高校講座で勉強しました。今日の教科は;
【物理基礎】 第8回 第1編 物体の運動とエネルギー 力について考える ~力とは~
力とは何だろう
はかりを使うお母さん
筋肉ポーズをとる3人
▶力による現象
重いものを持ち上げる重量挙げ
遠くに投げ飛ばすハンマー投げ
速いスピードの投球
力がはたらいているとき、どのような現象が見られるのでしょうか。
たとえば、力を加えることによって、重い物を持ち上げることができます。
力によって物を遠くに飛ばしたり、速いスピードで投げたりすることもできます。
つまり、力を加えることによって、物を動かすことができます。
車は衝突の瞬間に変形
弾丸は穴をあけ突き抜けていく
インパクトの瞬間にボールが変形
それだけではなく、力を加えたときには、物の形が変わることもあります。
車が衝突すると、車体は大きく変形します。
強い力で叩くと、物が粉々に砕けることもあります。
弾丸が壁を貫く瞬間を見ると、弾丸は壁に穴をあけ、破片を飛ばしながら突き抜けていきます。
ゴルフボールのインパクトの瞬間は、クラブがボールに当たった部分がへこみ、その反対側が膨らんでいます。
強い力によってボールが変形しているのです。
このように、物を変形させるのも、力のはたらきの一つです。
物体の運動の様子が変化する
物体が変形する
ノブナガ 「ボールを投げたり蹴ったりとか、『物を動かす』のが力だよね。」
父 「そう。止まっているものが動きだすのも力だけど、それ以外だと?」
リコ 「ゴールキーパーがシュートを止めるみたいに、動いている物を止めるのも力か。」
父 「バイクで言えば、走り出したり止まったりもそうだけど……。」
ノブナガ 「わかった、加速したり減速したりするのも、力のはたらきなんだね。」
父 「物体が力を受けたときに生じる現象・その1は、物体の運動の様子が変化するということなんだ。止まっている物体が動いたり、動いている物体が止まったり、あるいは運動の速さや向きが変わったり。つまり『加速度』を生じる変化だね。そして、もう一つは?」
母 「ワイングラスが割れたり、ゴルフボールがゆがんだり。」
父 「そう。物体が力を受けたときに生じる現象・その2は、物体が変形するということなんだ。」
ノブナガ 「これもわかりやすいね。」
父 「でも、どんな力がどうはたらいているかということになると、必ずしもわかりやすいものばかりじゃないんだ。ちょっと不思議なものをみんなに見てもらおう。どんな力がはたらいているのか、考えてみてね。」
▶どんな力がはたらいているの?
空気の力で玉を浮かせる
送風機で大きなボールも浮かせる
お父さんが取り出したのは、息を吹き込むと玉が浮かぶおもちゃです。
目には見えませんが、空気が玉を押し上げています。
送風機を使うと、大きなボールも浮かばせることができます。
リコ 「これは、目には見えないけど、空気の力はまだわかりやすいよね。」
磁石の力で宙に浮かぶ地球儀
地球儀は強い磁力で跳ね返される
続いてお父さんが取り出したのは、宙に浮かぶ地球儀です。
ノブナガ 「あ、これ磁石じゃない?」
父 「そうだよ!つまり、磁力で絶妙に浮いているんだ。」
リコ 「結構強い磁力がはたらいているんだね。」
磁石にはN極とS極があり、N極とS極は引き合いますが、同じ極同士は反発し合います。
この地球儀は、その磁石の力をうまく調整しています。
空飛ぶクラゲを持つお父さん
静電気で反発しあう
次にお父さんは、荷造り紐を細かく裂いた「空飛ぶクラゲ」を取り出しました。
パイプと荷造り紐を、それぞれ布でこすります。
空中に放り投げたクラゲにパイプを近づけると、互いに反発し合ってクラゲがパイプの上で浮きます。
リコ 「わかった。これは静電気でしょ。」
父 「そう、ここではたらいているのは『静電気力』だね。」
静電気には+(プラス)と-(マイナス)があります。
先ほどの磁力と同じように、「+と-」は互いに引き合いますが、「+と+」、「-と-」は反発し合います。
ここでは、クラゲにもパイプにも-の静電気が生じていたため、反発し合いました。
リンゴを覗き込むノブナガ
リンゴを手から離すと落ちる
母 「目には見えなくても、いろんな力がはたらいているのね。」
父 「でも、まだそれだけじゃないんだ。たとえば、今、このリンゴにもはたらいている力があるんだよ。」
ノブナガ 「えっ、このリンゴに?動いてもいないし、変形もしていないけど。」
父 「動いてもいないし、変形していないようにも見えるんだけど、地球にいる限り、必ずはたらいている力があるんだ。」
リコ 「わかった。ニュートン。」
父 「そう。ニュートンが発見した万有引力とも関係が深い、地球が引っ張る力、重力だね。」
ノブナガ 「そうか、リンゴから手を放すと落ちる。つまり、止まっているものが動くということは、力がはたらいているってことだね。」
父 「リンゴが落ちている最中にも、そのリンゴには重力がはたらいているんだ。」
いすに座るお母さんにも垂直抗力がはたらく
リコ 「テーブルの上に置くと動かないし、力がかかっているのか、あまり実感わかないね。」
父 「でも もちろん、そのりんごにも重力がはたらいているはずだよね。だけど、地球に引っ張られても、これ以上落ちていくということはない。ということは、重力と逆向きの力が同時にはたらいていないといけないはずだよね。」
それが、「垂直抗力」という、テーブルがりんごを押し返す力です。
たとえば、お母さんが椅子に座っているときも、お母さんにはたらく重力と同じ大きさの垂直抗力が、椅子からお母さんにはたらいています。
▶力を視覚化する
力がはたらくと色が変わるゴム
引っ張ると色が変わる
母 「そんな力がはたらいているなんて、全然ぴんとこない。」
父 「目に見えない力は実感しにくいよね。でも、その力を見えるようにする良い方法もあるんだ。」
引っ張る実験装置
力がかかると色が変わる
この特殊なゴムシートを使って、力のはたらき方を調べてみます。
金属の表面にこのゴムシートを貼りつけて、金属が変形する様子を調べます。
力を加えていくと金属が次第に変形します。
色が変わった部分には大きな力が加わっていることがわかります。
鉄球の衝突実験装置
鉄球が落下すると一瞬で色が変わる
次に、このゴムシートに鉄の球がぶつかる瞬間を、ハイスピードカメラで撮影します。
球がぶつかると、ゴムが変形した部分の色が一瞬のうちに変わっていきます。
色の違いは、変形の大きさの違いを示しています。
偏光板
偏光板を通すと色が変わって見える
力を視覚化するには、別の方法もあります。
特定の方向から入ってくる光だけを通す偏光板を使って、透明な物にかかる力を調べてみます。
2枚の偏光板の間で、透明なシートを引っ張った様子を偏光板を通して見てみると、伸びた部分の色が変わってみえます(右図左下)。
透明なホースを縛って左右から引っ張ると、まっすぐな部分の色が変わり、強い力がかかっているのがわかります(右図上)。
アクリルの板をペンチで挟むと、力が加わっている部分の色が変わりました(右図右下)。
▶力の表し方
ボールを蹴るリコ
作用点、力の大きさ、向き
このような力の大きさや向きを、物理ではどう表すのか、リコのキックを例に見てみましょう。
矢印の長さは力の大きさ、矢印の向きは力がかかっている向きを表しています。
矢印が始まる点が、力が加わっている点「作用点」です。
▶力を視覚化する
アクリルにペンチで挟む力と反発する力
アクリルをペンチで挟んだ場合、力は黄色い矢印の方向に加わっています。
このとき同時に、アクリルが反発する力(赤い矢印)がペンチにはたらいています。
シートの色が変化する
机上のリンゴに重力と垂直抗力がはたらく
.
では、テーブルの上にリンゴが置いてある場合は、どうでしょうか。
実験に使うのは、耐震用に家具の下などに敷く衝撃吸収シートです。
このシートがテーブルだとして、その上にリンゴの形に切り抜いたシートを置きます。
リンゴに加わる重力に見たてて力を加えてみます。
するとテーブル代わりのシートだけでなく、リンゴの形のシートも、接触した部分が青色に変化しました(左写真)。
力の加わり方を矢印で表すと、重力だけでなく、同じ大きさで向きは反対の「垂直抗力」がはたらいています(右写真)。
▶力の大きさをはかる
ばねにかかる弾性力
3kgの重りがばねの弾性力と重力が釣り合う
母 「なるほど。このリンゴにも、そんな力が加わっているのね。」
リコ 「でも、矢印が見えるわけじゃないから、どれだけの力がはたらいているのかは、すぐにはわからないよね。」
父 「力には、運動の様子を変えるというはたらき以外に、物の形を変えるはたらきがあったよね。そのはたらきを使って力を測ればいいんじゃないかな。」
母 「どういうこと?」
父 「たとえば、ばねに力を加えると、伸びたり、縮んだりするでしょ。そして、ばねが元に戻ろうとする力を『弾性力』というんだ。このばねの伸びと弾性力の関係を調べればいいんだ。」
ばねには3kgのおもりが吊り下げられていて、この位置で止まっています。
止まっているということは、元に戻ろうとするばねの弾性力の大きさは、3kgのおもりにはたらく重力の大きさと同じだということです。
▶ばねの伸びとおもりの重さの関係
ばねに重りを吊り下げる
ばねの伸びと重りの画像をグラフに
ばねの伸びと、おもりの重さとの関係を調べてみました。
同じ強さのばねが6本あります。
左から2つめのばねからから順に、重りを1個、2個……と吊り下げていきます。
すると、おもりが増えるにつれて、ばねの伸びが大きくなっていきます。
画像を90°回転させて、ばねの伸びを横軸に、おもりの個数を縦軸にしたのが右写真です。
「おもりの重さ」は「弾性力」とつり合っているので、縦軸を「弾性力」としてグラフにします。
F=kx
すると、赤い点の位置が原点を通って一直線上に並びます。
このことから「ばねの伸び」と「弾性力」は比例していることがわかります。
リコ 「ばねの伸びが2倍になると、弾性力も2倍になるってことね。」
父 「弾性力と、ばねの伸びは比例しているということなんだ。」
この関係を式に表すと「F=kx」となります。
Fは弾性力、xはばねの伸び、kはばねの伸びにくさを表す「ばね定数」です。
この関係を「フックの法則」といいます。
ばねの伸びから、ばねにはたらく力の大きさを知ることができる法則です。
キッチンばかりはばねの弾性力で重さを測る
物を乗せると針が動く
母 「力についてはよくわかったけど、日常生活とは、そんなに関係ないわよね。」
父 「いや、そんなことはないさ。お母さんがいつも使っているキッチンばかりだって……ほら!のぞいてごらん、ばねがあるでしょ。キッチンばかりは、ばねの弾性力を使って重さを測っているんだよ。」
ノブナガ 「確かに、重さがかかるとばねが伸びる。」
リコ 「針も動く。」
父 「ね、こうするとよくわかるでしょ?」
~お父さんのひと言~
速度が変わったり、物の形が変わったりすることで、力がはたらいていることがわかりましたね。
物が変化するためには、何らかの作用が必要なんです。
なまけ者の私を変化させるためには、周りの人達からの、少し耳の痛い叱咤激励も必要だったんです。
先生や保護者の小言……これはあなたにとって、実は大切な力になっているのではないでしょうか。
自分に不都合な意見ほど、本当はとても貴重な言葉なのかもしれませんよ。
そんなことを言ってくれる友こそ、とても大切な友達なんです。
【世界史】 第8回 唐と東アジア
1.隋の南北統一 2.唐帝国の誕生 3.長安の繁栄と遣唐使
唐辛子〜唐草模様
“唐辛子” や “トウモロコシ”、“唐獅子(からじし)” や “唐草(からくさ)模様” のように、私たちは現在でも「唐○○」という言葉使います。
この「唐」という言葉は、日本人にとって、外国から伝わったことを意味しています。この言葉のイメージが示すように、唐は国際性を持った国でした。
1. 隋の南北統一
2. 唐帝国の誕生
3. 長安の繁栄と遣唐使
訪れる場所は、現在の中国。時代は、6世紀末から10世紀までです。
まず、中国の南北を結ぶ大運河を訪れます。唐の建国前、隋の皇帝が建設した経済の大動脈です。
そして、唐の時代、都の長安に作られた巨大な塔・大雁塔を訪ねます。
ここには、三蔵法師 玄奘(げんじょう)が、シルクロードを通ってインドから持ち帰った経典が収められました。
眞鍋さん 「前回の三国志や南北朝の時代に比べると、シルクロードやインドが出てきたり、確かに外の世界との交流が盛んだったみたいだね。」
永松さん 「しかし、そうした国際的な交流は、突然誕生したわけではありませんでした。唐ができる前に、国の長期にわたる分裂を統一し、国際化の下地を作った国がありました。それが、隋です。」
1.隋の南北統一
京杭大運河を示す地図
マジカル・ヒストリー・ツアー、最初に訪れるのは、中国の東部にある「京杭(けいこう)大運河」です。
北の北京と南の杭州を結ぶ、総延長2500キロメートルの運河です。
今でも人や物資の輸送に用いられているこの大運河が完成したのは、約1400年前のことでした。
いったいなぜ、これほど大規模な運河が作られたのでしょうか。
随の楊堅が南北を統一
文帝(楊堅)
6世紀末の中国は、約300年にわたる南北分裂の時代が続いていました。
589年、北朝の隋の楊堅(ようけん)が、南北を統一しました。
文帝(楊堅:ようけん)は、国の支配を強固にするため、さまざまな制度を整えていきました。
その一つが、広く農民に土地を分配する「均田制」です。
これにより、税を安定して集めようとしました。
一方で、農民たちに対して、兵役を課しました。「府兵制」です。
これにより、より多くの兵を集めることが可能になりました。
煬帝
運河により行き来が活発
隋の第2代皇帝 煬帝(ようだい)は、政治や軍事の中心地である華北と物資の豊かな江南を結ぶ、経済の大動脈として大運河を完成させました。これが、京杭大運河です。
この運河により、南北の人や物の行き来がさらに活発になりました。
しかし、この大土木工事は農民に負担をかけ、隋は南北統一からわずか30年ほどで滅びることになります。工事や遠征が負担になり随は滅亡
眞鍋さん 「大運河を作ることで、人や物の行き来が活発になったんだね。でも、その工事が原因で随は滅びてしまうというのは、皮肉な話だね。」
永松さん 「第2代皇帝の煬帝が行った政策は、ある意味、極端で性急なものでした。例えば、運河の建設には、多いときで100万人の農民が動員されたといわれています。」
眞鍋さん 「すごいスケールだね。」
永松さん 「さらに、煬帝は朝鮮に3度も遠征をしたのですが、どれも失敗に終わりました。その結果、隋は崩壊してしまうんです。」
眞鍋さん 「その後はどうなるの?」
永松さん 「唐になります。唐は、隋の政治を受け継いで大帝国に成長していきます。」
▶2.唐帝国の誕生
西安の写真と地図
長安の時代の城壁
マジカル・ヒストリー・ツアー、続いて訪ねるのは、西安市です。
唐の時代、長安と呼ばれていた古都です。
西安市の市街地にある城壁です。高さは約12メートル、周囲 約13キロメートルを囲んでいます。
実は、唐の時代、この9倍の広さの町を守る城壁があったといいます。
これほど巨大な都 長安は、いったいどのような様子だったのでしょうか。
唐の時代に、マジカル・ジャンプ!
李淵
隋の滅亡後、隋の武将だった李淵(りえん)は、長安を都として “唐” を建てました。唐は、隋の制度を引き継ぎながら、さらに国を強化していきました。
律令制
租庸調制
その一つが、「律令制」と呼ばれる法体系です。
刑罰や行政の仕組みなど、法律をより細かく体系的に定めました。
この法体系は、後の時代の中国や日本など、東アジアの国々の手本となります。
さらに、税制度も整えていきます。
穀物を納める “租”、公共事業などに労働力を提供する “庸”、絹や綿を納める “調” からなる「租庸調制」です。
これは、日本にも取り入れられていきました。
唐の最大領域
羈縻政策
唐は領域を拡大し、大帝国となっていきます。7世紀後半には、モンゴル高原や中央アジア、中国東北地方にまでその支配が及びました。
唐は、新たに支配する諸民族に対して、それぞれの有力者に自治を与える間接統治を行いました。これが「羈縻(きび)政策」です。
緩やかに統治することで、広大な領域を支配することが可能になりました。
長安復元イメージ 大明宮
唐の都・長安は、都市計画によって築かれました。
大帝国の威厳を示す巨大なもので、町の周囲は約37キロメートルありました。
メインストリートの朱雀門街の道幅は、150メートルです。外国からの使者は、ここを通って皇帝に謁見(えっけん)しました。
8世紀、唐の政治が行われたのが、大明宮(たいめいきゅう)です。
元日には、外国から多くの客を招いて、ここで盛大な儀式が行われました。
当時の長安の人口は100万を超え、世界でも一、二を争う巨大な国際都市となりました。
その後300年近く、長安は唐帝国の政治・文化・経済の中心地として栄えました。
唐が国際都市になった理由
眞鍋さん 「この頃すでに、100万都市というのはすごいね。今の日本だって、100万人いる町って、そうたくさんはないからね。」
永松さん 「約1300年前ですから、長安は当時としては桁外れの大都市、メトロポリスだったわけです。」
眞鍋さん 「人が多いだけじゃなくて、長安は国際色豊かだったわけでしょう。どうして国際的な都市になれたのかな?」
永松さん 「これには、いろいろな理由があります。先ほどお伝えしたように、南北を結ぶ大運河によって、国内の経済力が上がりました。そのため、貿易が活発になったということが、ひとつです。」
眞鍋さん 「なるほど、貿易か。」
永松さん 「さらに、唐の周りの国も発展して、高い文化をもたらすようになりました。そして、唐の勢力範囲が広がって、西側の国々と交流しやすくなったんです。」
眞鍋さん 「それが、シルクロードだね。」
永松さん 「シルクロードは、唐にさまざまな物をもたらし、日本にも影響を与えました。」
▶3.長安の繁栄と遣唐使
大雁塔
マジカル・ヒストリー・ツアー、最後の見どころは、西安市の市街地にある「大雁塔(だいがんとう)」です。
唐の時代、三蔵法師 玄奘が、インドから持ち帰った仏典を収めるために作られました。
玄奘は、なぜ インドへと向かったのでしょうか。
その謎を解くため、歴史をさかのぼって、マジカル・ジャンプ!
ペルシアガラス
ローマの金貨
ラクダの陶器
唐の時代、シルクロードを経由して、長安にもさまざまな物がもたらされました。
西アジアにあったササン朝ペルシアから伝わった、ペルシアガラスもそのひとつです。また、ローマ帝国の金貨や、通商に使われたラクダをかたどった陶器などがあります。
世界各地から、象牙や絹など高価な品々が長安に持ち込まれました。
それらをもたらしたのは、西アジアの交易の民、ソグド人たちでした。
玄奘 インドまでのルート
こうした外国からの影響を受けて、直接外国へ行って学びたいと考える人も現れました。
僧侶であった玄奘は、仏教の祖国インドで経典を学びたいと考え、約2500キロメートルも離れたインドに向かいました。
玄奘は、途中までシルクロードを通り、中央アジアからインドへ入りました。
そのルートは、砂漠を横断し、雪や氷に閉ざされた4000メートルの雪山を越える過酷な道でした。
この山越えで、旅の一行のうち、3割ほどが命を落としたといわれています。
インドにたどり着いた玄奘は、14年間仏教を学びました。
そして645年、数多くのインドの経典や仏像とともに、唐に帰国しました。
こうして、大雁塔が建てられた長安は、当時の東アジアでは最先端の仏教を学ぶことができる場所となりました。
7〜9世紀 遣唐使派遣
唐の時代、世界中の学問や宗教、文化が長安に集まりました。
この長安の進んだ文化を取り入れるため、唐の周辺の国々は、数多くの使節を派遣しました。
日本からも、遣唐使の派遣が始まります。7世紀から9世紀末までに、十数回派遣されました。
唐が作り上げた律令などの制度や仏教などの文化が、日本にもたらされ、国作りに大きな影響を与えていきます。
正倉院の宝物
遣唐使が日本にもたらした物といわれています。
これらは、どれも奈良の正倉院に収められています。正倉院は、主に、聖武天皇ゆかりの宝物(ほうもつ)を保管する場所です。
ペルシア風の水差しです。
ブルーのグラスは、ペルシアから来たものといわれています。
琵琶は、インドが起源とされている琵琶です。
そして左上が、当時の鏡です。東南アジアやイランの材料を使っているといいます。
眞鍋さん 「すごくオリエンタルな感じが伝わってくるよね。」
永松さん 「当時にしては、新しい物ですよね。」
眞鍋さん 「こういう遠い国の物を、唐を介して、日本は取り入れていたんだね。唐には、それだけたくさんの物が集まってきていたってことだ。」
永松さん 「グローバルですね。」
▶Deep in 世界史 佐川英治先生
今回は、唐帝国と周辺の国々との関係についてです。
唐の国際関係図
佐川先生 「当時の唐と諸外国の関係は、今の国際的な関係とは、全く違ったものでした。」
唐と諸外国との関係は、「朝貢」によって結ばれていました。朝貢とは、皇帝に貢物を差し出すことです。
その中には、皇帝から王位を授かる「冊封(さくほう)」と呼ばれる関係を結ぶ国もありました。上地図の緑色で表示された国々です。
眞鍋さん 「唐との結びつきを強めるために、お墨付きをもらって、それでさらに自分の国でも力を安定させることができたというメリットがあったんですね。」
唐の皇帝が天下の主であることを示した
回賜
また、このような関係は、唐側にもメリットがあったといいます。
佐川先生 「唐の皇帝が中国国内の主であるだけでなく、天下の主であることを人々に示す機会だったのです。」
唐の皇帝も、遣唐使など、外国からの使節を大いに歓迎しました。
遠い外国から使者が来ることは、唐の皇帝の権威を高めることにもなりました。
遣唐使がやってきた際は、大切な客人として扱われ、唐の国内での旅費や滞在費は中国側が負担したといいます。
さらに、朝貢に対して「回賜(かいし)」と呼ばれる中国からの返礼がありました。先生によると、回賜は、朝貢の贈り物の数倍の価値の物を与えるのが慣例だったといいます。
佐川先生 「このように、唐の皇帝が外国の使者を大いに歓迎したことも、唐が国際的な大帝国になった理由のひとつなんですね。」
眞鍋さん 「だったら唐と仲良くしたいし、唐に行きたいってなるよね。」
佐川先生 「もちろんこれは、多くの国と国境を接している唐にとっても、帝国を維持するための大事な政策だったわけです。」
【保健体育】 第8回 保健 現代社会と健康 運動、休養・睡眠と健康
* 今回の学習内容
運動と休養は、食事とともに体をつくり、心身の働きを高めます。これらは健康に生きていくために欠かせないものです。
運動、休養・睡眠の効果と、これらを生活の中にどのようにいかしていけばいいかを学びましょう。
◆運動の効果
運動は、大きく分けて有酸素運動と無酸素運動の2 種類に分けることができます。有酸素運動は、呼吸によって酸素を普段よりも多く取り込 みながら行う運動です。無酸素運動は、酸素をあまり使わずに行う運動で息苦しさを感じます。
【有酸素運動の代表例】
ウオーキング、ランニング、水泳、エアロビクス、サイクリング
⃝エネルギー源:酸素を使い、体の中の糖質や脂肪を燃やす。
⃝効果 :心肺機能の向上や血管の柔軟性の改善、体脂肪の減少などが期待できる。
【無酸素運動の代表例】
筋力トレーニングや短距離走など
⃝エネルギー源:筋肉中にたくわえられた糖質(グリコーゲン)を使う。
⃝効果 :筋力の維持・向上が期待できるので、基礎代謝が増えて太りにくい体になる。
■無酸素運動の効果例
女子大学生を対象にした調査によると、現在運動を行っていなくても中学・高校時代に3 年以上運動をしていた学生は、大腿骨頭の骨密度が 高くなっていたという結果が出ています。
ただし、激しい運動なので体力や年齢に気をつけて行わないと健康を害する危険性もあります。とくに高齢者や高血圧などの疾患がある人 は、運動中の心臓発作などの危険も伴いますので、注意が必要です。
◆休養と睡眠の効果
休養のとり方は、大きく分けると「積極的休養」と「消極的休養」の2 種類になります。
【積極的休養】
運動後、身体の疲れているときに、あえてウオーキングやストレッチなどの軽い運動をすること。
⃝効果:全身の血行を良くして疲労回復を早める。精神的な疲労を取り除く。
【消極的休養】
睡眠や自宅でのんびり過ごしたりすること。
⃝効果:肉体的疲労を回復させる。
また、睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」があります。
【レム睡眠】
身体は休んでいるのに、脳は働いている状態 (目覚めやすい、夢を見ている状態)
【ノンレム睡眠】
身体も脳も休んでいる状態 (細胞の成長や修復が行われる)
レム睡眠とノンレム睡眠が、およそ90 分1セットで繰り返されます。
◆ライフスタイルと休養・睡眠のあり方
昔は「働く」ということは、肉体労働が中心でしたが、産業革命以降、肉体労働が減り、脳の一部を酷使する頭脳労働が多くなってきまし た。よって、肉体的な疲労から精神的な疲労が増えてきています。精神的な疲労は、自覚されにくく、知らない間に疲れがたまってしまいま す。
「健康づくりのための休養指針」 平成6年6月 厚生省( 現厚生労働省)
1.生活にリズムを
2.ゆとりの時間でみのりある休養を
3.生活の中のオアシスを
4.出会いときずなで豊かな人生を
【夜】
睡眠レム睡眠
眠りのサイクルイメージ
約90 分
ノンレム睡眠
ここで起きると
スッキリ
【朝】
覚醒
眠りの深さ
「健康づくりのための睡眠指針 2014」
1.良い睡眠で、からだもこころも健康に。
2.適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
3.良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
4.睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
5.年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
6.良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
7.若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
8.勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
9.熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
10.眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
11.いつもと違う睡眠には、要注意。
12.眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。
明日も高校講座で勉強します。
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