25/7/15 遺族厚生年金が5年間だけに?
◆ 参考:出典: ファイナンシャルプランナーの大川真理子さんのメールマガジンから
今年6月、遺族年金法の改正について報道がありました。「遺族年金がもらえなくなるの?」と誤解されている方もいらっしゃるようですが、不安に思うような改正ではありません。
■遺族年金は2種類ある
一家の生計を立てていた方が万が一、亡くなったとき、遺族が受け取る年金を遺族年金といいます。遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。
18歳未満のこどもがいる場合、自営業の方の遺族は遺族基礎年金、会社員の遺族は遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受け取ります。受け取ることのできる額はこまかい計算式を使って出します。
計算方法についての説明は省きますが、一例として30歳会社員Aさんに登場してもらいます。Aさんは22歳から正社員として会社勤めをしています。(平均月収35万円)
ある日、30歳の妻Bさんと2歳のこどもを残してAさんが30歳で亡くなりました。この場合、妻Bさんは遺族基礎年金を年1,050,800円、遺族厚生年金を年431,600円受け取ることになります。
受け取る期間は、遺族基礎年金はこどもが18歳年度末になるまで、遺族厚生年金は一生涯となっています。※18歳年度末とは、18歳になった後に迎える3月31日のこと
もし、30歳の妻Bさんにこどもがいない場合は、遺族厚生年金のみ受け取ることになります。
■新制度では遺族厚生年金は5年間
新しい制度では、こどもがいない妻が60歳未満の場合、(生計を立てているのが妻の場合は夫)遺族厚生年金を受け取る期間が5年間になります。例えば、先ほどの会社員Aさんが50歳で亡くなった場合、妻Bさんは50歳で、こどもはすでに成人しています。
Bさんは60歳未満でこどもがいない妻にあたりますので、遺族厚生年金を5年間受け取ることになります。「5年だけなんて…」と思われるかもしれませんが、遺族が突然、生活に困ってしまうようなことにはなりません。
まず、有期給付加算といって額が上乗せされることになっています。(現在の遺族厚生年金の約1.3倍となります)また、5年間の給付が終わった後、遺族の収入が十分ではない場合は、給付の延長といった配慮もあります。
それから死亡分割といって、遺族ご自身の老齢厚生年金に額が上乗せされることにもなっています。
■現在の制度のまま、変更がない方
新しい制度に変わるのは2028年4月からですが、現在の制度のままで変更のない方もいます。まず、現在、遺族厚生年金を受け取っている方は、変更がありません
また、誕生日が1989年4月1日より前の女性の方も、現在の制度を使うことになります。60歳になってから遺族厚生年金を受け取る方も影響がありません。
例えば、先ほどの会社員Aさんが60歳で亡くなった場合、妻Bさんは60歳ですので、現在の制度が適用されます。なお、現在18歳未満のこどもがいる方は、こどもが18歳になるまでは現在の制度、こどもが18歳を超えた後は新しい制度適用となります。
■制度は時代に合わせて変化する
これまでの遺族厚生年金は専業主婦世帯が多い時代に合わせた制度でした。現在は共働き世帯の方が多くなっていますので、今回の改正は、時代に合った見直しと言えます。
また、現在の制度では妻が生計を立てている場合で、夫が遺族になったとき、遺族厚生年金を受け取ることができる条件について男女差がありました。(夫が遺族になったとき55歳以上であることが必要)女性には設定されていない年齢の条件をなくし、性別差のない改正となりました。
そして、あまり話題になってはいませんが今回の改正で、こどもがいる場合の遺族基礎年金も増額されています。
情報の流れが速くなっている昨今では、偏ってとがった話題の方が目立ってしまうことがあります。本当に必要で正しい情報を、選択できるようにしたいものですね。
★ 高齢者世代の私達の今後の参考になりました。
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