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雑感や書評など

高田明和「「うつ」依存を明るい思考で治す本」

2005-03-31 08:53:42 | 書評
そうは思います


うつ病関連の本を読んでいると、「薬とカウンセリングの二本柱で対処できる」と書いている本が多いのですが、「「うつ」依存を明るい思考で治す本」では、副題が「クスリはいらない」となっているように、まったく必要ないどころか、害悪があると述べています。


アズミーダ博士はセロトリン神経系を「脳の巨人だ」とたたえています。それは脳のさまざまな部分に影響を与えているからです。そして外からの力、つまり薬でセロトリン神経系をいじることは「巨人を目覚めさせる」と言い、とくにドーパミンを減らすような使い方は「目覚めた巨人の怒りをかっているのだ」と言っています(高田明和「「うつ」依存を明るい思考で治す本」62頁 講談社+α新書)

著者は、薬での治療はロボトミーを施すことと同じではないかと主張しております。ロボトミーというのは、前頭葉切断手術のこと。前頭葉とそれ以外の脳との連絡を断つ手術です。こうすると、
悩みがなくなるかわりに、無責任、くるくる意見が変わる、自分で決断ができないなどの問題(同書40頁)
が出てくるらしいです。

つまり「薬を与えることで悩みが無くなるが、人為的に脳をいじるということは、それ以上に危険を伴う」とのこと。

で、「悩むということは、人の成長にとっては必要なこと」という至極全うなことを言っております。

そうは思いますけどね。
でも、どこかに線を引くことは難しいのですが、「健康体の苦悩」と「病体の苦悩」は違うということで、薬が必要な気もしますが………さて。


本書では、「クスリなんかいらない!」と主張しているだけあって、人工物に頼らないでうつ病を治癒する手段について、いろいろと述べております。
日常の生活で実行できる程度の事柄ばかりなので、うつ病を回避する手段としても有効だと思います。

精神を扱う職業の人にありがちなことですが、この著者もちょっと宗教がかっているところもありますが、そこさえ気にならなければ、健康な方でも得るところがあるじゃないでしょうか?


「うつ」依存を明るい思考で治す本―クスリはいらない

講談社

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