大統領の結果をめぐり国を割る不穏な騒乱、というとアメリカかベラルーシの話と思われるかもしれない。が、西アフリカでも先月から大モメにモメて、反政府デモから大勢の死者や逮捕者を出す泥沼状況を生んでいる。
内紛が収まらないのは、ふだんはカカオの輸出大国とオレンジユニのサッカー代表くらいでしか話題に上らない新興国コートジボワール。
憲法に大統領の任期を2期までと定めているのに、現職が公然と3期目に立候補して野党が猛反発。
選挙期間中に「選挙は無効」とボイコット運動が叫ばれるなか、強行された投票で圧倒的な得票率(って支持者しか投票しないから当たり前の話だが)でもって"再々選"を果たした大統領に対し、選挙自体の撤回と即時辞職を要求する野党勢力が激しい路上抗争を繰り広げて収拾つかない国情に陥ってる。
現地の状況↓(仏ニュース映像)
何なんだろ、この遵法精神の希薄さは。
同国では過去にも、幾度となく選挙の不正や大統領職の正当性を巡って内戦状態に陥ってる。今回物議のワタラ大統領ですら、その第1期目は(負けとされた)選挙結果を頑として認めず徹底抗戦。世界からの信認を追い風に、"不法選挙"を覆しての当選だった。
強権政治に抵抗した指導者が大統領を引きずり下ろすや、また強権政治を繰り返す……という悪循環。いつまで経っても憲法に則ったフェアな政権交代が(紛争無しに粛々と)行われていかない。野党も野党で、政権奪取の早道は「選挙をボイコットする、政敵の再選を認めず騒乱に持ち込む」に限るとでも勘違いしてるようだ。
植民地から自治国、自治国から独立、という権力獲得プロセスの間に「民主政治の土壌を自らの間で築き上げる苦しみ」をスルーしてきたツケが、ここへ来て「暴動 vs.弾圧でシロクロ付けるのでなく、決められた法治に基づく自由」という根本精神への無理解を染み込ませてしまってる❔のか。やりきれぬ、哀しい罵り合いと紛糾のリフレインである。
=了=
この話題の関連記事:
- 今さらコロナ厳戒態勢のロシア、あの❕クリミア半島では"意外な日常の食材"が とんでもねー値段に吊り上がってるらしい件。
- "昭和の浮世絵師"の大往生から、遠くアフリカのエボラ禍に想いを馳せてみる ── "エボラ河童(がっぱ)" の装いについて/他