ソムタムのリーガルマインド涵養の旅

中央大学法学部通信教育課程で学ぶソムタムの日記

卒業論文は苦悶式

2007-05-29 20:38:22 | 卒業論文
卒業論文作成指導会の第2回提出締め切りを6月8日に控え、
卒論の作成に四苦八苦しております。

とにかく卒論指導会に参加するためということで、無理やりにでっち上げたペーパーを提出した3月末のことを反省し、今回はしっかりと議論を積み上げたものを提出しようと張り切っておりました。

4月以降、少しずつ時間を見つけては検索してきた専門書を読んだり、芋づる式に見つかる論文をコピーしては読んだりしておりました。

目を通した専門書も10冊以上になりました。そうこうしていると、
自分の中では、関心のある分野について、ハハア!そういうことだったのか!
結局、ドイツとかフランスとかで発展した学説やら判例やらのアイデアを日本に持ち込んだ議論がされているんだなあ!
とか、少し分かったような気にもなりました。

分かったような気になったので、卒論のアウトラインにどんどん手を入れて、
全部で8章の構成を作りました。アウトラインだけで3000字になり、
自分では9割がたは出来たような気がしていました。

もう時間が無いので文献読み込み作業は中断し、昨日から、アウトラインを文章に肉付けする作業に入りました。

そうすると!!

自分でも意外なほどに、文章が書けずに苦悶することとなりました。とにかく文章が書けない。ただ単に参考とした専門書の記述がコピーできるというだけで、自分の文章が全く書けないという現実に直面し、苦悶しています。

さらに、実際のパラグラフで書いていくと、アウトラインの時には思いつかなかった論理の穴や矛盾、大雑把な論理展開があることに気づかされます。

わずか1~2つの事例をもって一般化した議論をしていたり、それぞれの法的な背景を分析することなく異なる2つの裁判例を比較して単純に評価していたり、、。

これらについても、参考とした専門書では十数ページを割いて検討されていたものであり、それを読んでいるときには納得出来るんですよね。でも、その結果を自分の卒業論文に持ち込むと、字数の制限が厳しいこともあって、大まかな紹介ができるのみ、っていう感じで、すごく乱暴な議論になってしまう。

アウトラインの段階ではまだいいのですけど、実際に文章を肉付けしていくと、
まだまだ自分の勉強が不足していることがまざまざと実感されますし、
相当絞り込んだつもりでも、まだまだテーマとして取り上げようとしてる課題が広すぎることを痛感します。

少しでも記述を進めようと机に向かい、卒論レポートを書こうとしても、
なかなか前進できず苦悶式。

さてさて、6月8日事務局必着の第2回卒論レポート。
果たして、完成するのでしょうか??? 結果は、当ブログにて!


法の精神に恵まれた男、茂手須久

2007-05-29 06:43:00 | その他
この記事に紹介されている人物は、茂手須久(もてすきゅう)氏、中堅商社に勤めながら、中央大学法学部の学生でもある25歳。4年制大学を卒業後、今の会社に就職。が、「法を知り、社会を法で読み解く」力の重要性に気づき、改めて通信教育課程に入学。仕事と社会に役立つ「法パワー」とぐいぐい吸収中なのだ、というキャプションがついています。

もちろん架空の人物ですが、彼こそは私が中央大学通教に入学したきっかけとなった人物なのです!

この記事は、首都圏で配布されているフリーペーパーである”R25”という雑誌に掲載された広告でした。社会人X大学生のWネーム!学んだ法を仕事に生かすのだ!というキャッチコピーが目についたので記事を読んでみたのでした。

そうすると、商社に勤務しながら中央大学で法を学ぶ茂手須久は、何だか調子がいいみたいなんです。同期の野間くんの証言によると、「社長直々にインド系IT企業との契約に呼ばれてましたよ。すごく仕事をしてるから、とても大学に行っているようには見えません」、、、、行ってはいない。通信教育だ。「いいなあ、仕事にも役立つし、モテてるみたいだし」(野間くん)

先輩OLキャサリン嬢の証言。「女の子みんな言ってます。茂手須くん、かなりイイって。アタシがお部屋を借りるときも不動産屋さんに毅然とした態度で、、」
不動産業・丼谷氏も「しっかり契約書を読む青年だった」と絶賛。
これにはイラストがついていて、「それは、同僚OLちゃんのお部屋の賃貸契約のときだった。契約書に目を通した茂手須は、ハンを押そうとする彼女をとどめた。ここを見ろ!敷金が1万円しかもどらないぞ!。かくして彼の法パワーと毅然とした態度は女子たちの間で語り継がれた。」

なるほど、なるほど。中大通教で学ぶと、仕事もはかどり、モテ街道を歩むことができるという、、。それでは早速、入学せねばなるまいと、入学したのでした。

あれから2年。法パワーは少しは身につきましたが、仕事はともかくとして、モテ街道の方は全くチカラを発揮できてないことだけは、間違いないようで_(^^;)ゞ

中央大学通信教育2周年

2007-05-23 20:53:31 | その他
私は通教の入学申込をしたのが結構遅くて、2年前の5月20日付けで入学許可をしてもらい、その入学許可証が届いたのが、ちょうど2年前の今日だったと思います。

思えば、あっという間の2年間だったなあと思います。

そもそも、大学に通信教育という制度があることじたい、全く知らなかったソムタムですが、とあるキッカケで中央大学法学部が通信教育を行っていることを知り、とても興味をもったので思い切って始めることにしました。

勉強を始めてみると、いろんな知識が身につくことが面白くて、楽しく勉強してきた2年間でした。ソムタムは、もともとが理系人間だったので、こういう文系の勉強はとても興味がありました。

学んでみてつくづく思うのは、法律学というのは社会のあり方を決めていく、まさにその中心的な存在なんだなあということです。社会の基本的なルールを定めている法律学のことを全く知らずに、これまで良く生活してきたなあという感じです。

この2年間で法律専門科目の単位も56単位ほど取得しましたので、ある程度、法律学の概要が私なりにつかめるようになってきました。

そうすると、毎朝の新聞を読むときにも、テレビのニュースを聞くときにも、社会で起こる様々なことがらについて、このことの憲法学的な背景はこうだなとか、
この悲惨な事件についてテレビのコメンテーターはいいかげんなこと言ってるけど、刑法学上はこんな見方があるのになとか、一歩踏み込んで理解できるようになったことは、2年前の私では想像もできないことであり、これまで頑張って学びを続けてきて本当に良かったな、と思います。

2年前に入学許可証と学生証が届き、さあやるぞ!と内田貴先生の民法の教科書を読み始めたときの気持ちがよみがえります。初めての夏スクで民法1と民法2の合計8単位をとったとき、これは結構大変なことを始めたなあ、卒業要件である80単位(3年次編入のソムタムの場合)も取るまでには相当時間がかかるなあ、と思ったときの気持ちも思い返しているところです。

まだまだ卒業まで単位も修得しないといけませんし、卒論も第2回卒論指導会の締め切りである6月8日までに頑張って卒論レポを仕上げないといけませんが、丁度2周年を迎えた今日、改めて頑張ろうと思うのでした☆

民事訴訟法オンデマンド受講報告書提出

2007-05-22 23:18:13 | 民事訴訟法・執行保全法
科目試験も終わったことだし、そろそろ民事訴訟法のオンデマンド授業の方もしっかりやろう週間ということで、受講報告書を提出しました。

これはオンデマンド授業の修了要件となっており、これを期限までに提出しないと受講と認められません。

といっても、これまで憲法、行政法1、労働法1、刑法2とオンデマンド授業を受講してきた経験から言えば、この受講報告書はレポートに比べてはるかに楽な課題です。求められている字数もだいたい1000字程度です。
でも、それでは収まらないような課題が出されるので、ソムタムはこれまで1500字くらい書いて出してましたけど、OKでした。

さて、民事訴訟法オンデマンドの課題ですけど、訴えの開始から終了まで民事訴訟の流れを説明せよ、というもの。これ、本気で書こうとすると本一冊分になるという課題です、、、。

これをいかに煮しめてエッセンスにするか?という問題がありますが、私は、民事裁判における私的自治の原則を背景とする各種の原理、すなわち処分権主義、弁論主義、証明責任等に配慮しながら書きました。

提出して驚いたのは (◎-◎;)!!

ナンと! 今日の22時ころにオンラインで提出したのですが、それから1時間後の23時過ぎにインストの先生からメールが入り、「合格です。再提出の必要はありません」ということでした!えええ!

受講報告書が合格したのは嬉しいけど、反応早すぎ!!!
驚きましたよ。
(今、メールの発信時間を見たら22時29分。ということは、提出後、
30分以内に返信ということですね!)

こういうレスポンスの速さはさすが中大オンデマンド授業です。

あとは、まだ残っているチェックポイントをやらなくては、、、_(^^;)ゞ



はしかの流行

2007-05-21 20:26:30 | その他
はしかが流行しているみたいですね。

中央大学でも、20日から多摩キャンパスは全面休講になったとのこと。

19日の科目試験の会場において、試験前のひととき、中大から出張してこられた試験監督の方が、「そう言えばねえ、、」と受験生に話しかけてきて、お話を聞くと、中大でもはしかに罹患した学生が十数人もいるのだとか。

「昔はきちんと予防接種をしていたのに、今の学生はそういう予防接種をしてないから、かかりやすいんだよねえ、私(50代とおぼしき試験官)のころは、きちんと予防接種してたんだけどね」という話とか、

とりあえず、今週1週間を全面休講措置にしたということですが、
その影響で、様々な授業やセミナー等を延期したりしなくてはならず、
その結果として、通教のスクに向けた教室の確保なんかにも影響がでるかも?
という話を聞きました。

確かに、かなりの数の授業やら催しやらが中止、延期されているので、
短スクや夏スクのスケジュールと調整が必要になってくるものもあるかもしれませんね。出席要件については、文部科学省がうるさいらしく、きちんと補講をしないとだめらしいです。

通教のスクなんかで出席要件が厳しいのも、同様の理由らしいですね。

と、一通り雑談をしているなと思ったら時計を見て、じゃ、試験、はじめますか?って、おいおい、気がついたらもう試験開始時間じゃないですか!

ま、受験生を落ち着かせようというご配慮だったのかもしれませんが、
ま、いいか_(^^;)ゞ


科目試験に行ってきました

2007-05-20 16:28:06 | 科目試験
19日の科目試験、朝早く起きて受験してきました。
果たして結果はどうでしょうか (o゜▽゜)o♪

まず1時限目の外国法概論1。
お題はずばり、1966年の貴族院Practice Statementについて。
これは準備しておいたので、とにかく一生懸命書きました♪

次に2時限目の外国法研究1。
お題は、「日本が混合法体系と呼ばれる意味について」と、
「多数決原理によって運営される代議制民主主義のもとで、少数のエリート支配とも言える違憲審査制度が存在する理由について考察せよ」のどちらかを選択して回答せよ、というもの。

私は違憲審査で準備してたので、そっちを選択しました。
これはレポ課題とも共通する内容なので、そのときの指導なんかも思い出しつつ、書きました。
そのとき、慶應SFCの阿川先生の授業なんかも思い出し、確かに定年も無く、たった9名しかいないアメリカ連邦最高裁に対する少数者支配の批判もあること、でも、黒人の権利、労働者の権利、女性の権利などマイノリティの権利が違憲審査を通じて発展してきたのも事実であり、多数決が必ずしも憲法理念の実現に結びつくわけではないことなんかを思い出して書きました。

そして最後に4時限目の債権各論。出題は、激しくヤマが外れて、なんと
解約手付けと違約手付けの異同が出されました(◎-◎;)!!
手付けは過去問でもあまり出題されてなかったので驚き。
私が調べた範囲では、2002年の5月試験以来、5年ぶりの出題です。

これは全くノーマーク。せっせと瑕疵担保を勉強したのは一体、、、、

しかし!! その日の私は何と言っても中大レンジャー(複数形)によって守護されていたのでした!

というのも、試験前にレストランでお昼ご飯(海鮮丼とうどんセット)を食べていたのですが、何気なく試験準備のために持参した「分析と展開:民法II(債権)」を取り出して、瑕疵担保の部分を確認しようと思ったんですね。この本は瑕疵担保に関する学説の違いが分かりやすく書いてあるんです(内田本は契約責任説に偏りすぎて答案に書きにくい)。

そうしたら、その前のところに手付けに関する解説部分があったので、「そう言えば手付けも試験範囲だったな。全く勉強してないから、食事しながら眺めてみるか」と読んでおいたのが良かった!!内容的にも違約手付けの授受があったとき、解約手付けを交付して契約を解除できるかという解説でしたので、試験に役立ちました...φ( ̄▽ ̄*)

ということなので合否は分かりませんが、とにかく空振りだけは避けることができました。ほんとにこれは偶然にも近いもので、やっぱり中大レンジャーの守護神パワーは本物だ!




科目試験に行ってきます

2007-05-19 06:04:31 | 科目試験
今日は、5月科目試験を受けに隣の県まで行ってきます。

本日、受験する科目は、外国法概論、外国法研究そして債権各論の3科目。

卒論のための文献読み込みと並行して勉強しているので、どうも時間が不足気味です。ま、そうはいっても今回失敗しても、また7月科目試験のチャンスがあるさ!という気持ちで気楽に行きたいと思います。

勉強時間が限られるので、思い切ってヤマをかけてみました。
秘術ソムタムのヤマかけですが、ズバリ!

外国法概論:1966年の貴族院声明
外国法研究:アメリカの違憲立法審査制度
債権各論:瑕疵担保と錯誤

さてさて、、、どうなりますか!楽しみですねえ。

じゃ、そういうことなので、行ってきま~す!

中大レンジャー2号発見!

2007-05-15 19:15:00 | その他
先日、中央大学生協に立ち寄る機会があり、何となく見てたら、

ナンと!我らが中大レンジャーに第2号が登場してました(◎-◎;)!!

中大レンジャーと言えば、昨年の夏スクでsuzuka隊長が発見して以来、
一部の通教生の間で圧倒的な人気を誇り、ついにはファミマの受験戦隊にまで
その人気が飛び火したという伝説の存在。

この中大レンジャーを身に付けて試験に臨むと、運がよければヤマがあたり、
見事合格するというご利益があるという。

そんな伝説の中大レンジャーですが、「一人では中央戦隊とは呼べないのではないか」という立場(複数必要説)からの批判も当時からは認識されていたところです。
「いやいや、一人でも戦隊は成立しうる」という立場(単独成立説)も少数説ながら主張されていました。
さらには、「一人でも二人でも、戦隊としての実質を備えていれば成立しうる」という立場(折衷説)まで展開されました。
折衷説に対しては、”戦隊としての実質”の判断基準があいまいであるとの批判もなされ、学説はやや混乱していたのででありますが、やっぱ一人じゃ何だよねえ、というのが通説・判例の立場でありました。

そうしたら、遂に発売されましたよ、レンジャー第2号が!
(っていうか、私が発見したのがこの前だっただけ、、)

この新たなレンジャー。濃紺を基調とした渋いカラーを身にまとい、
バイザーもサングラスタイプで精悍な感じを醸し出しています。
ヘルメットの中央大学の校章、胸の中央大学の文字、ベルトバックルのCマークは、初代レンジャーとほぼ同様ながら、何だか不敵な感じです。

キャッチコピーも、「いい奴なのか、それとも悪者か?その姿は謎に包まれている」ということで、何が謎なのか良く分かりませんが、初代と二人並べると面白い。

いずれにせよ、これで我が中央戦隊もパワーアップということで、今週末の科目試験には、レンジャー達も連れて行き、一緒に頑張りたいと思います!

卒論指導会第1回返却!

2007-05-12 22:28:33 | 卒業論文
ここ数日、仕事の方が結構忙しく、あちこち出張に行ったりで大変です。
勉強もほとんど出来てないので、来週末の科目試験については、
まあ、肝試しのつもりで受験するか?という感じです。

さてさて。卒業論文作成指導会(第1回)レポートですが、配達されました!
何だか、大きなレポートが配達された!という感じです。

どれどれ。卒論レポは自分が用意して同封したA4が直接入る大きさの封筒で返却されます。開封するときの気持ちは、レポートと同様な感じでしょうか。
でもまだ、合格、不合格という感じではないので、どんなコメントだろ?
という関心の方が高いかも。

中には、提出した第1回卒論レポと緑色したA4サイズの指導票がついてました。この指導票に担当のインストラクターの先生がコメントを記入する様式なのですが、私の卒論指導を担当してくださる先生は、別紙にワープロで指導してくださいました。分量は、ワープロA4一枚程度。

指導的には、まだまだ私が個別の案件で事例研究したいのか、もう少し全体の動きをまとめたいのかが分からないとの指摘がありました。私の関心がはっきりしないけれども、例えて言えばこういう論点があるのではないか、という具体的な事項の例示を4つほど頂きました。

そう、そうなんすけど、その検討は難しいから飛ばしたんです、、_(^^;)ゞ

正直に言って第1回レポは、卒論作成指導会参加の締め切りに間に合わせるためにいいかげんに提出したもの、、。構成を一からやり直さなくてはなりません。
そんないいかげんなレポートでしたが、先生はいろいろと見てくださいました。

さらに、参考文献の記入方法として参考になるサイトの紹介、
この本は是非読んでみたらという本を一冊紹介していただきました。

この担当インストラクターの先生、お名前をネットで調べてみたら、
中大出身で現在は某大学の准教授をされている研究者の方でした。

そのご専門を見ると、まさに私の関心分野にドンぴしゃり。
これから11月まで、とにかく自分なりに頑張ってみようと思いました。

でも。冷静に事務局からの指示事項を見てみると、第2回卒論レポートの提出期限は、6月4日(月)~6月8日(金)必着とあり、わざわざアンダーラインまでしてあります_(^^;)ゞ

これは結構、厳しいかも。一から内容を見直し中のソムタムとしては、
第2回提出までに、どこまで内容を向上させることができるのか??

まさに濃密な作業が求められているのですが、ある意味、これだけ次々に迫り来る締切りを意識しながら作業した方が、本来、怠け者の私にはいいのかもしれません。

第1回レポート提出して以来、自分なりに参考文献を読み、論文も少しずつ集めてきました。それは、今回頂いた指導とは、また別の方向に行っていたのですが、とりあえず自分の関心に素直に従いつつ、先生の指摘も考慮に入れて、第2回レポに挑戦したいと思います。

まだまだ時間はありますからね。頑張ろう!


阿川教授にアメリカ憲法史を学ぶ

2007-05-09 07:25:11 | 外国法
え~、卒論やら科目試験対策に忙しく、皆様から暖かくご心配頂いたりしているのですが、前にも書いた慶應SFCのインターネット授業を見るのが朝の習慣になりました。

最近集中的に見ているのが、阿川尚之教授のアメリカ憲法史の授業。
http://gc.sfc.keio.ac.jp/cgi/class/class_top.cgi?2006_14411

2006年春学期収録分の国際比較法制論Aというタイトルの授業なのですが、これがとても興味深いのです。阿川先生といえば、中大通教の外国法研究でも課題図書となっている憲法で読むアメリカ史の著者でもあります。その阿川先生が直接講義で解説して下さるのですから、勉強になります。

現役バリバリの教授ですから、講義の内容が多角的で面白い。例えば連邦と州との関係で、アメリカはもともと独立した国であった州がその権限の一部を連邦に限定的に差し出して合衆国が出来ているのだから、アメリカの地方分権というのは連邦から州に権限を返してもらうんだということなんですけど、その話を小泉元総理にしたら、”日本と同じようなもんだろう”との発言がありガックリした話とか。

その話とも関連して、アメリカでは連邦のチカラと州のチカラでどっちを重んじるかで考え方が分かれるのですが、南北戦争もそのこととの関係で見る必要があるという視点も提供されます。単に奴隷制をめぐって戦争したわけではないんですね。
すなわち、南部側は、州間の契約で合衆国が成立したんだけど、北部側が契約違反をしたので、契約遵守義務が消滅した、だから連邦を離脱したのは合憲で新しい連邦(南部連合)を成立させただけなんだ、そこを北軍が攻撃してきたから祖国防衛しただけなんだということになります。
これに対して、北部側からは、人民(people)が合衆国を創設したのであって、単なる州間契約ではない、だから南部の連邦離脱は違憲であって反乱である、よって連邦はこれを鎮圧する必要がある、ということになります。

結果はご存知のように北軍が勝利するわけですが、ここで出てくるのがあの有名なリンカーン大統領によるゲティスバーグ演説です。人民の人民による人民のための政府。この演説は、連邦政府の権限は人民から授権されたのであって、州間契約によってのみ成立したものではない、という連邦派の主張が南部派の主張を抑えたという視点から理解して、はじめてその全体的な意義が理解できるのですね。

その他にも、アメリカで違憲審査制を確立したマーベリー対マディソン判決の意義、デュープロセス条項の持つ意味、州際通商条項が果たしてきた役割なんかについても丁寧に講義されていて興味が尽きません。

もっともSFCでの講義なので法学部生を対象としたものではなく、マーベリー対マディソン事件判決でも、マーシャル判事の判決理由の分析などはありません。またひとコマの講義が90分ですから即効性はなく、試験準備には向かないと思います。あくまでも、外国法研究の一環としてアメリカ憲法史を学びたいなという人にお勧めのコンテンツだと思います。

それから、生講義を直接録画しているので、課題が出されたり、出席票の回収があったり、補講のお知らせがされたりと、とてもリアルに大学の授業を感じることができるので、それもお勧め。

でも慶應の学生は真面目だなあ、、、みんなきちんと授業に出席してるし、寝てる学生なんかいないような(気がします)。