オレンジ色の紫陽花

携帯から軽快に綴るおいらの日々。
…だったのだが、ツイッターのまとめブログに変更。極稀にこっち単独の記事もある、かも。

「ブルータワー」

2008年04月08日 21時42分14秒 | ほぼ、文庫本 2008
ブルータワー/石田衣良/徳間文庫

作者名と表紙で衝動買いした1冊。
帯には
たった一人で殺人ウイルスと闘う
平凡な男の愛と冒険の物語!
…。
裏表紙には著者の言葉として
「(略)『ブルータワー』へようこそ!夢みる力が決して失われる事のない世界へ」
…。
本来ならおいらの食指が動くジャンルではないのですが、そこはそれ、石田衣良だから!

で。
読みました。

ぶっちゃけます。
んー。

面白かったです。←
なんていうかな、こういうジャンルかな、と思ってたようなジャンルではありましたが、そこはほら、石田衣良だから。
SFちっくな話の中にも、ほんのりファンタジックな香りがするっていうね。
石田作品でいうなら「エンジェル」に近い感じ。あれも死んだ人の魂が浮遊してる視点で書かれていて、早い話が幽霊なんだけど、その幽霊が自分を殺した人に復讐したり、自分が殺されたいきさつを明らかにしたり、自分の大切な人を守ったりするような話。
つまり、幽霊の話だからって、こわいだけじゃなくて、復讐の鬼になるだけじゃなくて、この人の話の根底にはしっかりと愛があるよな、と思える話なんだけど、それに近い、と思いました。

このブルータワーの主人公は悪性の脳腫瘍(つまり頭の癌ね)を病んでいて、死期がもうすぐそこまで迫ってきている。頭痛(癌細胞が増殖し、脳を圧迫する時に起こる凄まじい激痛)が起こると、なぜか200年後の世界に精神だけが移動して、絶滅の危機にある200年後の世界を救う。という話。
…あ、ぶっちゃけちゃった…。
まあ、このくらいなら許されるよね。読んでて、この程度の結末は予想できるだろうし。ていうか、救われるか救われないか、のどっちかしかないんだから。
ただし、どういうものから救われるのか、どうやって救うことが出来るのか、そこは書きません。
他にも、いろいろ、現在と200年後とで細かくリンクしてることもいっぱいあって、読みながら何回も前に戻ったりした。えーと、この人って現在の世界では誰だ?とか、どういう関係だ?とかね。伏線、というよりもリンクって感じ。
そこは読みながら楽しんでいただきたい。
さらには、どうやって世界を救うのか、も。
あり終えない!と思ったけど、その反面、いや、でも、この程度のあり得なさだったら、ほんとにどうにかできるのかも…と思える、ギリギリのところかと思われ。

人が生きるってことは、どういうことなんだろう。
人は、なんで生まれてきたんだろう。
人は、いや、
自分は、生きている、この時に、何かを為しえるんだろうか。

てなことを、自問自答したくなる一冊。
(でもおいらはしてません)←←←