高知の自然 Nature Column In Kochi

南四国で見かけた蛾をおもに紹介していましたが、現在更新を中止しています。

シンジュサン

2009年09月02日 08時44分06秒 | Weblog
灯火にシンジュサンが飛来した。

シンジュサンはヤママユガ科に含まれとても大型で目立つ色模様をしている。
特徴的な三日月紋、その外側にある薄紫色の帯はとても美しい。

日本では北海道、本州、四国、九州、対馬、琉球列島まで全国に分布していて、本州以西対馬以外亜種と北海道・対馬亜種の2つの亜種に分けられている。

成虫は初夏と盛夏に発生する年2化で蛹越冬する。
幼虫は緑色を帯びた白色で、種名のとおりシンジュをはじめニガキ、キハダ、クヌギ、エゴノキ、クスノキ、ゴンズイ、ナンキンハゼ、ヒマ、カラスザンショウ、クロガネモチ、クルミ、クサギ、エノキ、ナシ、リンゴ、キリなど実に多くの樹木を食べる。

高知県では平地から今回のような標高1000m近い四国中央山地まで広範囲で見つかるが、どちらかというと低山地で出会うことが多い。

全国的に普通種と思われるが、その割に年1頭程度しか出会う機会がない。
場所によりいるところにはたくさんいるのかもしれないが、私にとってはかなり少ない種で、しかもはねが破損していることが多く、野外で完全品を手に入れるのはとても難しい。

以前石垣島に行ったときはシンジュサンがたくさん灯火に飛来して、ここは多いなという印象があった。
石垣島の個体と比べると高知県のものはかなり大型で色彩も色濃く美しい。

(撮影:三好市 2009.8.23)

トラサンドクガ ♂

2009年09月01日 09時32分33秒 | Weblog
雨がぱらつく中、足下を見るとトラサンドクガが灯火に飛来して止まっているのを発見した。
この個体はかなり黒化が進んでおり、前翅だけでなく後翅は大部分が黒っぽくなっていて典型的なトラサンドクガ♂の特徴を示している。

この付近にいることは数年前からわかっていて何回か通ってずっとこれを探し求めていただけにやっと出会えて嬉しさがこみ上げてくる。

トラサンドクガは全国的にまれで静岡県、岡山県、香川県、大分県などレッドデータに指定されている。
本州(伊豆半島以西)、四国、九州、対馬に分布している。

幼虫はクヌギを食べることが知られている。
成虫は草原で昼間飛ぶことが知られているので最初は昼間探したがどうしても見つけられらなかった。
そこで灯火にも飛来することがわかっていたので、草原近くの森林をポイントに決めてこれまでライトトラップを続けていた。
草原でよく見つかるのなら草も食べているのかもしれない。

5月と7~8月に成虫が発見されるというが、年2回と年3回の発生の説がある。
幼虫で越冬するらしいが、まだ詳しい生態はわかっていないようだ。
幼虫や成虫の毒性についても書かれたものは見あたらないが、何だかありそうな気がする。

トラサンというと映画の「寅さん」を連想してしまうがもちろんこれとは全く関係ない。
変わった種名で人名からついたものだろうか、それとも地名なのか?

(撮影:三好市 2009.8.23)