの人もいる
人が多く集まるとゴミが増えて困るが、
人が全くいないと過疎化が進み 町はやがて死んでいく
食堂でネズミを見かけると「ギャー」と言い、
浦安のレジャーランドでもっと大きなネズミを見かけると「キャー」と言う
合唱コンクールで「ドナドナ」を詩って 金賞を得たマダムがいる
金賞祝賀会でミディアムレアのステーキをおいしそうに食べるマダムもいる
行き交う雑踏の中で、自分一人だけが取り残されている様な錯覚に陥る人がいる
実は、遠くでひそかに応援してくれている人がいる
人類の永い歴史の中で巡り合えた人がいる
この広い宇宙、広い世界において天文学的な確率で巡り合えた人がいる
「生きるとは何ぞや」
「自分の存在意義とは・・・」
くよくよ考える人がいる
じっくり思いに耽る人もいる
そんな事を考えている暇すらなく、
生きていくためにくたくたになるまで働いている人もいる
多くの人が悲しみ、悩み、傷つき、もがき、彷徨い、葛藤し、
そして時々 素敵なことも起き、
私たち人類の歴史は脈々と受け継がれて行く
人は水から生まれ やがて土に還る
梅が咲き
桃が咲き
桜が咲く
どこか遠くの教室から卒業式の歌が聞こえてくる
張り詰めていた空気に優しい生命が蘇ってくる