<スポーツ雑感+ 2019/3/14>
先月の話だが、東京五輪の開会式と閉会式にかかる費用(制作費)の上限額が、91億円(立候補ファイル)から130億円に変更された。報道では、開・閉会式の演出企画の骨子が固まったことで、当初(立候補ファイル)よりも制作費が増えるということだった。制作費が約1.4倍になった背景が気になったので、組織委員会のWEBサイトで公開されている2月15日付の第30回理事会資料を読んでみた。
理事会に諮った資料は、パワーポイント5枚(表紙を含む)の簡単なもの。そこに記載されている「変更の必要性」の要点は、
(1)変更前の上限額は(2011年の)立候補時の金額である
(2)開・閉会式の演出企画に基づき制作費を概算したところ、変更前の上限額の超過が見込まれる
(3)東京、日本らしさを表現する演出案を具現化するために、上限額を増額してほしい
(4)他の大会と比べて低い水準での上限額としたい
(5)準備のためには、現時点で上限額を決めなければならない
となる。
そして、(4)の「他の大会と比べて低い水準」であることを示すデータとして、2012年ロンドン大会160億円、2024年パリ大会148億円、2028年ロサンゼルス大会184億円と東京大会の130億円を比較している。「※いずれも公表済みの金額」と注釈があり、パリとロサンゼルスは立候補ファイルの数字だ。
しかし、ロンドンの金額の根拠が不明だったので、組織委員会に問い合わせみると、「IOCからの情報だろう」というあいまいな回答で、具体的な出所は教えてもらえなかった。さらに、「なぜ2016年リオ大会の金額がないのか」と尋ねると、「リオの金額は把握していない」とのことだった。リオ大会の開会式は、当時、かなり安上がりだったと言われていた。おそらく数十億円なのではないか。だから、比較対象として記載していないのではないか。
当の理事会では、どんな議論がなされたのだろうか。開・閉会式の演出にかかる費用は、組織委員会が自ら集めた金でまかなうので、こんないい加減な理屈と根拠で事業費の増額が決まってしまうのだろう。重箱の隅をつつくようなことと思われるかもしれないが、実は、重箱のいたるところに、同じような話があるような気がしてならない。
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