『斬(ざん)』

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「Life is beautiful」の記事がなぜ「ウェブ進化論」紹介記事として読みやすかったのか

2006年02月27日 | ブログの文章・書き方を考える
 ご本人もビックリでフォロー記事を上げるほど、多くのブログで紹介、感想など書評が書かれている、梅田望夫さんの新書「ウェブ進化論」。オレもその本の紹介記事を斜め読みも含めて、パラパラといくつか読んでいるのですが、その中でも『Life is beautiful』の『Life is beautiful: 「ウェブ進化論」はなぜ「書籍」として出版されなければならなかったのか』が、一番読みやすかったと感じました。そこで、何故、この記事が読みやすかったのかを考えてみました。

 この記事の冒頭には、記事タイトルとはあまり関係ない、著者である梅田さんから本を頂たことから書かれています。そして、その次の段落では、梅田さんと会った時のエピソードを著書と絡めて紹介しています。記事のほぼ1/3を占める内容が、梅田さんとの関わりについて書かれているのです。この辺りが実に上手い。既に「ウェブ進化論」紹介記事は、数多く書かれているため、食傷気味です。読書感想や内容説明などは、何処も似たり寄ったりになりがちです。また長文が多いため、普通に書いては、印象も残らないし、面白みも無い。そこで、著書より著者について、最初に書くことによって、著者に興味がある人の興味を引く内容になっているので、引き込まれるのです。

 次の中盤部分では、タイトルで書かれた内容の核心部分を語っています。が、それはたったの一段落分に過ぎません。しかし、シンプルにまとめられていて分りやすく、それでいて納得できる内容に仕上がっています。この辺り、普通ならダラダラと説明が続く場合が多いのだけれど、それを短く簡潔にすることで、要点がボケないような配慮がなされています。

 その次には「ウェブ進化論」の中で、自分の記事が紹介されてることへの感想。さりげなく自分の記事を宣伝しているのですが、全然いやらしさがなく、読んでみたくなるような書き方。ブロガーとして、書籍に自分の記事が引用されたら嬉しいという、誰もが少しは持っているだろう願望を、この部分では自分に置き換えて考えられるので、羨望と希望の両方を感じることが出来、共感しやすい内容になっています。

 そして最後は、著書に関して自分の経験を含めた、意見を述べて締めています。

 うーむ、構成といい、表現といい、ほんとにいい文章だと言うことがよく分りました。

 今回、改めて分析してみて、結論部分が中段に書かれているのに、最後まで読ませる記事を書くことが出来るという文章テクニックを知りました。今までのオレは、いつも最後に結論を書いて締めていました。それ以外の方法があることに気が付きビックリです。何とか自分もこのテクニックを使いこなしたい。そして、もう一つこの文章で学んだことは、やはりちょっと違う視点と他とは違う手法でのさりげない表現方法。そして、ターゲットとする読者が、どう考えているのか(今回の場合は、ありきたりではない「ウェブ進化論」の話を求めている)を把握した上で、文章を作っていると感じられる点です。

 同じ話題性のある事象での記事でも、汎用なモノにならないような工夫の重要性を実感しました。勉強になりました。ありがとうございます。

[TB:Life is beautiful: 「ウェブ進化論」はなぜ「書籍」として出版されなければならなかったのか]