ららみ先生のピアノのおけいこ

自閉症でも、発達障がいでも、
両手でピアノが弾けるんです♪
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自閉症児 N君のこと⑮ハノン教則本 その2

2016-09-29 | 自閉症児 N君のこと

ノブ君は、ハノンの楽譜を見ながら、ゆっくり弾いていきました。

この頃ノブ君は、
色を付けた音符ならば、初見でも弾けるくらいになっていたのです。

まず、最初の8小節を右手だけ、何度も弾かせました。

ゆっくりゆっくり時間をかけて。。。

 

何回か弾いた後、私はノブ君に
「この曲を好きな人!」と聞いてみました。

すると、ノブ君は右手を挙げて、
小さな声で「あい。」と答えたのです。

最初は、条件反射で「あい。」と言ったのかな~と、
半信半疑でした。

 

それからノブ君のレッスンの時は、
最初にハノン教則を弾くことがお決まりになりました。

ノブ君にハノンを弾かせる一番の目的は【左手の指の神経の分化】ですから、
レッスンの時は、左手をなるべく多く弾かせるようにしました。

そのようなレッスンが続き、
ノブ君の左手も、随分と動くようになってきました。

 

しかし相変わらず、ノブ君は両手で弾く分散和音が苦手です。

勿論、最初の頃に比べたら、随分と上手になってはいるのですが、
やはり、両手で分散和音を弾いていると、イライラしてくるみたいでした。

そんな時には、コチョコチョしたり、手遊びをしたり、
一旦意識を他の事にずらすように心がけました。

 

そんなある日、私はちょっとしたイタズラ心で、
「ノブ君、そんなにイライラするなら、ハノン弾いて。」と、
もう一度ハノン教則本を広げました。

すると、ノブ君は落ち着いたお顔で、ハノンを弾き始めたのです。

ノブ君は本当に、ハノンの練習曲を弾くのが好きなんだな~と
改めて思いました。

単純な音型の繰り返しが、自閉症のN君には心地よいのかもしれません。

お母様にうかがったら、お家でも、好んで弾いているとのことでした。

ノブ君の頭の中を垣間見たような、そんな貴重な体験でした。

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