異彩を放て
一昨日,「90分限りの美術館 アールブリュットの世界」という標題で,フィランソロピー(社会貢献活動)をテーマとした,オンラインのZoomセミナーに参加した。なお,「アールブリュット」とは,専門的な美術教育を受けていない人のアートのことを指す。
セミナーの内容は,知的障害者の芸術活動の紹介で,「異彩を放て」をスローガンに運営している(株)ヘラルボニーの副社長,松田文登さんの講演から始まった。
松田さんは,4歳上のお兄さんが知的障害者で,いじめられ差別されることに対し,小学生のころから,「お兄ちゃんだって同じ人間だ」と作文に書いてきた。そして,双子の兄と共同して,障害者がかわいそうだから支援するというのではなく,パートナーとしてその能力を社会的にアウトプットし,正当な報酬を受けることを目的に,会社を立ち上げた。
障害者の絵画を販売するだけでなく,そのアートをアパレルウェアー,生活雑貨,ファッション小物,トートバッグなどに適用して商品化している。そして,東京の銀座に画廊を開き,世界的なブランドと並んでデパートのショーウィンドウの一画を占めるまでになっている。障害者の作品だからではなく,素敵だから買うを目指している。
セミナーの後半は,村林さんという画家の方が主催する障害者施設,「希望の園」での創作活動が紹介された。いくつかの作品が紹介されたが,例えばアイドルと列車が好きな方は,先ずアイドルの顔を描き,その上に列車で輪郭をとって鮮やかな色彩で表現しておられた。彼にしかできない表現である。
数名の方が定刻過ぎも施設に残り,制作に励まれていた。アーティストとしての自立を目指しておられるという。
「障害者には無限の個性があり,普通ではないからこそ無限の可能性を持っている。」ということが語られていた。その通りだと思う。障害者の方々が「異彩」を放って社会から正当に評価され,自立していくことを目指すこうした活動に,わたしは深い感動を覚えた。
ハンドフルート

今週の『おんがく交差点』のゲストは,ハンドフルート奏者の森光弘さんだった。
ハンドフルートは,日本語で言えば手笛である。口笛と指笛は知っているが,ハンドフルートは初めて聴いた。森さんはその創始者である。
お父さんが風呂で,手を組み合わせて作った掌に包まれる空間に息を吹き込んで,梟の鳴きまねをするのを見て興味を持ち,自分もやってみたら,音が出て曲が吹けるので楽しむようになり,認められて演奏活動をするようになったという。ちなみに,お父さんは依然として梟の鳴き声しか出せないそうだ。(わたしもやってみたが,かすれた音しか出なかった。)

写真はいずれもテレビ画面を撮影。
今回は,森さんが音大で知り合ったピアノ奏者で,一緒に”Childhood”として活動している臼田圭介さんも一緒に登場した。Childhoodはメジャーとして国際的にも活躍されているという。
独特の澄んだ音色で,大谷康子さんとのコラボも素敵で,たっぷり癒してもらった。