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羽花山人日記

徒然なるままに

リビングウィル

2023-11-13 19:44:16 | 日記

リビングウィル

一昨日の夜9時から,テレビ朝日で放映されたドラマ,『友情~平尾誠二と山中伸弥 「最後の一年」』を観た。

ドラマそのものは,ラグビー界のレジェンド平尾誠二と,ノーベル賞学者山中伸弥をどう描くか,演出にも演技にも戸惑いが見えて今一だったが,内容は深刻でいろいろ考えさせられた。

平尾は,2015年52歳の時に末期癌の宣告を受ける。医師に余命2~3ヶ月といわれ,ホスピスも選択肢の一つと勧められる。しかし,親友の山中から責任をもって治療方法を探すと言われ,癌に立ち向かう決意をする。化学療法,免疫療法など,山中は治療方法を医師に提言して施術させ,死までの時間を1年間余り延長させるが,平尾は2016年に53歳で死去する。

わたしが問題として考えたのは,山中の言動である。彼は医学博士で分子生物学の分野では権威者であっても,癌に関する専門家でも臨床医でもない。その意味では素人である。確かに,治療方法に関する情報はずぶの素人より手に入れやすいし,より理解できるだろう。だがそのことは彼をして,よりたちの悪い素人にしている可能性もある。

治療にあたっている専門医が,現段階の治療方法では治癒の見込みがないとしているのに,山中が「責任をもって」というのは,見方によっては虚言,妄言の類になりかねない。

効果がなかった免疫治療に,別のタイプの免疫治療を重ねるという,実績のない治療法を「世界初」といって,平尾をその気にさせて実施させるのは,どうだったのだろうか。

52歳という年齢を考えれば,一旦死を受け入れようとした平尾が,山中の激励を受け入れたのは理解できる。山中の言動は,平尾に対する友情から発したものであることを考えれば,あながち非難は出来ないだろう,山中は平尾の死去に際し,故人と遺族に慚愧の念をもって謝罪している。

上に述べたわたしの感慨は,あくまでも第三者だから言えることであって,山中を責めるつもりはない。

しかし,このドラマを通じて。わたしは死に至る病の治療と延命について,自分の身に引きつけて,いろいろ考えさせられた。

先日の大腸の内視鏡検査で,異常が見つからず,除去したポリプも悪性ではなかった。検査を受ける前に,わたしは医師に「これで最後の内視鏡検査にしたい」といった。検査後の説明で,医師は「あと4年は心配いらない。検査を最後とするのはあなたの意志が決めることだが,93歳で内視鏡検査を受けている人もいる」といった。

4年後といえば91歳である。仮にそこまで存命で癌が早期発見されるとしても,顕著な症状が現れるのはそれから数年後であろう。それまで生きているのは更に確率が低くなる,と考えれば,内視鏡検査はこれまでにして差し支えなかろう。

わたしは延命治療を拒否するリビングウィルを作って,カミさんと交換し,子供たちに配っている。この中に書いている延命治療とは,栄養補給や呼吸など,生命維持の基本的なことが自力でできなくなった時に,外からの力でそれを継続させることである。また,それは自分の意思表示ができなくなるか,困難になった場合を想定している。

しかし,死に至る病,例えば癌にかかった時の治療については触れていない。その根治が不可能で,死期を先延ばしにすることしかできない場合には,その治療はリビングウィルで表明した延命治療に相当すると思う。そういった事態に遭遇するとしても,すでに90歳台も半ばに差し掛かることを考えれば,当然わたしはそれを拒否するだろう。

ここまで書いて,自分で可笑しくなった。こんなことを考えていると,腹がいたくなるほど鬼が笑うであろうと。

 

雨上がりの山すそ

松本平から西山を望む(11月7日撮影)

 

STOP WAR!

 

コメント (5)
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