虚無交換日記

神戸大学将棋部の住人たちによるブログ

ネット団体戦&個人戦

2015-10-23 19:49:43 | あいうえお

 こんばんは、元主将です。人に書け書けと言っておいて自分が書かないのはどうかと思うので(そんなこと気にしない人だろうという的確な指摘はスルーしておきます)、金沢大学さんとのネット団体戦と関西個人戦の振り返りをしておきたいと思います。今回はちょっと趣向を変え、図面を使いたいと思います。

 

 ネット団体戦は自分は大将で、相手はK川さんでした。大将に座らされた時からなんとなく強い人が来る予感はありましたが、まさかホントにくるとは思っておらず、柄にもなく対策をあれこれ考えてしまいました。しかし予想に反して先手一手損角換わり右玉を採用され(泣)、図の局面を迎えました。

 本譜は74歩としましたが、86歩と突いたほうがよかったです。以下同歩同飛に77角を気にしてやめましたが、76飛としてまぁまぁだと思います。横歩取り以外で横歩を取るのはあまりいいイメージがなく、軽視していました。本譜は74歩77桂73桂25歩12香に55銀とぶつけられて苦しくなり、終盤も負け筋がありましたが、相手にミスがあって拾うことができました。ただ勝ったとはいえお粗末な内容で、主将に棋譜を提出しろと命令されたときは泣きたくなりました。

 

 次に個人戦の振り返りをしたいと思います。

 個人戦の予選は日頃の行いのせいで毎回きついブロックを引くため今まで一度も抜けたことがなく、最後ぐらいぬるいブロックを引いて失礼な某後輩を見返してやりたいと思っていましたが、今回も立命館大学の強い人がいるブロックを引いてしまいました。ただ、引いてしまった以上はしょうがないと思い、なんとか某後輩を黙らせてやろうと対策をして臨みました。

 初戦は阪大のJ田くんでした。戦型は自分先手で相手の四間穴に対し銀冠で対抗し、早めに3筋の歩を交換して指しやすくなりました。以下相手の動きに乗じて盛り上がり、図(左下)の局面を迎えました。

 ここは58飛と一旦力を溜めるべきでした。以下46歩と動くぐらいですが、同歩同銀55歩で本譜より良かったです。本譜は焦って55歩とし、同金同銀同角58飛44銀55飛同銀53角成と進みました(右図)。ここで12飛とか逃げられたら66歩が残ってるので難しかったですが、本譜は61銀だったのでこわいところがなくなり、以下は勝ちきることができました。

 2局目は大阪工業大のY下さんとの対局でした。戦型は自分先手で相手の角交換四間に対し47銀型で対抗し、相手の逆棒銀に乗じて馬を作って図の局面になりました。

 対局中は42角とされたらどうしようと思っていましたが、一方的に角を手放す上に25桂とされた時に23歩と受けるのでは流石にやりにくいみたいです。本譜は33銀25飛で飛車交換になり、小ミスがあって長引きましたが勝ちきれました。

 決勝の相手は予想通り立命館大学のS木さんでした。矢倉をやってくると思って矢倉の研究をしていましたが四間飛車(藤井システム)を採用され(泣)、相手の研究を外すため阿久津流亜急戦を拝借しました(左下図)。

 ここから36歩と突かせて65歩と仕掛け、角交換して82飛とし88飛を強要して79角を狙うのがこの急戦の狙いですが、本譜は47金とされ、75歩同歩同飛36歩65歩に55歩同角56金と変化されました。ただ、相手の金が離れたため、少し指しやすくなったと思います。以下進んで右上図のようになりました。

 この前にひよったため少し難しくなっていますが、ここで24桂とすればまだよかったと思います。本譜の89飛も悪い手ではなかったですが、飛車を持った状態で36桂の形を作ったほうがよかったです。以下少しずつおかしくなり、終盤にひどい見落としをして怪しくなりましたが、最後は時間切れで勝つことができました。お粗末な内容でしたが、これで初の予選突破となりました。

 

 個人戦本戦の初戦は龍谷大学のK林さんでした。やっと予選を抜けたと思ったら初戦の相手がプロに勝ったこともある強豪で、その上主将にプレッシャーをかけられ萎えそうになりましたが、いつも通り指そうと思い対局に臨みました。戦型は自分後手で相居飛車の力戦になり、左下図のようになりました。

 今回は前回の反省から対策を立てずに臨みましたが、それが今度は裏目に出てこの局面では時間に大差がついています。局面自体は難しいと思いますが、相手の角桂の立ちおくれと持ち駒の銀と歩三枚が大きく少しいいかと思っていました(どうも自分は持ち駒を過剰に重視する傾向があるようです)。

 ここは74銀とすべきでした。73桂と跳ねられるようにするのが狙いで、先手は防ぐのが難しくその後の方針もわかりやすかったと思います。ほかには64歩同歩同角として角を転換する手もあり、いずれかを選ぶべきでした。本譜は62金45歩63金36歩と進行しましたが、こちらが金桂を使う間に相手の角が働いてきてしまい、また63の金が中途半端な感じです。以下進んで右上図のようになりました。

 成銀を作る間に玉形を乱され指し手が難しくなっていますが、ここは47成銀とし57歩を狙うべきでした。本譜は73桂76銀と進みましたが、77角と使われる味ができたため損した感じです。実戦は以下焦って暴発してしまい、正確に受け切られました。

 

 今回の対局を振り返ると、勝った将棋は長引いたり何度も逆転模様になったりと内容があまりよくなく、最後のK林さんとの将棋も、よくわからない局面で方針を定めるという部分での実力不足を実感させられました。最後(になるはず)の一軍戦に向けて、悔いの残らないよう調整しようと思います。そして、次はちゃんと対策を立てて臨もうと思います(たぶん)。

 長々と書いてしまいましたが、お付き合い下さりありがとうございました。 

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個人戦記

2015-10-20 11:55:14 | O田

 こんにちは。初投稿となります三回生のO田です。尊敬する前主将からの命令お願いがありましたので個人戦の振り返りについて書きたいと思います。拙い文章ですがご容赦願います。

 予選一回戦は京大のM氏と。私は予選一回戦シードになるはずなのに朝からの対局でしかも相手は強敵とあり、某先輩のように日頃の行いがよくなかったか、とも思いましたがM氏とは初手合いでもあり対戦を楽しみにしていました。戦型はこちらのゴキ中対一直線穴熊となり、序盤でこちらの気合いを通し優位を築くことができ、時間はかかりましたが勝つことができました。きれいな将棋ではありませんでしたが自分らしい将棋を指すことができたと思います。予選2回戦3回戦はいろいろ怪しいところはありましたが、なんとか勝つことができ、予選を突破しました。

 本選一回戦は京大のH氏でした。春の個人戦でも一回戦でもあたって負けており、リベンジを果たすべく臨みました。戦型は相手のノーマル四間にこちらの居飛車穴熊となりました。途中は、駒得で穴熊ということもあり、大優勢だと思っていましたが、それは大局観の悪さと得意の楽観癖だったようで、案外難しかったようです。最後は逆転模様となりましたが相手の時間切迫もあり、勝つことができました。

 二回戦は立命館のS氏でした。初めての二回戦進出であり、合法的に棋譜取りを回避することができました。戦型はこちらのゴキ中に対し、相手の丸山ワクチンでした。序盤は作戦負けだったのですが、その後うまく捌くことができ、難解な終盤戦となりました。しかし、最後は実力の差がでて、及びませんでした。

 最後のS氏との将棋は負けてはしまいましたが、私としては実力を出し切った満足のいく将棋でした。しかし、実力を出し切っても勝てないということはそれは大きな実力の差ということなので、むしろ厳しいなと感じました。特に終盤の読みの精度、深さの差を痛感しました。やはり、もう少し普段から終盤に負荷をかけた指し方をしないといけないと感じさせられました。さて、秋の一軍戦までいよいよ一か月を切りました。個人戦の結果を見ていても立命館の層の厚さが目立ちますが、団体戦はなにが起こるかわかりません。主将が素晴らしいオーダーを作ってくれるはずなので、それに応えられるよう部員一丸となって頑張りましょう!

 最後に毎回のことになりますが理事の方や棋譜取りを行ってくださった方など大会運営を行ってくださった方々ありがとうございました。

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ギャル棋っ!#3

2015-10-17 20:45:06 | IKE

~角行の場合~

 

 

角。孤独を愛する黒髪ロング。身長162cm。飛車と並ぶ大駒の一人だか、性格は対照的に物静かで没交渉。基本的に集団行動が苦手なタイプであった。

 

対局が始まるとすぐ、角は『そいつ』と対峙することになる。5五の天蓋を挟み、そいつはいつも対角線上にいるのだ。

対角線。まるで私のためにあるような言葉だな、と角は自嘲する。反対側でそいつ--角の半霊も、笑う。互いに視線は逸らせないまま二人の自分が運命を諦観する。

角には二種類の未来しかない。交換されて生きるか。あるいは交換されるために生きるか。

いずれ肉体への執着はない。角にとって肉体は二分された思念の依り代であり、一時の容れ物にすぎなかった。仮初めの仲間に囲まれて、仮初めの主に操られる。やがて半霊と入れ替わる運命の角にとって敵・味方の意識は薄く、勝敗の行方すらどちらでも良かった。

……はずだった。

 

「……あの……、何の真似ですか?」

その日は初手から違和感があった。そして、違和感は次の一手で危機感に変わった。3手目で角はたまらず声を上げた。

「なにって、知らない?」

その日着任した新たな指揮官は、角の質問に対して事も無げに答える。「嬉野流、っていうんだけど」

「そうじゃなくて!」

戦法の名前が聞きたいのではない。それも初耳だったが、大事なのはそこではなく。

「何がしたいのかって聞いてるんです」

こんな扱いを受けたのは初めてだ。6八銀-7九角-7八金。開始早々、主戦力である自分を生き埋めにする手順は全く意味がわからない。そうこうしているうちに、つい先刻まで居た8八が何故か後退してきた歩で埋まり、角の行き場は完全に無くなった。

「何がしたい、ね……そうだな。強いて言うなら」彼は6九に歩み寄り、最後の隙間を塞いだ 。

「君と話がしたい」

動悸がする。身体が熱い。呼吸が苦しい。

「……寝言は寝てから言ってくれますか」

「だから君を眠らせた。君はいつも、じっとしててくれないからね」

こうでもしなきゃゆっくり話もできない、と彼は角を見つめる。いたたまれず、角は目を逸らそうとしたが、あいにく視界は真っ暗だった。四方壁に囲まれて、身動きできない。

動悸がする。身体が熱い。呼吸が--苦しい。

「……やめて……」

角は震える声を絞り出した。「どうして……こんな、こと……」

 

角は、閉所恐怖症だった。

 

昔から、周囲を壁に囲まれると上手く息ができなくなり、前後不覚に陥ってしまう。

たまらず膝をつき、胸を押さえて荒い呼吸を繰り返す。そんな角を、彼は冷静に見下ろしていたが、

「落ち着いて。周りをよく見て」

諭すように言われ、角は視線を上向けた。

「君の周りにあるのは、本当にただの『壁』か?」

「誰が絶壁だこらぁ!!!?」

突然、壁のひとつが喋った。

同時にその壁は動き始め、角の視界に目映い光が差し込む。光の中に浮き上がる、やや小柄なシルエット。彼が指差した。「この壁は、銀。君の仲間の一人だよ」

「おいやめろ!こら!壁って言われるの一番傷つくんだからなっ」

壁--ではなく銀は、ひとしきり彼にくってかかった後、キッと角に視線を向ける。

「……大きい」

「え?」

「何でもない!銀だよ、よろしくねっ!次わたしのこと壁って思ったら許さないから!」

「え、あっはい!……角です、よろしくお願いします!」

わけもわからず角は自己紹介をする。そして気づいた。……息苦しさが、消えている。

「やっぱり、仲間の名前も知らなかったんだね」彼はため息をついた。

角は「……仕方ないじゃないですか」と目を逸らした。

「覚えても、遅かれ早かれ仲間じゃなくなるんです」

「一緒だろ、それはこいつらだって……」

「貴方に何が分かるんですか!」

堰を切ったように、百年間押さえ込んでいた感情が溢れだす。

「いつもいつも、やっと仲良くなれたと思ったら交換なんですよ!……拒まれてもこじ開けてまで交換。召喚されても合わされて再度交換……一人で駒台から見下ろすんです、私だけがいない戦場を。そしたらもう、二枚分の記憶が混じって誰が仲間で誰が敵で、何の為に戦うのかも解らなくてっ、」

--虚しい。

繰返しリセットされる戦友の顔。いつしか角は覚えるのをやめた。

「わからないんです……どうやって信じればいいんですか?この自分は次の瞬間にはいないかもしれない。それでも私は……皆の仲間になれるんですか?」

角は神を恨む。世界を正方形に作った神を。斜めの翼を自分に与え、対角に引き裂いた神を。

だが彼は平然と、自信に満ちた声で角の問い掛けに答えた。

「なれるさ」

 

「そうだよ」

銀がまた動く。5七から4六、3五、そして更にその先へ。

「なれるよ」と彼は繰り返した。

「理由を言おうか。俺は--俺達は、必ず勝つからだ」

意味は角にもわかった。

--勝者のハレムには38枚全ての駒が集う。一繋がりの《棋譜(メモリー)》とともに。

君が今どちらの陣営にいようと関係ない。最後に勝つのは自分だ--彼はそう言っているのだ。

なんという傲慢な信念。

だが、銀は彼を信じているようだった。--4六、3五、2四へと向かう斜行ルートは敵駒との交換を意味している。彼女は言い切った。それでも私達は仲間だと。

--信じてみても、良いのだろうか。

「信じろ。必ず勝つ」

彼は角の心を読んだように、そう繰り返した。

「……そんな大口叩いて」

角は目を閉じる。覚えたばかりの仲間の顔を思い浮かべ、脳裏に刻む。

局後再会したとき、ちゃんと名前を呼べるように。

目を開けて、彼を睨んだ。

 

「負けたら、絶対に許しませんよ」

 

 

その日、角は珍しく最後まで交換されることなく、5五の地点で終局(エンディング)を迎えた。

 

合計8回動く大活躍をした角を、大勢の仲間が取り囲み喝采した。敵陣営から駆け寄ってきた銀の隣に、半霊の姿があった。

その夜の駒箱の中で、彼女達の穏やかな話し声は遅くまで尽きることがなかったという。

 

 

〈次回金将!〉

*********************

【角行プロフィール】

▲角、角さん、かっくん、かっさんなど△好きなプロ棋士は谷川浩司▲座右の銘は「一期一会」△異能の狙撃手として隊内で一目置かれる憧れの先輩であり、敵角に切られて散ることは今や小駒達の間で一種のステータスとなっている▲人見知り△巨乳▲成ると豹変△年齢不詳▲性別、女。

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新人戦&ネット団体戦(VS金沢大学)

2015-10-15 19:45:45 | NY

 

 こんにちは。1回生の名和です。遅くなりましたが9月20、27日の新人戦と10月10日に行ったネット団体戦について書こうと思います。

 まずは新人戦からです。予選の初戦は立命館のO君でした。6月の1軍戦で彼の活躍は耳にしていたので初戦で終わるかもしれないと思っていましたが、なんとか勝つことができ、ほっとしました。

 決勝トーナメント1回戦は不戦勝で、2回戦は再び立命館のU君との対局になりました。横歩取りから苦しい展開になりましたが、意外と難しかったらしく逆転勝ちすることができました。準決勝では関学のA君と当たりました。相手の1手損角換わりに対し優位を築きましたが、途中で時間を使いすぎたことも響き逆転負け。途中で駒割勘定をして、楽観していたのも良くなかったです。また、最後に桂の利いているところに玉を逃がしたのは自分でもあきれました。3位決定戦では、再び立命館のK君との対局になりました。形勢はややこちらが不利のようでしたが、実戦的に勝ちやすい形であり、なんとか勝ち切ることができました。

 今回の成績は3位となり、久しぶりに大会で入賞することができうれしかったです。しかし、準決勝の将棋は反省点が多かったので、今後の参考にしていきたいです。

 

 次に、金沢大学さんとのネット団体戦です。ネットで団体戦を行うのは初めてだったので、新鮮でした。

 私は5将で、Oさんとの対局になりました。変則的な角換わりとなり、相手の端歩をとがめるべく早繰り銀を選択しました。作戦が成功し、優位に立った後は、うまく指すことができました。

 結果は、神戸大学側から見て4勝3敗となり、神戸大学の勝利となりました。金沢大学は全国大会にも出場している強豪であり、今回勝てたことはとてもよかったと思います。

 金沢大学のみなさん、今回はありがとうございました。今度は王座戦で当たれるよう、がんばります!

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