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Sunset Cafeへようこそ

いつか、夕日の美しい絶景の地にカフェを・・と願う私のバーチャル・カフェ。未知の音楽と人との出会う場所。

ポール・ニューマン往く!

2008-09-28 19:22:39 | 映画のおはなし

(2008.09.28 文京区芭蕉庵の萩)

ポール・ニューマン逝去。
また一つ時代のコマが回転する思いです。

今年になってから逝去したハリウッド映画スターだけでも、
ロイ・シャイダー     (2008年2月)
リチャード・ウィドマーク (2008年3月)
チャールトン・ヘストン  (2008年4月)
と続きます。そしてその上に、ポール・ニューマン・・・。
まさに私が高校生頃からつい最近までの長い間、スクリーン上で私に感動を与え
彼らの主演作を見ながら生きてきた私の人生の一部のようなスター達でした。

ポール・ニューマンに限れば,私が鮮烈な印象を受けいまだにポール・ニューマンといえばすぐそのシーンを思い浮かべるのは、
有名な「明日に向かって撃て」や
「ハスラー」や「スティング」ではなく、「暴力脱獄」での権力に反抗し自由を求め続ける男・ルークを演じたあの姿です。
私はポール・ニューマンといえば、あの一寸とはにかむような笑みをたたえた
口元をすぐに思い浮かべます。
年齢を重ね、人を魅了するあの低いバリトンの声が相変わらず少年のようなあの
口元から出るのをTVで見て、「このように美しく老いることが出来たらいいなあ・・」と私も感じていたものでした。

美しい秋の花のように、ポール・ニューマン氏は旅立ちました。 合掌。

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「シェーン」に見る決闘の美学

2008-08-06 23:27:13 | 映画のおはなし


映画・「シェーン」の最大の見せ場が最後の決闘シーンであるのは誰でも異論のないところでしょう。

約2時間のこの映画はグラフトンの酒場でのシェーンとライカーとの短い言葉の
応酬があり、「銃による問題解決の時代は終わりかけている」が、「そっちはどうなんだ?」と酒場の隅で不気味な雰囲気を
漂わせる殺し屋らしい男・ウィルスンに話題を転じます。
一瞬の沈黙の後、「調子に乗るなよ・・・。」と低い声でつぶやいた男は、
のっそりと立ち上がりシェーンに相対します(この写真がそれです)。

その後の壮絶なガンファイトに至る二人のやり取りは以下の通りです;

シェーン : So you're Jack Wilson.
ウィルスン: What's that mean to you, Shane?
シェーン : I've heard about you.
ウィルスン: What have you heard, Shane?
シェーン : I've heard that you are a low-down Yankee liar.
ウィルスン: Prove it.

この息詰まる短い言葉の中に緊張はいやが上にも高まり、最後のシェーンのセリフ
はドスの利いた低い声でゆっくりとウィルスンを、「あんたは最低で嘘つきの
北部野郎だそうだな」と銃を抜かせるために挑発、ウィルスンはニヤッと
凄みのある笑いを浮かべて、「抜け!」となります。
正にこれは決闘で勝つために、相手の心理をかき乱し一瞬の心の動揺を誘う
作戦であります。
(巌流島の決闘で武蔵が小次郎に対し、「小次郎、敗れたり! 勝つつもりなら
なぜ鞘を捨てた!」と挑発したあのやり方と共通するものがあります)。

シェーンはウィルスンを倒し、ライカーも倒し、二階から狙っていたライカーの
弟も倒します。

最後のシーンはもちろん、名誉もお金も愛も、何も求めず語らず、やるべきことをやり終えて黙然と
馬に揺られてこの町を去っていくシェーンの姿で終わります。
「ただ黙して語らず、去る」というところに男の美学があります。
・命懸けで戦ったのだから、もっとシェーンは興奮して沢山語るはずだ。
・悪を倒し、町の英雄になったんだから寂しく町を去らなくても良いのでは?
・スターレット家の居候になって第二の人生を・・は、ないのだろうか?
などなど、いろいろ批判もありましょうが、「黙って去る」ことで全てがきれいにロマンのままで良い後味となるのですなあ。
すべからく、人は進退が肝心ということでしょうか・・・。




50回目の「シェーン」  ・・・・ 不朽の名作西部劇

2008-08-05 23:40:52 | 映画のおはなし


「シェーン」。
私の大好きな映画です。
もう50回位見たかもしれません。1年に1回位のペースでビデオを借りて、1回借りると一週間に3回位見ます。

この映画のどのシーンもどのカットも一つとしてこれ以上はないほどに完成度が高く、映像として美しいのはもちろんのこと、
画面には私を魅了して止まない、そこはかとない詩情が漂います。
映画は美しく雄大なワイオミングの山々を背景に少年ジョーイとシェーンの出会いから始まり、エンディングは再び少年と
シェーンの短い別離の会話、そして、「シェーン、行かないで!カムバック!」
の少年の叫びを背に去っていくシェーンの姿で終わります。

この映画の至る所に登場人物達のヒューマンな心の通い合いを感じます。
他の多くの西部劇と違って、「シェーン」には美しくみずみずしい大自然のシーンに溢れ、そのせいもあって西部劇には
珍しいウェットでしっとりした良さを感じます。

中でも私の特に好きなシーンを取り上げてみましょう。
①冒頭のシーン。シェーンと少年・ジョーイの最初の出会い。
 「遠くから来るおじさんのことを、ずっと見ていたね。
  見るときは脇見もせず、しっかりと本質を見る。その姿勢が大事だよ」。
  とジョーイに語りかけるシェーンがいいです。
②グラフトンの酒場でのなぐりあいのシーン。
 シェーンが「ウィスキーを二杯くれ」とオーダーし、一杯をクリスの服にかけ、 もう一杯を顔に浴びせかけて力いっぱい
 ぶん殴る、 あのシーン・・・。
 これこそ西部劇と言う感じです。
③シャイアンから来た殺し屋ウィルスンとの決闘シーン。
 黒ずくめのウィルスン役のジャック・パランスは本当に不気味ですが、90年代 になって「バグダット・カフェ」の中で
 出てきた時は、 あっと驚くような良い味を出した老画家役でした。
④有名なエンディングシーン。
 終わりも再び少年ジョーイと心の通う短い会話ですが、この会話の中身も
 いいですねえ・・。
 もちろん、「シェーン、カムバック! シェーン!」の少年の叫び声で
 いつものように必ずホロリとさせられます。
  
いつの日かこの映画のエンディングで、あの「帰って来て、シェーン!」の少年の叫び声がこだまとなって響いた、
ワイオミング州ティートン国立公園内のロケ地を訪れるのが私の願いです。