オレンジ色の紫陽花

携帯から軽快に綴るおいらの日々。
…だったのだが、ツイッターのまとめブログに変更。極稀にこっち単独の記事もある、かも。

喫茶店のカレー

2005年06月10日 23時29分43秒 | 過去ログ
 家から最寄りのJRの駅までは、徒歩で10分ちょっとあります。のんびり歩くと15分くらい、必死で歩くと10分で行ける距離(でもその場合、足を止めるや否や、汗がどっと噴き出ます)。
 その途中、駅まで3分、くらいのところに小さな喫茶店があります。
 入った事はありません。いつも必死で歩いている(往き)か、ぐたー、としてとぼとぼ歩いている(復り)、その途中で横目で眺めて通るだけです。
 見た感じでは二人がけのテーブル席が幾つかとカウンター、多分10人も入れば満員ではないでしょうか。なんていうか、営利目的ではやってないよな、という感じの店(失礼な)。駅前に住んでてちょっと土地もあって、どうせ遊ばせておくんだったら喫茶店でもやろうか、てな具合でやってます、と見えなくも、ない。その店の隣には自宅の1階を事務所にしてます、的な会社が2件あるので、そこの人達が休憩(お昼も含めて)に使っているのかも。あと、反対側の隣は20台くらい入りそうな大きな駐車場になっているので、そっちで収入を得ているんだろうな、とか余計な事を考えてみたり。
 ま、ともかく、どう見ても儲け度外視の、個人経営の、気ままな喫茶店、ていう店なんです。
 そこから毎日、なんとも懐かしい匂いが漂ってきます。
 「喫茶店のカレーライス」の匂い。
 30代後半以上の年代の人には伝わるでしょうか、この言い方。
 今でこそスパイスの一つ一つからこだわったカレーをメインにする、カレー専門店があったり、フランチャイズやチェーン店で全国展開するところもありますが、かつてはそんなのありませんでした。その代わり、といっては何ですが、喫茶店というところでも結構しっかりした食事ができました。軽食メニューにはほぼ確実にカレーライスがありましたし、スパゲティナポリタンかミートソース、サンドイッチ各種(たいてい、ハムサンド、玉子サンド、ミックスサンドの3種)くらいは揃っていました。そういえば当時はファミリーレストラン、というのもここまで普及してなくて(というか、なかったかも)、どこか出先でささっと食事を済ませよう、という時には喫茶店によく行っていたような記憶があります。喫茶店、といってもちょっとした食事処、みたいなものでした。
 ただ、そういうところにはお子様ランチはありませんでしたから、おいらはサンドイッチを母親か妹と一緒に食べていたような気がします(一人前は食べられませんでした)。4つ歳上の兄は父親と同じカレーだのスバゲティだのを食べていて、すっごい大人に見えたのを覚えています。
 なにしろおいら、辛いカレーが駄目で、家のカレーは必ず玉子を落として(割って入れて混ぜること)食べましたので、それが出来ないから外でカレーは食べられなかった。つまり、
外でカレーを食べられる=辛いカレーでも平気=大人!
という図式が頭の中にあったんです。
 そういうところのカレーってわりと水っぽいさらさらしたカレーで、具の割合も少なかったような。言い方は良くないけれど、「やっすい」感じ(こらこら)。で、福神漬け(これがまた、ものの見事に真っ赤)やラッキョウ(ごくごく甘口)がちょぼん、とお皿の端っこに乗っていて。自分が食べられないから、妙にそのどれもがおいしそうに見えました。福神漬けもラッキョウも、家には瓶入りのが常にあったのにね。
 今ではようやく、外で普通にカレーを食べられるようになったおいら。毎日、この「喫茶店のカレー」の匂いに胃と心(懐かしさ)を刺激されながら、仕事場へ、家へと足を進めています。きっと「だー」に話しても同じように懐かしい気持ちになるに違いないので(同学年てこともあって、懐かしさのポイントはよく似ています)、その「喫茶店の」「やっすい」カレーを、いつか食べに行くかもしれません。「だー」に似て辛党な子供も連れて。