あえて付言するまでもない、つい1週間前に世間を震撼させた「大阪ビル放火事件」。
SNS的にはすでに今さらネタ。まして犯人は重い一酸化炭素中毒で(長い時間、脳に酸素が届かなかったため)ぶっちゃけ脳組織の一部が不可逆的に腐り、もはや「思考活動を再開すること」が限りなく不可能な植物状態に置かれてしまった。直接に本人からの事情聴取はまず間違いなく出来ず、真の動機なんて解明できんのかよ❔❔ というゼツボー的な状況になってるのだから💧 不毛感がハンパない。
でだ。
そーなると、容疑者の(凶行に至るまでに何十年と積もった)思考履歴=心の遍歴を追うのに、少しは「境遇の似た同世代人」の意見も参考になるのでは❔ と思った。それで手前勝手、きょうの"論評"投稿を思い立った次第である。
ちなみに小生、はや何十年と「定職の無い61歳」。新聞はもちろんのこと、地デジTVを観れないまま丸10年、ガスが使えない日常生活は足かけ20年になる。もちろん、過去には何度か電気や水道さえ止められた。間違いなく路上生活の一歩手前、ギリギリのサバイバル中高年人生を歩んでる。
ただ、第一に未婚で一度も家族を持てなかったし、唯一ハードに恨んでた戦中派の父親は数年前に他界したため💧 自分以上に特段「憎む対象」もいないもんだから「誰も殺したいとは思わずに」人生を送ってられるw そのへんが本件の容疑者との”境い目”かな。
ああ、それと。ぶっちゃけ彼は、家族なんか安易に持つべきじゃなかったんだよ。
4人兄弟のなか末っ子同然の(母親からの)甘やかされっ子だったから、思春期に(聖母と慕った)実母と死に別れたのが余りにも⚡ イタかった。結局、悲痛なまでの母親のぬくもり欲しさに「生活力のある看護女子」を恋して結婚しちゃうんだな。そんなの、ひとたび子どもが産まれりゃ母子関係に嫉妬せざるを得ない「精神的に未熟な夫」の典型的パターンじゃね❔
こいつは「妻の愛を子どもから自分にも向けさせたくて」、ただただ甘えたいばっかりにプータロー生活や転職を繰り返す。妻には看護士という「食いっぱぐれのないスキルとキャリア」があるから、ふたりの子どもの養育と就学のためとなりゃ必死に❕ 働いてしまう。夫婦がイガみ合う家内チキンバトルは、どこまでもすれ違いだった。
潮目が変わったのは、確執が深くて疎遠にしてた実父の「死」だ。
ホントにひさびさ実家の葬式に出たみたら、喪主の兄から思いがけず「おまえが相続に加わりたいなら、その中身は父が返済し切れてない借金になる」と告げられる。そんな内情、聞いてねーよ。「ザケんな。オレはきさまらの"家業"など知らん 💢」と一蹴し、席を立った容疑者。これには妻も同調するっきゃなかった。
「もうこれ以上、夫にも谷本家にも関わってちゃダメだ」
そう見切った妻(今となっちゃ"元"妻)は、自身の実親らを保証人に立て(経済力の無いダメダメ亭主の容疑者を介せず)自力で中古マンションを購入し引っ越すのである。新婚当時=バブル期に夫の容疑者が買った新築の建売住宅に入居して、まだ6~7年目の唐突な出来事。で……容疑者当人だって谷本家の目の前からは消えたい。なので実兄に移転先を知らせないまま、スゴスゴと持ち家を放り出して妻宅に居候(いそうろう)を決め込む💧 のだった。ナンとも(当ブログ主にも似て)甲斐性のないダンナである。
ところで……そんなにもダンナ未満な資質だった容疑者が、どうして26歳で(人生で最初の)家なんか買えたのだろう???
ひとつには、たまたま巡った時世が狂乱バブル到来を目前に控えてて、将来ある若夫婦相手になら「短期ローンは焦げ付かないだろう」という(令和の今からしたら)甘めの信用がゲットできたこと。そして、買った家自体が無理せず10年ローンくらいで買えそう❔な、格安の建売物件ぽい、ことが挙げられよう。
26歳当時の容疑者が購入した「新築の家」の実像たるや、フタを開ければ大阪淀川と高速の高架道に二方を塞(ふさ)がれた「低海抜の角っこ」を地盤に売りに出された、全5棟からなる"お買い得"建売物件のうちの(最北端に建った)1軒であった。
最南で最広の1棟区画を除き、残る各棟とも軽自動車さえ入れない狭い路地でしか繋(つな)がってない。ほぼほぼ長屋状態の💧 残り4棟に関しては、建地が狭いうえに低地であることから、広さと日照を稼ぐために三階建てになってて、階段スペースを考えると常人には窮屈感や迷路感が伴いそう。
分譲当時「最先端の流行りの話題商品」だった朝日ソーラーが(うち)3棟の屋根に完備済みだったのも「立地条件の悪さ」を少しでも払拭したい不動産業者が「付加価値アイテム」として盛った企画ゆえだろうなァ💧 と容易に推測できちまう。
悪条件のキワめつけは、昭和あるある的な商店街通りへ出る路地の……その開口部「どまんなか」を電柱が「通せんぼ」してることか。
まあ、これなら暴走車両に突っ込まれる危険はないが。それでも設置してある自動車侵入禁止の標識が、もはやシュール。
容疑者の旧宅は、この路地奥のY字路を左に折れたところ。さすがのGoogleストリートビューも、この「都会の秘境」にまでは踏み込めない。
Googleストリートビューで、建売り区画の南側へ回ってみた。この左手の、住宅の連なり。中ほど手前のクーラー室外機の高さ辺りのさらに向こう、4つ並んでる配電ボックスの一番奥が、容疑者の旧宅で事件前にも「また住み込んでたらしい廃屋」になる。右手側に写るお宅も(このビューで見る限り)空き家にしたまま放置されてるようだ。
この、最初は新築だった家に新婚で入居した当時は、容疑者の生活も激変するなか孫(=長男)も生まれたりで、彼のウザがってた実父もゴクたまには様子を見にきてた。兄に至っては前述の通り、容疑者の振る舞いを扱いかねた彼の新妻から「助けてコール」が浴びせられるたび、仲裁に駆けつけたりしてた。
そうでありつつも、この家。容疑者の人生にとっては唯一「一家の主(あるじ)ヅラ」ができた自分の城、記念碑には違いない。
実父の葬儀で嫁に(生家に対してすら愛想を尽かされ)逃げ出されて、その妻子宅に「お荷物のように転がり込んだ」あと、さぞかし姉御肌な嫁からは「あんたも定職に就けないんなら、せめて"あんな家"、いい加減に売って子どもの学資の足しになさいよ❕」とでも急っ突かれてたことだろう。けど彼は頑(かたく)なにここを手放さず、そうこうするうちに築ン十年。売り出そうにも、買い手がつく時機を永遠に逸してしまった。わたしは、そう推察する。
そんな容疑者のダラしなさ、優柔さゆえ(妻側から)持ち出された「別れ話」が再三ぶり返すなか、それでも足かけ7~8年、容疑者が正社員として在職した鈑金屋の仕事。
おそらく、それが妻子に(亭主としての)存在を認めさせる「最後の努力」であり「別れ話封じの崖っぷちの砦(とりで)」だったのだ。しかし、子どもの育児を終え、フルタイムのナース稼業に復帰したエネルギッシュな嫁の前には、(自分で)稼いだ給与を手つかずでポンと丸ごと預けられる気風(きっぷ)も持てない。経済的にも行動的にも家族の大黒柱には返り咲けないまま、結局は離婚させられてしまう。万事休す、ゲームエンドである。
嫁の家を追い出されたら、全日就労に耐えてた「気分の張り」もいっきに喪失。その精神力の散漫(さんまん)さが、この容疑者生来の弱さだった。
家族から棄てられた48歳は、元家族を道連れに死のう❕❔ だなどと、とりとめもなくネガティブな「人生オワタ」モードにあっさりと自身を切り替えてしまう。自分だけキッパリ「やれるだけやりきったのに人生に負けた。敗走するしか未来は無い」という結論に飛びついた。「そんなコトないよ。あきらめないで💗」と応援し続けてくれていた母親さえ生きてたら、この一途(いちず)に甘ったれな容疑者の人生は多少、違ってたかも。
いずれにせよ、このとき無理心中を完遂できてたら容疑者は(その時点で)死んでた。今回の放火事件は起きずに済んでた。
しかし、26歳の健常な息子を酔った勢いで刺し殺そうなど、最後まで「考えてることが甘い」。家族殺害は未遂に終わり、未遂ゆえに(今度は)自分だけ死ぬ意欲も喪失してしまう。誰かと一緒でなきゃボク、死ねないよう。誰か、お願いだから(ボクと)死んでよお。赤ん坊の容疑者は服役中も出所後も、そういう泣き言にしか凝り固まれない精神状況に陥ってゆく。
クリニック放火による大量焼殺に自転車で向かう直前、容疑者は「住んでた」旧宅にも火を放って(家を出た15分くらいあと)ボヤ騒動を起こしてる。
どうにも不思議なのは、ボヤの出た別室にわざわざ放火の計画性を強く匂わす手書きメモや、ペットボトルに入れた若干量のガソリンを残し、それらを燃そうとはしてなかったことだ。つまり、証拠隠滅を図っての放火じゃない。
第一、どうしても誰かを巻き添えに死にたきゃ、未明にでも自宅の燐家沿いにガソリン撒いて着火すりゃいい。長屋状態に密接して建ってる木造家屋の2棟や3棟、労せずして確実に❕ 延焼して(睡眠中の)複数家族を殺せたハズだ。ちょうど(発生時間的に人命こそ奪わなかったが)23日夕方に広島安芸区で5棟を焼いた、密な住宅&飲食店街の火事のように。
だのに、それをしなかった。炎が燐家まで燃え広がらないように「少しだけ燻(くすぶ)って消し止められるよう」あえて細工した。
わたしは「この不審点」に、クリニック放火の動機が透けて見えた気がする。
ひとつ目には、この家は「この世に容疑者の生きてた証し」。彼は芸術家が作品を残すように、この家だけは(自分の焼死後も)残しておきたかった。
ふたつ目に自宅への放火は、別れた妻子や実家の長兄への「あてつけ」。あんたらの冷たい仕打ちのせいで、オレはこんな大事件を起こすまで壊れてしまったのだ……その訴えを、他の誰か。たとえば捜査当局にも分かってもらいたくて、犯行の証拠を陳列した上で「気づいてもらう。目立たせるための狼煙(のろし)に」したのだろう。
ご近所さんとは、30年前も今も付き合いが皆無だった。彼は「赤の他人を道連れに死にたかった」のではない。長年の家族に見放されて、孤独で寂しかった。
彼が望んだ自殺ミッションの中身は「少しでも自分の立場や苦しさを理解してもらえそうな、より大勢の"親しみが沸く仲間"と心中する」ことに他ならなかった。その意味で、京アニ事件の犯行は真似たが動機は180度異なってた。京アニみたく、相手を憎む余り殺しまくってやるぜ、なんて思ってない。
単に容疑者は、生涯マザコンの幼児だった。
なのに母親にも嫁にも去られた寂しさに耐えかねてしまい、目の前の世界に絶望した。今回の惨事は「永遠の赤ん坊」が母性愛に飢え果てた結果、彼の側から一方的に親しみを覚えた人たちと、ひとりでも多く一緒に心中してもらいたかっただけの「不毛に過ぎる凶行劇」なのである。
=了=
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