日本からドイツW杯に行った人たちは、大きく3つに分類できるだろう。日本代表を応援するサポーター。W杯を取材・報道するなど、仕事で行った人たち。そして、バカンスでW杯を楽しもうとする人たちだ。
日本代表サポーターにとっては、ちょっとつらい大会だったかもしれない。日本の取材・報道陣にも、とくに後半は、カメラマン席、プレス席の割り当てが思うようならず、厳しい大会だったようだ。しかし、ぼくのようなバカンス(と言えるほど優雅ではないが)でW杯観戦にドイツを訪れた者には、とても素晴らしい大会だった。
ぼくは、6月30日から7月6日までドイツに滞在し、準々決勝2試合(ドイツ対アルゼンチン、イングランド対ポルトガル)と準決勝2試合を見た。
なによりすごしやすい気候がありがたかった。7月6日にミュンヘンで激しい夕立があったが、それ以外は天気に恵まれた。32年前の西ドイツ大会は雨が多かった。ドイツの気象も変わっているのだろうか。長い日中の日差しは強かったが、街にあふれている緑の木陰にはいり、風をうけると、そこは楽園になった。聞くところによれば日本戦が行なわれた頃が特別に暑かったそうだ。最初に着いたベルリンは肌寒いほどだった。
スタジアムも、ぼくが訪れた4つは、どこも素晴らしいものだった。
ベルリンは、1936年ベルリン・オリンピックのときのメイン会場を改修したものだ。石で作られている(と思われる)外壁には歴史の重みがしみこんでいるようだった。スタンドから見上げる、新しくつくられた屋根は日差しを和らげるものの、光をさえぎることはない。陸上競技兼用のスタジアムだが視界は良好だった。
ゲルゼンキルヘンは、開閉式の屋根をもつ近代的なスタジアム。センターサークルの真上に大型映像装置が吊るされている。プレー中のボールがあたることはあるだろうが、観客席と映像の距離は近くて、見やすい。
ドルトムントがもっとも雰囲気のあるスタジアムだった(写真)。4方を壁のような急傾斜のスタンドが取り囲む。今回は前から2列目の席での観戦だったが、いつか最上段からも試合を見たい。まったく違う光景を味わえることだろう。
ミュンヘンの新スタジアムのモダンなデザインについては説明は不要だろう。スタンドは3層につくられていて、どの席からも死角はなく、ピッチに集中できる。特徴的な外観は、ホームのバイエルン・ミュンヘンの試合のときには赤くライトアップされるらしい。この日、フランスの勝利を祝って、赤、青、白にライトアップされた、ということは残念ながら、なかった。
ぼくのドイツW杯観戦は、天気やスタジアムに恵まれたものだった。しかし、それ以上に、ドイツ大会を楽しくすごせた要因があった。それについては、次回その2にて。
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