虚無交換日記

神戸大学将棋部の住人たちによるブログ

十傑戦振り返り

2017-12-30 15:43:38 | NY
まだ主将の名和です。12月22,23日に行われた十傑戦の振り返りをしようと思います。レーティング選手権以来の図面を使っての振り返りです。すべて手前が私です。人名は敬称略です。

1日目
予選1局目vs荒木
初戦から元高校竜王の強敵と当たることになりました。戦型は横歩取りで相手の青野流。青野流の中でも激しい別れになり、迎えた下左図。
  
ここでは33桂とすべきで、以下84飛87歩成で難解な将棋でした。本譜は2手前の65飛からの流れを汲んで87角と打ちましたが、56角が絶好の返し技で、以下85飛45桂62玉35飛で敗勢です。飛車の素抜きと53桂成~23角成の筋が同時に受かりません。読みが甘すぎました。以下は相手の正確な指し回しの前にいくばくもなく投了。昔研修会で同じような筋で飛車を素抜かれたのを思い出します。

予選2局目vs神高
ここで負けると予選敗退が決まるので是が非でも勝ちたい一局です。戦型は角換わりで相手が35歩~45桂と速攻をかける形に。後手のこちらが85歩を保留しており、88の銀が浮いているので無理かと思っていましたが、受け間違いもあり、先手が良くなる順もあったようです。そんな中迎えたのが上右図で、少し前に先手にミスがあり、ここでは後手が良くなっています。ここは28玉で角は取られるものの、さらに敵陣を進むか、同玉で決着をつけに行くか相当迷いましたが、28玉を選択。これが正しい選択だったようで、後手玉は捕まりません。逆に同玉はこちらの負けでした。本譜は34桂19玉と進み、以下は怪しいところも多かったですがなんとか勝ち切ることができました。おそらく入玉した局面は将棋フォーカスで取り上げられることでしょう。

予選3局目vs荒木
抽選の結果、予選1局目の再戦となりました。今度は先手を引き、相手の四間飛車に対し穴熊に潜る展開に。途中までは研究通りで、持ち時間を節約することができたのが結果的には大きかったです。ただ形勢自体は難解で、研究を離れた後こちらの弱気な手に付け込まれ悪くなってしまいました。終盤でこちらも時間を使い切り、穴熊のZを生かし最後の反撃をする展開になりました。
 
上左図はその最後の反撃をしている局面。少し足らないかと思っていて、実際74玉ならこちらの負けでした。本譜は62玉でチャンスが来たのではないかと思いました。以下63歩51玉32角成66角と進んで上右図。ここで62銀から精算して63歩71玉まで決めて33馬が決め手で、先手玉は詰まず、後手玉は詰めろになっています。劇的な逆転勝ちで、勢いに乗れたかと思ったのですが。

2日目
準々決勝vs竹川
結構昔から知っている相手で、一層気合が入りました。自分が後手で、序盤に駆け引きがあり、こちらが少し得をした横歩取りになりました。しかしその得をもっと広げようと早めに動いていったのが良くなく、逆に形勢を損ねてしまいました。
 
直接的な敗因は上左図での77歩で、ここは74桂なら難解で、後手も十分に戦えました。そう指せなかったのは実力ですが、もっと反省すべきは序盤から中盤の入り口にかけて良くしようと無理に動いていった点です。序盤で少し得をしたためもっと良くしないといけないと思い込み、自分で自分を追い込んでしまいました。

5位決定トーナメントvs樋園
準々決勝で負けて5位決定トーナメントに回ることになりました。戦型は相手の三間飛車で相穴熊になりました。どちらも同じような陣形となり、千日手模様となりました。もっと早く動くべきでしたが、対局時の精神状態では厳しかったです。結局先手の私が無理気味の打開をすることになり、迎えた上右図。ここは65桂の予定でしたが、同銀同銀85歩が厳しく思えたので44歩と予定変更しました。しかし44歩は良くなく、予定通り65桂として、85歩まで進んだ局面で61銀としておけば先手も戦えました。44歩以下は75歩が厳しく、完敗。経験値の差が出てしまいました。

7・8位決定戦vs大澤
去年の富士通杯での最終戦以来の対戦です。そのときは対抗型でしたが、今回は相居飛車の力戦でした。持ち時間が60分あるにも関わらず、序盤で指しにくくしてしまい、かなり悲観していました。実際こちらがはっきり悪くなる変化もありましたが、見逃してもらい、途中は逆にこちらが良かったようです。しかし、形勢を悲観していたことから危険な順を選び続け、形勢は混沌としていきました。指していてわけが分からなかったです。
 
そんな中迎えたのが上左図で、ここで指した47香成は印象に残っています。手の善悪でいえば悪手で、強く同玉と取られたらこちらの負けでしたが、本譜は同金だったので、35桂で何とかなるかと思いました。この後もよく分からなかったですが、ようやく逃げ切ったと思ったのが40手ほど進んだ上右図。打歩詰めで逃れており、非常に印象に残っています。以下は88馬同金同飛55玉で玉を安全にして勝ち切ることができました。

以上結果は7位でした。やはり竹川戦で悔いが残ります。少しの得を広げるために時間を使うのか、多少は妥協して終盤に時間を取っておくのか、両者のバランスは今後の課題だと感じました。

また、大会が終わってから気付いたのですが、関西代表として出場した大会(学名、富士通杯、十傑戦)すべてで中部代表の方に負けてるんですね。来年はリベンジできるようまずは関西大会から頑張ります。

それではこのへんで振り返りを終わりにしたいと思います。みなさま、よいお年をお迎えください。
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