この日のことを書くのは、もはや、無理だな。時間が経ってしまったからではない。むしろ、言葉が出てくるのを待っていたつもりだ。しかし、それらしきものは出てこない。言葉を失ってしまったんだ。
ツアー『すまねえ魂』を終えてのエレカシ@野音。雨が降っていた。石くん、成ちゃん、トミの衣装が鮮烈だった(黄・赤・青)。それぐらいだな。ちゃんと書けるのは。ただ、ツアー『すまねえ魂』で感じたことが結実していて、ある種の頂点に達していたのではないか、ということだけは言えるかな。だから詳しくは、「すまねえ魂 @リキッド恵比寿」を読んでください(笑)。ま、そこでもレポらしきものは書けてないんだけど。その前に、レポってなんだ?
自分の中で言葉を必要としていないライヴのことを、具体的に書こうとするのはやめよう。
よく、「音楽を聴くと、その音楽を聴いていた時のことを思い出す」とか言うでしょう。それはもちろんそうなんだけど、それだけじゃないと思うんだよね。音楽が、写真なんかと違うのは、「一緒に時を刻める」ってことだと思うの。そういう音楽こそが、長く聴き続けられる音楽なのかも知れない。もちろん、その音楽を聴いていたある一定の時間は、その音楽とともに胸に刻まれるのだろう。でも、その音楽を改めて聴いたとき、そこには「今」も刻まれるんだよね。写真とかは、どうしたって「そのとき」だったりすると思うんだけど、音楽は、「そのとき」と「今」を行き来したりするんだよ。これは、音楽が目に見えなくて、形がないからかも知れない。だから、「人に歴史あり」というように、「音楽にも歴史あり」だと思うんだよね。この日ほど、それを実感した日はなかった。
「良いライヴだった」
こんなバカみたいな言葉しか浮かんでこない。昔の曲やちょっと前の曲や最近の曲や新曲。たくさん曲をやってくれて、「エレカシの歴史」を感じたと同時に「自分の歴史」なんかも感じてしまって、それらが野音の景色や雨、空、風なんかと混ざって、「そのとき」と「今」を行き来していた。自分にとってはそれがすべてで、それはあまりにも個人的なことだから、それは「ライヴ」の話とは違うものになってしまいそうで。かと言って、具体的に「ライヴ」のことを書き出せば、それは「自分の中のもの」とは違うものになってしまいそうで。だから、うまく書けないんだろうけど。特に、2001年の野音のことを思い出したな。そのときのライヴに近いものを感じた。あれからエレカシも一周したのかなとか思ってしまう。
ちなみに、エレカシは1990年から毎年野音でライヴをやっている。だから今年は16年目。レコード会社との契約が切れていたときもやっていたんだよ! 継続してくれてることが、どれだけありがたいことか。毎年一回エレカシのライヴがあるというだけで、東京の価値がグーンと上がってるね! 行ったことない人は、東京を知らないって言って良いよ!(笑) 一度は行かにゃぁ!
ああ、やっぱり言葉にできない。すっかり降参だ。こういう演奏だったとか、MCでこういうことを言っていたとか、書けば書くほど、違うものになっていく気がする。
まぁ、私なりに書いてみよう。
男の人って切ない。そんなことを感じてしまった。「男ってのは勝ちにいかなくちゃならないんですかね?」。誰にでもなくこう問いかける宮本さんに、できることならば、今すぐにでも「勝利」とやらを差し出したい気持ちになった。傲慢にも。切実にも。もちろん、そんなことはできないんだけど。女はどうなのかな。「勝ちにいかなきゃ」とか、あんまり思わない気がする。でも、女には女の「戦い」があるような気もする。それは、男の人の「戦い」とは違うような気がした。「すまねえ魂」で、「金じゃないんだ。女でもないんだ」と言って、“探してる 探し歩いてる”と歌っていた宮本さん。やっぱり、女の人とは違うのかもな…と思った。よく分かんないけど。
「お前の夢を見た」は、こんなもん見ちゃって良いの?って思った。<おれはひとりぼっち お前がいても おれひとりでも>って、こんなイジけた姿、晒しちゃって良いの? 見ちゃって良いの?って思った。ハッキリ言って参った。スゴすぎるよ。世の中にあふれている歌という歌が、歌唱という歌唱が、ヌルく感じた。
「おまえと突っ走る」~「かけだす男」らへんで、泣きそうになってしまった。そう、選曲や天候のせいもあったのか、この日はとにかく“泣ける”ライヴだった。エレカシは私にとって、SMAPの「夜空ノムコウ」じゃないけれど「心のやらかい場所」を一番に刺激する存在なのかも知れない。雨が降っていたのは、空も泣いていたのかも知れないよ。
「OH YEAH!」をやってくれた。いつだったか、「俗っぽく生きていこうぜ!」という言葉にグッときた。
「武蔵野」で、ミヤジの声が震えていた。ミヤジも泣いていたのかな? やけに生々しかった。「お前の夢を見た」もそうだったけど。
最後は、「ファイティングマン」。
ごめんなさい。こんなことぐらいしか書けませんでした。他にも、ミヤジが「しらけるかなと思ったんだけど…」とか言いながらバケツの水を二回もかぶったとか、「先生には聞こえてるんだ」と自分のことを「先生」って言ってたとか、「凡人」って曲のことを「この曲難しい。オタクっぽい…」と言ってたとか(そんな曲の題名が「凡人」ですから!)、自分の曲を「予習してきた」とか、石くんのドデカいサングラスとかあやしい動きとか、成ちゃんの汗やら何やらで変色したシャツとか(ベスト着てるのかと思った)、色々あったけれど…。そう言えば、「デーデ」のことを「貧乏人に捧げる“バラード”」と言ってたなぁ。
でも、そんなことより、「エレカシ」が上回っていた。おそらく、その場で演奏する曲を決めていってるにも関わらず、乱れない流れ。「平成理想主義の旅 @渋谷AX」で、『DEAD OR ALIVE』~『俺の道』で、バラバラになりかけた心(宮本浩次)と体(バンド)が再び引っ付き合い転がり始めたと書いたけど、今のエレカシには、それプラス、技もある。心・技・体ってやつだよ。再生した何度目かのエレカシ。そこから繰り出されるバンド・サウンドをうまく説明できれば良いんだけど、それは無理。もったいない。ナマで確かめてみて欲しい。そういや、「平成理想主義の旅 @リキッド恵比寿」で、こんなに頼もしいバンドとなったエレカシをCDにも刻まなければっ!と書いていたことを思い出した。今、そのために練ってるのかなぁ。
そんなエレカシが演奏する、色んな時代の曲たち(この日は特にアルバム『ココロに花を』からの曲が多かった)。それらを聴いて、やっぱり良い曲だぁ!と思ってCDを聴いてみると、当たり前のことかも知れないけど、それはそれでまた違って聴こえる。だから、CDに収められている曲たちの聴こえ方も違ってくる。
エレカシがいなくったって、私は生きていけるのだろう。お腹が空くわけじゃなし。病気になるわけじゃなし。お金に困るわけじゃなし。
だた、ただね。エレカシの音楽が聴こえてこない世界なんて、想像できなくなっちゃったんだよ。ただそれだけのことなんだよ。
きっと、私がエレカシを愛する理由が、音楽を愛する理由が、そこにはあったんだ。
<セットリスト>
1. 生命賛歌
2. デーデ
3. 浮き草
4. 風に吹かれて
5. 悲しみの果て
6. 今宵の月のように
7. すまねえ魂(新曲)
8. お前の夢を見た(ふられた男)
9. 孤独な旅人
10. 珍奇男
11. 真夏の星空は少しブルー
12. 道
13. 人生の午後に(新曲)
14. おまえと突っ走る
15. かけだす男
16. OH YEAH!(ココロに花を)
17. うれしけりゃとんでゆけよ
18. 四月の風
――アンコール 1――
19. 昔の侍
20. 極楽大将生活賛歌
21. 涙
22. 凡人 -散歩き-
23. 明日に向かって走れ
――アンコール 2――
24. 月の夜
25. ガストロンジャー
26. 武蔵野
27. ファイティングマン
ツアー『すまねえ魂』を終えてのエレカシ@野音。雨が降っていた。石くん、成ちゃん、トミの衣装が鮮烈だった(黄・赤・青)。それぐらいだな。ちゃんと書けるのは。ただ、ツアー『すまねえ魂』で感じたことが結実していて、ある種の頂点に達していたのではないか、ということだけは言えるかな。だから詳しくは、「すまねえ魂 @リキッド恵比寿」を読んでください(笑)。ま、そこでもレポらしきものは書けてないんだけど。その前に、レポってなんだ?
自分の中で言葉を必要としていないライヴのことを、具体的に書こうとするのはやめよう。
よく、「音楽を聴くと、その音楽を聴いていた時のことを思い出す」とか言うでしょう。それはもちろんそうなんだけど、それだけじゃないと思うんだよね。音楽が、写真なんかと違うのは、「一緒に時を刻める」ってことだと思うの。そういう音楽こそが、長く聴き続けられる音楽なのかも知れない。もちろん、その音楽を聴いていたある一定の時間は、その音楽とともに胸に刻まれるのだろう。でも、その音楽を改めて聴いたとき、そこには「今」も刻まれるんだよね。写真とかは、どうしたって「そのとき」だったりすると思うんだけど、音楽は、「そのとき」と「今」を行き来したりするんだよ。これは、音楽が目に見えなくて、形がないからかも知れない。だから、「人に歴史あり」というように、「音楽にも歴史あり」だと思うんだよね。この日ほど、それを実感した日はなかった。
「良いライヴだった」
こんなバカみたいな言葉しか浮かんでこない。昔の曲やちょっと前の曲や最近の曲や新曲。たくさん曲をやってくれて、「エレカシの歴史」を感じたと同時に「自分の歴史」なんかも感じてしまって、それらが野音の景色や雨、空、風なんかと混ざって、「そのとき」と「今」を行き来していた。自分にとってはそれがすべてで、それはあまりにも個人的なことだから、それは「ライヴ」の話とは違うものになってしまいそうで。かと言って、具体的に「ライヴ」のことを書き出せば、それは「自分の中のもの」とは違うものになってしまいそうで。だから、うまく書けないんだろうけど。特に、2001年の野音のことを思い出したな。そのときのライヴに近いものを感じた。あれからエレカシも一周したのかなとか思ってしまう。
ちなみに、エレカシは1990年から毎年野音でライヴをやっている。だから今年は16年目。レコード会社との契約が切れていたときもやっていたんだよ! 継続してくれてることが、どれだけありがたいことか。毎年一回エレカシのライヴがあるというだけで、東京の価値がグーンと上がってるね! 行ったことない人は、東京を知らないって言って良いよ!(笑) 一度は行かにゃぁ!
ああ、やっぱり言葉にできない。すっかり降参だ。こういう演奏だったとか、MCでこういうことを言っていたとか、書けば書くほど、違うものになっていく気がする。
まぁ、私なりに書いてみよう。
男の人って切ない。そんなことを感じてしまった。「男ってのは勝ちにいかなくちゃならないんですかね?」。誰にでもなくこう問いかける宮本さんに、できることならば、今すぐにでも「勝利」とやらを差し出したい気持ちになった。傲慢にも。切実にも。もちろん、そんなことはできないんだけど。女はどうなのかな。「勝ちにいかなきゃ」とか、あんまり思わない気がする。でも、女には女の「戦い」があるような気もする。それは、男の人の「戦い」とは違うような気がした。「すまねえ魂」で、「金じゃないんだ。女でもないんだ」と言って、“探してる 探し歩いてる”と歌っていた宮本さん。やっぱり、女の人とは違うのかもな…と思った。よく分かんないけど。
「お前の夢を見た」は、こんなもん見ちゃって良いの?って思った。<おれはひとりぼっち お前がいても おれひとりでも>って、こんなイジけた姿、晒しちゃって良いの? 見ちゃって良いの?って思った。ハッキリ言って参った。スゴすぎるよ。世の中にあふれている歌という歌が、歌唱という歌唱が、ヌルく感じた。
「おまえと突っ走る」~「かけだす男」らへんで、泣きそうになってしまった。そう、選曲や天候のせいもあったのか、この日はとにかく“泣ける”ライヴだった。エレカシは私にとって、SMAPの「夜空ノムコウ」じゃないけれど「心のやらかい場所」を一番に刺激する存在なのかも知れない。雨が降っていたのは、空も泣いていたのかも知れないよ。
「OH YEAH!」をやってくれた。いつだったか、「俗っぽく生きていこうぜ!」という言葉にグッときた。
「武蔵野」で、ミヤジの声が震えていた。ミヤジも泣いていたのかな? やけに生々しかった。「お前の夢を見た」もそうだったけど。
最後は、「ファイティングマン」。
ごめんなさい。こんなことぐらいしか書けませんでした。他にも、ミヤジが「しらけるかなと思ったんだけど…」とか言いながらバケツの水を二回もかぶったとか、「先生には聞こえてるんだ」と自分のことを「先生」って言ってたとか、「凡人」って曲のことを「この曲難しい。オタクっぽい…」と言ってたとか(そんな曲の題名が「凡人」ですから!)、自分の曲を「予習してきた」とか、石くんのドデカいサングラスとかあやしい動きとか、成ちゃんの汗やら何やらで変色したシャツとか(ベスト着てるのかと思った)、色々あったけれど…。そう言えば、「デーデ」のことを「貧乏人に捧げる“バラード”」と言ってたなぁ。
でも、そんなことより、「エレカシ」が上回っていた。おそらく、その場で演奏する曲を決めていってるにも関わらず、乱れない流れ。「平成理想主義の旅 @渋谷AX」で、『DEAD OR ALIVE』~『俺の道』で、バラバラになりかけた心(宮本浩次)と体(バンド)が再び引っ付き合い転がり始めたと書いたけど、今のエレカシには、それプラス、技もある。心・技・体ってやつだよ。再生した何度目かのエレカシ。そこから繰り出されるバンド・サウンドをうまく説明できれば良いんだけど、それは無理。もったいない。ナマで確かめてみて欲しい。そういや、「平成理想主義の旅 @リキッド恵比寿」で、こんなに頼もしいバンドとなったエレカシをCDにも刻まなければっ!と書いていたことを思い出した。今、そのために練ってるのかなぁ。
そんなエレカシが演奏する、色んな時代の曲たち(この日は特にアルバム『ココロに花を』からの曲が多かった)。それらを聴いて、やっぱり良い曲だぁ!と思ってCDを聴いてみると、当たり前のことかも知れないけど、それはそれでまた違って聴こえる。だから、CDに収められている曲たちの聴こえ方も違ってくる。
エレカシがいなくったって、私は生きていけるのだろう。お腹が空くわけじゃなし。病気になるわけじゃなし。お金に困るわけじゃなし。
だた、ただね。エレカシの音楽が聴こえてこない世界なんて、想像できなくなっちゃったんだよ。ただそれだけのことなんだよ。
きっと、私がエレカシを愛する理由が、音楽を愛する理由が、そこにはあったんだ。
<セットリスト>
1. 生命賛歌
2. デーデ
3. 浮き草
4. 風に吹かれて
5. 悲しみの果て
6. 今宵の月のように
7. すまねえ魂(新曲)
8. お前の夢を見た(ふられた男)
9. 孤独な旅人
10. 珍奇男
11. 真夏の星空は少しブルー
12. 道
13. 人生の午後に(新曲)
14. おまえと突っ走る
15. かけだす男
16. OH YEAH!(ココロに花を)
17. うれしけりゃとんでゆけよ
18. 四月の風
――アンコール 1――
19. 昔の侍
20. 極楽大将生活賛歌
21. 涙
22. 凡人 -散歩き-
23. 明日に向かって走れ
――アンコール 2――
24. 月の夜
25. ガストロンジャー
26. 武蔵野
27. ファイティングマン