おひな祭りのルーツは、宮中の「ひいな遊び」が、庶民に伝わったものと以前ご紹介したが、その祝宴の席には「なれずし」が用いられたとの説があり、現代の
「ちらし寿司」になった起源と呼ぶには、多少の意味合いの変化があったようだ。お寿司のルーツなれずしは、今のお寿司とはまったく違うもので、どちらかと言うと滋賀県が誇る「ふなずし」に近いものだった。
おひな祭りに「ちらし寿司」でお祝いするようになったのは、備前(岡山県)で大洪水があった際、藩主池田光政公の発令した
「一汁一菜令」説が有力で、被災地の一刻も早い復興のため、食生活の質素倹約を提唱したとある。この御ふれは「汁物一品と、副食一品以外を禁止する質素な食事をせよ」と言うもの。この御ふれを掻い潜るためには、魚や野菜をご飯に混ぜ込めば、これはおかずではなく「一菜」とする調理が編み出されたと言う。
これが、おひな祭りに「ちらし寿司」を食べる始まりだとも言われていて、現地岡山では「ばらずし」と呼ばれている。食材の海老には腰が曲がるまで丈夫でと言う願いから
「長寿」、その色彩の赤には
「魔除け」、脱皮を繰り返すことからは
「出世祈願」の意味も含まれている。蓮根は穴から先を見通せるから
「先の見通しがきく」などの語呂合わせと、
「寿をつかさどる」と言うことで「寿司」になった縁起が良いものとの意味があるようだ。
今年も身内で、ささやかながらもお祝いが出来たのは、有り難いことだと噛み締めて、これからの自分の頑張りが
「幸」の一字を作っていくと信じ、精進しなければならないと感慨に浸った。
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