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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



高校サッカー選手権大会・準々決勝
(2013/1/5 横浜・ニッパツ三ツ沢球技場)

■第1試合:作陽1対2桐光学園
 交代出場した作陽GKにはあまりに過酷な結末だった。
 1対1の同点。後半の追加時間4分のうち3分が過ぎところで、作陽ベンチが動いた。PK戦に備えて、GKを身長173cmの太田から身長186cmの末藤に交代した。自陣に攻め込まれていて相手のスローインという場面だった。おそらくはラストプレーということで、交代に踏み切ったのだろう。しかし、それが裏目に出た。スローインからの混戦からこぼれたボールを桐光学園の9番野路がゴール左隅に決めた。交代出場した長身GK末藤の長い手でも届かなかった。そして、作陽がキックオフでリスタートしたところで試合終了。
 このGK交代によって、作陽イレブンの気持ちは早くもPK戦に移ってしまっていたのかもしれない。ほんの一瞬、集中が途切れたのかもしれない。最後まで何が起こるかわからないサッカーの怖さを思いしらされた結末だった。
 試合は、前半34分にセットプレーから桐光学園が先制したものの、終始、作陽のペース。パスとドリブルを巧みに組み合わせた攻撃が光った。なかでも、7番平岡のスピードにのったドリブルは観客を魅了し、後半36分の同点ゴールのアシストにつながった。守備では、出足よくセカンドボールを拾い続け、また1対1で相手のボールを奪う技にも優れていた。
 一方の桐光学園で目立ったのが10番松井のパス。守備の時間が長くなる中、いくどとなくワンタッチで決定機を生んだ。しかし、この試合では、最後まで粘り強く守りきったチームの忍耐力を評価すべきだろう。
 試合終了後、作陽ベンチ前で号泣する末藤がいた。しかし、太田も末藤も、まだ2年生。この試合を糧に、互いに切磋琢磨して、来年の選手権に戻ってきてほしい。

■第2試合:帝京長岡1対2京都橘
 これほど前半と後半で、展開が変わる試合もあまりないだろう。三ツ沢での準々決勝第2試合は、前半は京都橘、後半は帝京長岡が支配した。
 前半は、動きの緩慢な帝京長岡に対して、京都橘が、7番仙頭を中心に、1年生、2年生のフォワードが攻撃を仕掛ける。そして、先制は仙頭、追加点を1年生の中野が決めた。
 後半になると、京都橘の足がとまり、帝京長岡の逆襲が始まる。しかし、帝京長岡も後半5分に1点を返すにとどまり、京都橘が準決勝進出を決めた。

■準々決勝2試合を観て
 いい意味でも悪い意味でも、第1試合での終了間際での得点、第2試合の前・後半の波の大きさなど、高校生らしいと言える2試合だった。
 選手個人を見ると、細かな技術は高いように見えたが、きちんと強いボールを蹴ることができる選手がいなかったのが残念だった。ペナルティエリアの外から狙ったシュートは、ほとんどがあたりそこねてゴールの枠から大きく外れ、たまに枠内にとんでも、へなちょこなゆるいボールでGKに簡単にキャッチされていた。
 そして、勝った桐光学園も京都橘も、本当に準決勝進出チームににふさわしい試合をしたのか。作陽や帝京長岡(ただし後半のみ)の印象が強く残った準々決勝だった。
 今年の大会は、準々決勝から準決勝まで1週間の間があく。桐光学園と京都橘には、この間に、コンディションを整えて、国立競技場で、準決勝にふさわしいパフォーマンスを披露してほしいと思う。



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