【花火】
花火は、とても綺麗です。
前に見た記憶は、
去年のようでもあるし、
ずっと過去のことのようにも
感じます。
花火は、一瞬の芸術です。
どうして記憶にしか
とどめておけないものを、
昔の人は伝承したのでしょう。
他のものでは、代用できないものが
あります。
違う時代に生きても、
同じものを見られることは
幸せです。
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これは、自閉症の作家 東田直樹さんが、
8月15日のご自身のブログに発表されたエッセイです。
確かに、昔の人にとって、
花火の美しさは、記憶にしかとどめておけないものでした。
改めて考えてみますと、記憶にしかとどめておけないものは、沢山あります。
私の場合は、日々の練習の音、鍵盤の感触、生徒さん達とのたわいの無いお喋り、
そして、毎日いただく料理の味や香り。。。
日々の中で、流されてしまうこれらの記憶は、だからこそ愛おしいものです。
私の記憶にある幼い時の花火も、記憶そのものが愛おしく、
掛け替えの無い思い出になっています。
きっと、何気ない今日の日さえ、
何年か経ったら、大切な思い出のひとつになっているのでしょう。
戻りたいと思っても、戻れない時の流れ。。。
前を向いて生きて行かなければならない私達は、
時折、そんな大切な記憶を思い出し、深呼吸してみるのです。
夏の夜の、儚くも華やかな花火に思いを馳せて、
そんなことを考えた晩夏の午後です。
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2時間