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曽利文彦「ベクシル 2077 日本鎖国」

2007-08-21 21:35:26 | 映画評
もう、素敵な時間泥棒なんだから(ハート)!


映画評価に関しては、絶対の信頼を置いているサイト超映画批評にて、曽利文彦「ベクシル 2077 日本鎖国」が高評価でしたので、見に行きました。


結論。
「トランスフォーマー」にすれば良かった…………。


さて、こちらが公式サイト。(goo映画 ベクシル)

ストーリーは、
21世紀初頭、バイオ・テクノロジーとロボット産業の急速な発展から、日本は世界を大きくリードした。そのため、様々な危険が指摘されるようになると、国連の規制に反旗を翻し、2067年、鎖国という決断をとった。それから10年後、米国特殊部隊SWORD所属の女性兵士、ベクシルは、日本への侵入作戦を実行する。
という設定から分かる通り、なかなか野心的なものです。

一つ間違えれば、左翼からは「なに日本を美化しているのだ!」と批判され、右翼からは「日本を卑下して、なにが楽しいのか!」と街宣車が突っ込む事態にもなりかねない危険な設定です。


で、ネタばらしになるのですが、これが、見事なくらい、政治的な設定を活かさない、非政治的な展開。

当初は、「バイオ・テクノロジーとロボット産業の急速な発展から、日本は世界を大きくリードした。そのため、様々な危険が指摘されるようになる」という、イ・シミョン「ロスト・メモリーズ」も真っ青の「日本人優秀、万歳!」設定。
日本人でも、ちょっと恥ずかしいです。

が、その後の展開において、「日本人は素晴らしい!」「日本はアメリカより優れている」「日本の技術力は世界一ィィィ!」なんてことはなく………………。

なんと言っても、最後には日本民族が全て滅んでしまいます。

しかも、そんな終わりなのに、ハッピーエンドときたもんだ。


潜行したアメリカ人は生き残って、祖国で必死に戦った日本人は、全員死亡。

こんな映画を外国人がつくったものなら、
「ふざけんな、この人種差別主義者め!」
と言われるでしょう。

いや、日本人がつくったって、「なんだ、この民族滅亡賛美は!」となりそうですが……………見事なくらいに政治性が皆無の、エンターテイメント映画。

「あぁそうか。この監督は、物語を盛り上げるために、日本人を皆殺しにしたんだ。…………じゃ、しゃーねぇーか」
という気分になっちまいます。


うーん。

序盤のアメさんが日本に潜入するまでは、面白かったです。

確かに、アクションシーンは、素晴らしい。

でも、アクションシーンにしても、人間の描写があって活きてくるもの。

登場人物が、「これでもか!」というくらい、安っぽいんですよ。


主人公のアメさん女。その恋人・アメさん男。そして、そのアメさん男のかつての恋人・ジャップ姉さん。

「うへ、ありがちな三角関係…………」


そして、最後のジャップの大ボスが、これが、また。
「私は神だ!」
とか言い出す始末。

「うへ、ありがちなマッドサイエンティスト…………」


同じ監督の「PingPong」は良かったのだが。


さて、「ロスト・メモリーズ」の感想。
イ・シミョン「ロスト・メモリーズ」

同じ曽利文彦監督の作品。
曽利文彦「PingPong」