goo blog サービス終了のお知らせ 

sky is blue

言わなければよかったのに日記

PUSHIM @Zepp Tokyo

2004-11-18 21:16:44 | ライヴ
困った。困った困った困った。
プシンのライヴに行ってきたんだけど、これをどう言い表したら良いのか分からない。「プシン最高!」とか「音を楽しむ!」とか「ワン・ラヴ!」とかそれだけで良い気がするが(ごめんなさい、後の二つは行った人にしか、それも私と一緒に行ったそこのアナタ!しか分からないと思います)、もちろん、それだけじゃない。それだけだったら、そうはなれない。ただ、

“すべての音楽ファンに観て欲しい”

私がプシンと出会ったのは、「DANCEHALLIC」という曲のプロモだった。何気なく見ていたTVにそのプロモが流れ、私の中に電気が流れ、この人の音楽を聴きたい!今すぐにでも!という衝動に突き動かされるようにして、アルバム『Pieces』を手にしたのだった。突然、自分が今まで見たことのなかった、知らなかった世界が目の前にぶわ~っと広がっていくような感覚だった。レゲエ、特にダンスホール・レゲエと言われるジャンルらしいが、私がその辺の音楽に馴染みがなかったからってのも、もちろんあるだろう。しかし、それだけじゃなかった。レゲエ云々とかそういうのは後付けで、出会ってしまったものが“たまたまレゲエだった”だけに過ぎない。そう、たまたまレゲエで、たまたま音楽だった。

そんな出会いから1年半以上経っているが、プシンは今でも私にFRESH!な気持ちを与え続けてくれている。

『Pieces』から約1年半後、今年の8月に『QUEENDOM』というアルバムが届けられた。前作『Pieces』よりも“レゲエ!”って感じが全編に貫かれていて、レゲエで行くんだ!という強い意志を感じさせる、レゲエ以外の何者でもないと、レゲエに詳しくない私にも思わせてしまう硬派なアルバムに感じた。にも関わらず、前作よりもバラエティに富んでいる。色んなリズムやライムや歌があって、のびのびと自由な感じで表情も豊かだ。一つの王国のように、そこには色々な街や建物、海や夕陽や花なんかが咲き乱れていて、宴や恋が繰り広げられている。レゲエという音楽の懐の深さなのか、プシンというミュージシャンの懐の深さなのか、“硬派かつ柔軟”という、まさに“レゲエ”であり“音楽”であり“プシン”なアルバムだったように思う。

で、今回のツアー“QUEENDOM”である。

私が行ったのは最終日で、約3時間、何曲歌ったんだろう。もうね、それで、この日記の冒頭に戻るわけです。「どう言い表したら良いのか分からない」。

プシンは「海」のようだ。海はすべてを知っている。朝陽も夕陽も暗闇も、星も月も、風も雨も、恋も夢も、喜びも悲しみも、何もかもを知っている。何もかもを見せてくれる。そして、何もかもが帰る場所。すべてが溶け合う場所。プシンが皆から愛されているのが十分過ぎるくらい伝わってきて、それと同じくらい、プシンが皆を愛しているのも伝わってきて、そこに漂っている愛が、皆がプシンを愛している愛なのか、プシンが皆を愛している愛なのか、分からないくらいに溶け合って波打っていた。

プシンは「家」のようだ。私は不思議で仕様がない。何故こんなに居心地が良いのか。例えば、彼女はMCでもう分かったよってくらい「レゲエ、レゲエ」と口にしていたし、会場にはライターに火をつける人やタオルを振り回す人だっていた。開演前にはDJタイムがあり、おそらくレゲエの名曲であろう曲がかけられていた。私はと言えば、レゲエに全然詳しくなく、ファッションもレゲエじゃないし(笑)、ライターに火もつけなければタオルなど持ってもいない。DJでかけられた曲も知らない。だのに、何でこんなに居心地が良いの? というか、居心地の悪さを微塵も感じなかったことが驚きだ。自分が普段よく行くライヴとは明らかに雰囲気も音も違うはずなのに。疎外感なんてぜーんぜん感じなかった。それどころか、“私、前にもここにいなかったっけ?”っていうか、“ひょっとして、私はここから来た?”とまで思えてしまうから不思議だ。この、すべてを包み込んでしまう、すべてに向かって開かれている、すべてを受け入れてしまうほどの包容力は一体なんなんだ? 内容的には“レゲエ!”って感じだし、媚びてるところも全然ないのに。何故こんなにも、あるがままで良いと思わせてくれるのか。何故、行ったこともない場所のはずなのに、私の心は“ただいまー!”と叫んでしまうのか。これが“レゲエ”というものなの? それとも?

こんな人はなかなかいない。「海」になれる人なんて、「家」になれる人なんて、そうそういない。持って生まれたものなのか、生まれ育ったものなのか、どっちにしろ、それを失わずに(あるいは更に磨きをかけながら)ここまで生きてきてるプシンが嬉しい。

多分、これがプシンにとっての“レゲエ”であり“音楽”だからだ。プシンにとってはレゲエが音楽が「海」であり「家」なのだ。だから彼女は、自分が音楽をやるときも、その純度を高めるために、自由であろうとするし、「海」であろうとするし、「家」であろうとするのだ。だからと言って、ユルイ音楽だと思ってもらっては困る。自由であろうとすることが、ただただ「音を楽しむ!」ことが、いかに難しいことか。その戦いを知らなければ、聴き手をも自由にし、解放してしまうなんてことはあり得ない。

少し話はズレるが、どんなにジャンルの壁を越えて、色々な要素を取り込んで、音楽的な幅の広さや知識を見せつける音楽であっても、窮屈に感じられるときがある。音楽的には色々な要素が入っているはずなのに、ちっともその音楽自体の表情が豊かじゃないとき。色々な要素を取り入れた割には、どこか窮屈で表情に乏しい音楽。音楽的な懐の深さが、そのままその音楽の懐の深さに繋がるとは限らない。物凄く偏った音なのに、開かれていて表情豊かな音楽とか一杯ある。エレカシとか、音楽的にはそんなに多くのことをやっているわけじゃないはずなのに、めっちゃ表情豊かだもんね。色んな要素を取り入れれば、間口が広がるわけでも、表情が豊かになるわけでもないんだよ。もともとみんな違うんだから。その違いを分かって初めて、共有って生まれるもんじゃないだろか。

何が言いたいのかと言うと、プシンの音楽は、ばりばりレゲエ好きな人にも、普段レゲエを全然聴かない人にも伝わるものだと思うってことだ。かといって、それが、イタズラに間口を広げられた音楽ではないってこと。みんな違う(孤独)ということが同じ(共通)わけだから、共有は孤独から生まれるのだろう。プシンはきっと、誰よりも孤独に音楽と向き合ってきたんじゃないだろうか(MCでも「歌で悩んだこともあったけど、皮肉にも歌に助けられる」と言ってた)。だから、“在日韓国人”とか“レゲエ”とかも超えて共有されるべき音として鳴っているんじゃないだろうか。だからこそ、彼女が「レゲエ、レゲエ」と口にし、どんなにコテコテな音楽や服装や演出をしたとしても、そこに排他的な要素など一切生まれない。奇跡的なほどに。これでこそ音楽。世の中には、共有を前提とした排他的な音楽なんてのもあるかも知れない。でもプシンは違う。音楽は人を選ばない。人が音楽を選ぶ。だからこそ、

“すべての音楽ファンに観て欲しい”

と、ここまで書いておいて何なんですけど、そんなことどーでも良くなっちゃうくらい、プシンって人が魅力的な女性なんですよ! まんずセクシー! でも、所謂セクシーってんじゃないんだよなぁ。人を圧倒するようなセクシーさじゃなくて、もう自然に湧き出てきちゃってるセクシーさ。セクシーなんだけど、セクシーと意識させない、ナチュラルセクシーとでも言えば良いんですかね? ある意味、超セクシー! マイク持っちゃったら、隠そうと思っても隠せないんだろうなぁ、あれは。本人、自分がセクシーってこと気付いてんのかな?みたいな(笑)。なのに、シャイでキュートなんだよねぇ。歌はもちろん凄いし、大胆な感じがするんだけど、同時に奥ゆかしさっていうんですか、しとやかさも持ってるんだよねぇ。圧倒的な歌声なのに、人を圧倒しないんだよ。そこが凄い。プシンマジック? 歌だけ軽く聴いてイメージ持ってる人は、もしかしたらビックリしちゃうかも知れない。そのおしとやかさやシャイっぷりに! てか、可愛らしい! 会場のあちこちから「可愛いー!」って声があがってました。花も投げ込まれるし。分かる…分かるよぉ~! プシン、はにかみながら「一年分ぐらいの『可愛い』をもらったわ」って言ってました☆ で、笑いも持ってる。ベタベタなんだけど、ベタベタじゃないんだよ。ベタベタなこと言ってても、笑っちゃうっていうか。意外に抜けてたりするし(笑)。詰めが甘かったり(笑)。でも、全部許せちゃう。もう一緒に行った友人と二人して“べた惚れ”でした。

セクシーとシャイとキュートと笑い…全部兼ね備えているなんてね。誰かがプシンの歌唱力を“歌笑力”と表現していて、もう言い得て妙! 座布団10枚!

Home Grown(バンド)との相性も抜群! 息ピッタリ! まさに家族のよう。ってか、Home Grown、素晴らしいバンドです。あのグルーヴ感はタマラナイ! めっちゃ良いバンドやわ~。プシンの「海」を表現してたもの。終始、唸らされっぱなし。ゲストに、Ryo the Skywalker、Fire Ball、Moominが登場。どれもこれもお互いのリスペクトっぷりや愛が感じられて良かったなぁ。Fire Ballとの芝居入ってる歌唱(ミュージカル並み)は楽しかったぁ。歌の世界をばっちり再現してました。こういうのもアリよね~。Moominのとき、MCでMoominが「音楽は良い」みたいな話になって流れ上「間違いない!」って永井秀和の真似したら、それを受けたプシンが「どこ見てんのよ!」って青木さやかの真似をしたんだけど、めっちゃキュートだったわぁ。真空パックして持ち帰りたいくらいだった(笑)。最後の方で、ちょっと早いけど、プシンの誕生日を祝って、バースデー・ソングが歌われ、ケーキと花がプレゼントされた。知らされてなかったプシンは驚いてたけど、「幸せです」と言ってた。私も幸せ♪

最後はやっぱり「a song dedicated」で締め。いやぁ、4枚目『QUEENDOM』までで築いてきたプシン王国をたっぷり堪能させてもらいました。それでもプシンは『QUEENDOM』を作り終えて「こんなもんか」と思ったそうだ。「今、ここにいる人、敵に回してるけど」って(笑)。←『QUEENDOM』はHome Grownや今回のツアーに参加している人達と作った。まだまだ!ってことさ。海は広いな~大きいな~だもんね。関係ないけど、今回キーボードを弾いてた渡辺貴浩さんは、エレカシの“ライフツアー”のときにもキーボードを弾いてた人っぽい。なんか嬉しい。

ああ、「I Wanna Know You」は良い曲だなあー。この曲が似合うような恋愛したいよ(笑)。いや本当に。