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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



高校サッカー選手権・決勝
鵬翔対京都橘
2013/1/19 東京・国立競技場

「サッカーは、子どもを大人にし、大人を紳士にする」という言葉がある。
大雪で延期になった第91回高校サッカーの決勝戦、鵬翔(宮崎県)対京都橘(京都府)は、大人の、紳士のサッカーが展開され、少年のサッカーで幕を閉じた。

鵬翔、京都橘とも初の大舞台、国立競技場の決勝戦にもかかわらず、実に落ち着いていた。ファウルも少なく、安易なクリアもなく、イージーミスもほとんどない試合展開は、まさに成熟した大人の、そして紳士のサッカーを思わせた。スーパースター的な存在の選手がいないこともあり、両チームの全選手がコレクティブなサッカーに徹していた。その中で、両チームの10番、北村(鵬翔)や小屋松(京都橘)に、高校生らしい「がむしゃらさ」を感じたのは、そのプレースタイルとともに低学年(1、2年生)ということがあったのかもしれない。

試合は、7番主将・仙頭を中心に攻撃を組み立てる京都橘が先行し、鵬翔が追いつくという展開。京都橘は、準々決勝(対帝京長岡)、準決勝(対桐光学園)決勝の3試合を見たが、試合ごとに仙頭のプレーが向上し、その存在感が大きくなっていた。決勝戦でも追加点をとった仙頭だったが、ただ一人PK戦で失敗をしてしまったのは、なんという皮肉だろうか。

一方の鵬翔は、準決勝(対星稜)と決勝の2試合を見たが、そのパフォーマンスの差に驚いた。つまり、決勝戦の鵬翔は、星稜戦からは想像できないほどすばらしいサッカーを披露した。戦術と組織力が見事にまとまり、GKを含む最終ラインから前線までが一体となった攻守がすばらしかった。その攻撃では、ピッチの幅をいっぱいに使い、何度もチャンスを作った。しかし、すばらしい流れを作るも、鵬翔の2つのゴールがセットプレーから生まれたのは、これもまた皮肉だった。

充実した決勝戦は、延長戦でも決着がつかず、PK方式で優勝が決まった。ワールドカップの決勝戦でも採用されている延長、そしてPK方式だが、なんとかして勝ち負けをはっきりさせたいという子どもっぽさが感じられる。
規定の延長戦まで戦って同点だったならば、両チームの優勝でいいではないか。
大会主催者に紳士の心をがあるならば、きっとそうするはずだ。表彰式・閉会式を見ながら、そう思った。

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