第136回全英オープンゴルフ
(2007/7/21 テレビ朝日)
タイガー・ウッズの3連覇がかかった、第136回全英オープンゴルフがはじまっている。
ここのところの全英オープンは、ジャック・ニクラウスの引退とターガーのダブル・グランドスラム(2005年)、やタイガーウッズの父親の死を乗り越えた優勝(2006年)など、ドラマチックな話題はあったが、タイガーの強さが際立ち、全英オープンらしいおもしろさを欠いていた。
しかし、今年の舞台は、あのカーヌスティである。先日、ゴルフ好きの友人が、酒を飲みながら、「今年の全英は、あのカーヌスティだよ。あれ、覚えてる?」とたずねてきた。一瞬の間をおいて、「あれ」を思い出した。
8年前の全英オープンの最終日、最終18番ホール。それまで3打差で首位にいたフランス人プレーヤー、ジャン・バンデベルデが、まさにカーヌスティの罠にはまったときのことを。
18番のティショットを隣のホールに打ち込み(しかし、これは結果的に2打目が打ちやすい場所だった)、ギャラリースタンドに当てた2打目は膝の高さほどもあるラフ(ブッシュ)に入ってしまう。そして、続く3打目が、ついに名物バリーバーン(コースを横切っている小川)に入ってしまい、万事休す。水面から少し顔を出しているボールを、そのまま打つかどうか長時間思案したのちアンプレアブルを宣言する。結果、単独首位の座から落ち、優勝を逃したのだ。
目の前のトラブルにどう対処するかを考えるゴルファーの姿を、あれだけの長い時間、テレビのゴルフ中継で見続けたことはなかった。思いもかけなかった夢に手が届こうとしている1人のゴルファーが、夢の直前で、苦悶し、迷う姿は、まさにゴルフの核心を表していたように、今、思う。
そのカーヌスティでの大会は、2日目を終えて、神の子ガルシア(スペイン)が首位。ガルシアのあこがれ、セベ・バレステロスは大会直前に引退を発表した。セベの後継者として優勝トロフィに名を刻みたい気持ちがいちだんと強くなっていることだろう。それを、日本にもなじみの深い崔京周(チェ・キョンジュ・韓国)が追う。もちろん、タイガーの3連覇の可能性も十分ある。
ゴルファーの内面をうかがうことができる、数少ないコースでの大会の後半戦に注目したい。
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