
このお寺に来るのはこれが50回目位かもしれません(今年だけでも3回
は来ています)。しかし、今回、私はそのままスッとこのお寺に入るのを
ためらいました。拝観料を払うその入り口の辺りから既に、只事ではない
気迫で紅葉が空をおおっています。
圧倒的なその美しさに気合負けし、お寺の入り口でしばし呆然と立ち尽く
してしまった私でした。
このお寺は、いつも私に何かしらメッセージを送ってくれます。
その内容が何なのか考えながら、いつも帰路につくのですが、そういう
想いに至ったというだけでもとても大きな満足感があります。
それは今回の紅葉の時と同じく、6月の暗い雨の中に光るブルー一色の
アジサイの群れの、信じがたい程の美しさから発散されるパワーなのかも
知れません。
本堂の座敷の彼方にある有名な丸窓を通した遠景空間は、再び、深遠な問い
を私に投げかけます。
丸窓を通した彼方に美しい紅葉が見え、形容しがたい美しさです。
手前のざるに無造作に入っているかぼちゃとりんご、丸い窓を挟んで左右
対称の緋毛氈、窓から畳に投影されている淡い陽光・・。
これらはすべて丸窓の中に見える紅葉を絶妙の絵画としています。
このお寺だけは鎌倉の他のお寺と違います。
このお寺の紅葉だけは他のどんな紅葉よりも光り輝いて見えました。
この寺の美しさは、全くの自然のように見えて、計算され尽くした
人智のあとも見えます。
いづれにせよ、このお寺の紅葉の美は並外れています。
この世のものとは思えないほどの、異次元の出来事であるかのような、
そんな感じさせ致しました。
