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雑感や書評など

古谷実「わにとかげぎす (1)」

2006-11-17 21:37:57 | 書評
さて


好きな作家だからこそ、苦言を呈したいというのは、ファンなら、よくあることです。


古谷実の「わにとかげぎす」一巻を読みましたが……………、正直、
「またか…………」
と思わないでも。

だいたい、なんのとりえもない中年手前のオッサン(最強伝説黒沢がモデル?)に、突然美女が惚れるなんて…………。

いつものパターンだよ。

「シガテラ」「ヒミズ」「グリーンヒル」…………全部、女性が男に惚れる明確な理由が描かれておりません。

男は犯罪者であったり、ハゲチビデブであったり、いじめられっ子だったり…………つまりは、いいところなし。でも、女が惚れる! しかも、女は、ある程度美人で、さらにグラマー…………。

ねぇーよ、そんなの。
欧米か!BOYS BE…か!


作者の実体験なのか、願望なのか知らんけど、このパターンは良くないね。


皮肉な話だけど、デビュー作である「稲中」の岩下が、ギャグ漫画でありながら、一番人間らしい女性に描かれていたような気がします。

聖女ではなく、彼氏に一途でありながら、浮気性だけれども、彼氏が大好きで、でも性的なことについては、ちょっと臆病。

複雑でありながらも、決して破綻していない少女像(女性像)でした。


でも、それ以降の古谷実の作品に登場する女性は、無責任に聖女過ぎるような…………。


西原理恵子が「パーマネント野ばら」で描ききった、男への圧倒的な不信感の方が、オレには信用できるなぁ…………。

リアルとは違うだろうけど。


他、古谷実の感想。
古谷実「シガテラ (4)」
古谷実「シガテラ (5)」
古谷実「シガテラ (6)」


わにとかげぎす 1 (1)

講談社

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