オレンジ色の紫陽花

携帯から軽快に綴るおいらの日々。
…だったのだが、ツイッターのまとめブログに変更。極稀にこっち単独の記事もある、かも。

「あかんべえ」(上・下)

2007年09月30日 12時12分16秒 | ほぼ、文庫本
あかんべえ/宮部みゆき/新潮文庫

今年の2月ぐらいに一度読んだけど、最近また読んだ。
どうやら今年は「読書の秋」らしい。
(これがいつ、「食欲の秋」になるのかって?知らん知らん!)

宮部みゆきという人はミステリー作家なんだろうなあ。おいらはそっちは殆ど読まないけど、レベル7だとか、龍は眠るだとか、模倣犯だとか、そういうのってミステリー小説だよね?おいらがタイトルをすらすら言えるってことは、結構なベストセラーだよね?
ああ、あと、ブレイブ・ストーリーだとか、現在毎日新聞の夕刊に連載中の英雄の書だとか、ゲーム(しかも相当やり込まないと終われないやつ)のような小説もあるなあ。
…って書いていくと、すごい、ハズレのない作家だなあ。
でも、おいらにとっちゃ、時代小説作家、なんだな。江戸時代、下町、親分、長屋、人情…、聞くだけで読みたくてうずうずしてくるようなキーワードが満載の上に、妖怪だの物の怪だの、いわゆる「人ではないもの」なんていう上玉(!)が乗っかってみ?そりゃもう読まない方が嘘だ、てなもんで。

彼女の時代小説は、短編集がやはり良い。小気味いいしな。なんちゅうかこう、小股の切れ上がったいい女、みたいな(なんてたとえなんだ)粋な感じがする。
んだけど、本書は上下巻に渡る長編。主人公のおりんに言わせるところの「お化けさん」が出る、出る。彼ら彼女らを成仏させようと、おりんちゃん大活躍の謎解きサスペンス人情時代劇、といったところかな。お化けさんを出しながら、(お化けが人間の成れの果てだからこそ、の)人間模様や人間だからこそ、生きていくからこそ、のどうしようもない業のようなものが書かれていて、長編だけど一気に読みたい。