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読書感想とロードバイク日記2

週末のお天気の日にロードで走っています。晴耕雨読ならぬ、晴れたらバイク、雨の日は読書の日々

「2016年の週刊文春」

2021年07月13日 | 日記
柳澤  (光文社)

こういう人物中心のノンフィクションは、人間の一面しか書かれないかも知れないが、物語として成立していて面白い。
文藝春秋のという会社の成り立ちからその考え方が描かれていて、失敗もあるけど一貫して流れている思想や信条に共感を覚える。
確かに読者の高齢化は否めないけど、このデジタル社会をコンテンツで乗り切ろうとする努力は買えるね。

内容紹介は(出版社より)
『花田紀凱と新谷学。
ふたりの名編集長を軸に昭和、平和、令和の週刊誌とスクープの現場を描く痛快無比のノンフィクション
いま、日本で最も恐れられる雑誌と、愚直な男たちの物語。
目次
序 章 編集長への処分
第一章 会えば元気になる男
第二章 週刊誌記者
第三章 疑惑の銃弾
第四章 花田週刊
第五章 マルコポーロ事件
第六章 殺しの軍団
第七章 二〇一六年の『週刊文春』
最終章 文春オンライン

あとがきにかえて――二〇二〇年の『週刊文春』

著者プロフィール◎
柳澤健
(やなぎさわ・たけし)
1960年東京都生まれ。ノンフィクションライター。
慶應義塾大学法学部卒業後、空調機メーカーを経て株式会社文藝春秋に入社。花田紀凱編集長体制の『週刊文春』や設楽敦生編集長体制の『スポーツ・グラフィック ナンバー』編集部などに在籍し、2003年に独立。
2007年刊行のデビュー作『1976年のアントニオ猪木』は高い評価を得た。主な著書に『1985年のクラッシュ・ギャルズ』『日本レスリングの物語』『1964年のジャイアント馬場』『1984年のUWF』『1974年のサマークリスマス 林美雄とパックインミュージックの時代』がある。   』

以下は、共感したネットでの論評です。
『テーマは「週刊文春」。
特にここ数年ほどは、「文春砲」などと言われ、芸能人の不倫のニュースなどでその名前を聞くことが多い雑誌です…。
けれども、この本を読むと、そういった芸能ニュースがごくごく一部であることがよくわかります。歴史的にも、文藝春秋という会社は、田中角栄を失脚に追い込んだり、凄惨な少年犯罪をあえて実名で報道したり、カルト宗教団体をしつこく取材したりと非常に「社会性」のある報道を行ってきました。

本書では、花田紀凱さんと新谷学さんという二人の編集長を中心として「週刊文春」の歴史が描かれていますが、読んでみるとそれ以外の現場の記者たちの奮闘にも心動かされます。

このようにしてスクープを掴んでいるのか、現場の記者はここまで必死に事件を追いかけているのか。
横山秀夫の『クライマーズ・ハイ』など、報道の現場を舞台にした小説が好きな方におすすめできる一冊です。

事実は小説より熱い!
分厚い本ですが一気に読むことができます。
とにかく面白い。オススメです!      』

・・・それにしても、相当無茶な経費のかけ方や使い方がちらほらしているが、そうでもしてスクープを追いかける執念はすごい。お金をかけなければ良い仕事はできないだろう。どのような会社や役所でも同じこと。予算をケチっては何もできない。
・・・本当に、報道の世界をかいま見えるし、この世界に感心のある方には是非、お勧めの本です。😊 

「鳴かずのカッコウ」

2021年07月05日 | 日記
手嶋龍一(小学館)

手嶋さんって作家だったのですね。
テーマは国際政治だったりしますが、元NHKの方とは思えぬ健筆ぶりである。

内容紹介は
『インテリジェンス後進国ニッポンに突如降臨
公安調査庁は、警察や防衛省の情報機関と比べて、ヒトもカネも乏しく、武器すら持たない。そんな最小で最弱の組織に入庁してしまったマンガオタク青年の梶壮太は、戸惑いながらもインテリジェンスの世界に誘われていく。
ある日のジョギング中、ふと目にした看板から中国・北朝鮮・ウクライナの組織が入り乱れた国際諜報戦線に足を踏み入れることに――。

<初対面の相手に堂々と身分を名乗れず、所属する組織名を記した名刺も切れない――。公安調査官となって何より戸惑ったのはこのことだった>――『ウルトラ・ダラー』『スギハラ・サバイバル』に続く著者11年振りの新作小説。

〈 目次をみる 〉プロローグ
第一章 ジェームス山
第二章 蜘蛛の巣
第三章 千三ツ屋永辰
第四章 偽装開始
第五章 彷徨える空母
第六章 守護聖人
第七章 「鍛冶屋」作戦
第八章 諜報界の仮面劇
エピローグ            

作者紹介
手嶋龍一(てしま・りゅういち)
作家・外交ジャーナリスト。NHKワシントン支局長として2001年の9・11テロに遭遇し、11日間の24時間連続中継を担当。独立後に上梓したインテリジェンス小説『ウルトラ・ダラー』、続編の『スギハラ・サバイバル』がベストセラーに。『汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師』『ブラック・スワン降臨』などノンフィクション作品も多数発表。    』

・・・結構複雑な展開で誰がどうつながっていくのか、はてまた、裏の裏だったり、諜報の世界の常識かも知れないが、話は面白い。しかし小説的には多分、細部の書き込みが浅くて。。。何となく物足りない。
・・・分野としては面白いし、日本はこの世界はどうなっているのでしょうか? 米中の狭間で役立たずの我が国情報組織でしょうか。困ったですね。😏 

オペラ「カルメン」

2021年07月05日 | 日記
令和3年7月3日(土)
新国立劇場
作曲:ジョルジュ・ビゼー
演出:アレックス・オリエ
美術:アルフォンス・フローレス

劇場の解説は
『自由に恋し、情熱に生きる。魔性の女に魅せられた男の運命
世界中で人気オペラの筆頭に挙がる『カルメン』。活気あふれる前奏曲、カルメンの登場で歌われる「ハバネラ」、ホセを誘惑する「セギディーリャ」、フラメンコを踊りながら歌われるスペクタクルな「ジプシーの歌」、華やかな「闘牛士の歌」など誰しもおなじみの名曲にのせ、自由奔放な女カルメンと一途な男ドン・ホセによる愛と死の運命のドラマが繰り広げられます。
今回の新制作ではスペイン・バルセロナ出身の演出家アレックス・オリエに演出を依頼、オリエならではの読み込みと舞台展開による新演出『カルメン』を世界へ発信します。オリエの音楽的感性、大胆な発想と求心力、そしてダイナミックな空間演出は、19年に新制作し国内各地で上演された『トゥーランドット』で、日本でも証明済み。国内外の注目が集まることは必至です。
指揮には大野和士オペラ芸術監督があたり、オリエとタッグを組んで、劇場を情熱の渦に巻き込みます。カルメン役には演技力に定評のあるフランスのメゾ、ドゥストラック、ホセには新国立劇場にも常連の村上敏明があたります。』

以下はSPICEからの引用です。く | SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイス (eplus.jp)

『新国立劇場の新制作オペラ《カルメン》が開幕~現代のスター歌手の人生を描
《カルメン》は極めて現代的なテーマを扱ったオペラである。よくあるギリシャ神話の神々の世界や、王侯貴族が登場する歴史的なストーリーとは違い、19世紀フランスの作家ゾラに代表される自然主義文学の流れを汲んだ、市井の、もしくは底辺の暮らしを舞台にした物語である。そこに登場するのは私たちと似たような問題を持って生きる人々なのだ。
オリエはカルメンを現代のショービジネスに生きる歌手にした。イギリス出身のヴォーカリストで、ドラッグなどが原因で若くして命を落としたエイミー・ワインハウスをモデルにし、「力、喜び、勇気、反骨心、自由の象徴」としてのカルメンを描こうとする。
具体的な設定としては、カルメンは(一応、スペインの)ヴォーカリスト。日本でコンサートをおこなっているが、舞台裏ではカルメンに近い何人かのメンバーが麻薬の取引などで危ない橋を渡っている。ドン・ホセは大規模コンサートの警備をする警察官を束ねるキャリア。そしてカルメンたちの滞在中に開催されている〈スペイン週間〉で闘牛のガラ公演があり、闘牛士エスカミーリョはそこに招かれて来日している。カルメンの性格や物語が、ビジュアルを借りたワインハウスに重なるわけではないし、日本という設定も固定のものではなく、重要なのはカルメンが、さまざまな男女の愛と欲が渦巻くショービジネスの世界に生きる女性だ、ということだ。
まず私たちが目にするのは、舞台前面いっぱいに広がる鉄パイプの構造物だ。そこは大規模コンサート会場の舞台裏である。前奏曲が演奏されている間に、カルメンがタバコを吸おうとしてドン・ホセに火を借りる場面が演じられる。二人はコンサートが始まる前にこうして出会っているのだ。鉄パイプが上がると、舞台の上では、警官たち、(別演目に出演するため、もしくは見学のために集まっているらしい)子どもたち、通りかかるスターにサインをねだる娘たち、などが行き来する。やがてライヴが始まり、皆はカルメンの出番を待ち構えている。歓声に迎えられて登場する彼女が舞台奥のスクリーンに大写しになる。セクシーなハバネラを歌うカルメン。ファンたちはスマホで彼女を撮影しながら音楽に陶酔する。やがてカルメンは彼女のトレードマークである赤い大きな薔薇をホセに投げる……。
こうして語られる現代のカルメンの物語は、細かいところでは台本に沿わない部分があるかもしれないが、男たちを惹きつけるカルメンの魅力、純朴なホセと彼の故郷からやってきたミカエラ、興行の世界の怪しい人々など、確かに、ビゼーの《カルメン》の世界に描かれている要素を反映している。アルフォンス・フローレスによる舞台の高さをいっぱいに使った美術はリアルで精密、マルコ・フィリベックの第一幕のステージの照明を含んだライティングも洗練されており、終幕のがらんとした舞台への明かりも印象的だ。リュック・カステーイスの衣裳はカラフルでキマっている。 
これまでも《カルメン》の現代的な演出は数多くあったはずだが、オリエの演出は、場所を日本にしたこと、多くの人々が関心を持つショービジネスの裏側に設定したことから、登場人物と観客の距離はかなり近いものとなっている。またカルメンのキャラクター造形が、魔性の女というよりは、受け身でいることを拒む女になっており、《トゥーランドット》でトゥーランドット姫の立場に立って結末を考えたオリエが、ここでもカルメンの視点で演出をおこなっていることが分かる。
今回、カルメン役を演じるのはフランス人のメゾ・ソプラノ歌手、ステファニー・ドゥスラックだ。若い頃はウィリアム・クリスティ指揮のバロック・オペラで活躍し、近年はカルメン役を多く歌い高い評価を受けている。ドゥスラックはポップな衣裳が映える長身に、全ての音域でむらのない声は媚をほとんど含まず、歌も理知的な印象を与える。言葉を巧みに使った音楽造形が素晴らしく、オペラ全体を牽引する魅力があった。ドン・ホセの村上敏明は初日に向けての調整か、持ち前のパワフルで暖かみのある声をかなりセーブしての歌唱だったが、素朴で純情なホセの性格はよく出ていた。エスカミーリョはやはりフランス出身のアレクサンドル・ドゥハメル。体格が良く柔らかい響きのバリトン。砂川涼子は澄んだ美声とひたむきな演技でミカエラ役を歌い、技巧的に難しい第三幕のアリアも完成度の高い歌唱であった。
警察の上司スニガを歌う妻屋秀和は、今シーズン新国立劇場でチャイコフスキー《イオランタ》ルネ王や《ドン・カルロ》フィリッポ二世など重要な役での名演が続いたが、出番が少ない役でも歌と演技に揺るぎがない。ちょっとナルシストでひょうきんなキャラクターが面白く子供たちとの絡みも良かった。モラレスの吉川健一もスニガとのバランスが巧み。コミカルな面で重要な役割を果たすカルメンの仲間たちは豪華な顔ぶれで、町英和のダンカイロはスーツ姿が決まった色男、糸賀修平のレメンダードはアンサンブルを支える引き締まった声と演技、森谷真理のフラスキータは艶のある声で高音もびんびん響いてくる。金子美香のメルセデスは活力に満ちた演唱。二人ともあだっぽいけれどガーリーな衣裳が似合っていた。 
東京フィルハーモニー交響楽団を指揮する大野は、前奏曲から小気味良いテンポでスタート。音色や強弱に大きなアクセントをつけてドラマを彩るが、全体は歌心を大事にした流れの良い音楽作りだ。第三幕にいたる間奏曲のフルートの名旋律や、この幕でのミカエラのアリアの前にあるクラリネットの一節など、浮き上がってくる木管楽器の響きも魅力的。
冨平恭平指揮の新国立劇場合唱団とびわ湖ホール声楽アンサンブルは、この時期でもあり歌う位置などで少し苦労がありそうだったが、歌、演技ともに的確。TOKYO FM少年合唱団はよく揃った可愛らしい歌を披露した。  』

・・・演出は、現代風にアレンジしているが、従来の歴史的なオーソドックスなカルメンを知っている人には、斬新で面白い設定。意外と分かりやすい。
こんな解釈もあるんだねーです。初心者には無理があるけどね。
・・・惜しむらくは、ホセ役の村上さん。この日は声が出なくて代役(カバーの村上公太)が袖で歌った。上手い。ならば舞台に出ても良かろうに。そのためのカバーでしょうに。
・・・ホセの村上敏明さんは、カルメンのステファニー・ドゥスラックが身長があってスタイルも良いのに、背が低く中年の「刑事」の雰囲気。まるで合わない。残念でした。若くて上背のある人はいなかったの?せめてハイヒールで背丈を合わせるとか?オペラは観る音楽劇ですよね。😡 😰 



「アルモニカ・ディアポリカ」

2021年07月01日 | 日記
皆川博子(早川文庫)

続編?を読んだ。
前作を読んでないとわからないので先ずはそちらを読んでください。

内容紹介は
『第12回本格ミステリ大賞受賞、本の雑誌増刊《おすすめ文庫王国2014》国内ミステリー部門第1位に輝いた『開かせていただき光栄です』の待望の続篇、ついに刊行! 前作のラストから5年後の1775年英国。愛弟子エドらを失った解剖医ダニエルが失意の日々を送る一方、暇になった弟子のアルたちは盲目の判事の要請で犯罪防止のための新聞を作っていた。ある日、オックスフォード郊外で天使のごとく美しい屍体が発見され、情報を求める広告依頼が舞い込む。屍体の胸には〈ベツレヘムの子よ、よみがえれ! アルモニカ・ディアボリカ〉と謎の暗号が。師匠を元気づけるには解剖が一番! と、アルたちはダニエルと共に現場に旅立つ。それは、彼らを過去へと繋ぐ恐るべき事件の幕開けだった。ユーモアとペーソスに満ちた絢爛な歴史ミステリ、オールスター・キャストで再度開幕!   

著者について
1930年旧朝鮮京城市生まれ。東京女子大学英文科中退。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞を、時代小説『恋紅』で第95回直木賞を、幻想小説集『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞を、歴史ミステリ『死の泉』(早川書房)で、1997年の「週刊文春ミステリーベスト10」の第一位に選ばれ、第32回吉川英治文学賞を受賞した。2011年に上梓した『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』(早川書房)が各誌の年間ミステリ・ベストで上位を占め、2012年に第12回本格ミステリ大賞を受賞。さらに2013年にはその功績を認められ、第16回日本ミステリー文学大賞に輝くなど、第一線で活躍し続けている。   』

・・・やはり時々登場人物表に戻る必要がある。混乱してしまうところが欠点?(私の場合)。それでも、こんなおどろおどろしい話をさらっと読ませるのはすごい。18世紀のイギリスの混沌ぶり、自由と人権の国の昔の姿が分かるところってすごいね。😳